任侠ヘルパー
- 最終話 -

その後、職員寮に戻った"任侠ヘルパー"の前に和泉零次(山本裕典)が現れ、鷹山が選んだ幹部は彦一だと発表する。しかし、選出の理由や"研修"の目的については語られず、彦一らのなかには釈然としない思いが残る。しかし、「タイヨウ」が閉鎖され"研修"が終わった以上、ここを出なければならない。荷物をまとめて施設を後にしようとするが、そのとき、どういうわけか、別の施設へ行った高齢者たちが戻ってくる。驚きつつも、彼らを受け入れる園崎とヘルパーたち。それを見た五郎は、極道スーツからヘルパーのユニフォームに着替えはじめる。そんな五郎を尻目に、彦一は施設を後にする。

彦一がやってきたのは、認知症専門施設にいる晶のところだった。眠る晶のベッドの足元に座り、静かな口調で自分の無力さを嘆く彦一。やがて、目を覚ました晶は、彦一が自分に言ってくれたように、いつでも自分らしくあればいいのでは、と語りかける。

翌日、隼會の幹部総会が開かれる会場に、りこがやってくる。部屋の前で挨拶をしふすまを開けるが、なかには誰もいない。りこがあっけに取られていると鷹山が現れ、彦一の気まぐれで総会は中止になったと告げる。そして、彦一が幹部を辞退し、替わりにりこを推薦してきたと明かす。

その頃、「タイヨウ」にいた彦一は、外からの侵入者を防ぐため、和泉、三樹矢、五郎、二本橋とバリケードを作っていた。「タイヨウ」の前には、彦一らの暴走をかぎつけた警察、マスコミ、利用者の家族らが集まり、騒然としていた。そのなかにいた藤堂から電話が入り、すぐに高齢者たちを解放しろ、と促されるが、彦一は、ここにいる高齢者は新しい施設に行っても結局たらい回しにされるだけだから、自分たちが最期まで面倒みる、と言ってそれを拒否。

やがて、突入を決めた警官たちが続々とバリケードをやぶり施設内に侵入してくる。彦一らは、激しい暴力で応戦するが、数で圧倒的に勝る警官たちに制圧されてしまう。そして、彦一は手錠をかけられる。そこへ、組の者を引き連れたりこがやってくる。まだ終わっちゃいねえぞ、という怒号とともに警官たちに襲い掛かる四方木組の者たち。それを見る彦一の顔には、かすかな笑みが浮かんでいた。

翌日の新聞には、「タイヨウ」での暴行事件が大きく取り上げられたが、そのほとんどが介護に関する現在の行政を批判するものだった。

数ヵ月後――。りこは正式に隼會本家の幹部に迎えられ、五郎は介護の専門学校に通い、晴菜ともいい雰囲気になっていた。二本橋は、愛娘との関係を修復しつつあり、六車は、介護関係の会社を立ち上げその社長に就任、三樹矢は女好きを復活させていた。

一方の彦一は、施設の近くの砂浜のベンチに座っていた。するとそこへ、高級車の列を連ねてりこがやってくる。りこは、刑務所から出てきたばかりの彦一に会いに来たのだ。組に戻るのか、と尋ねるりこに、今後のことは決めていないと答える彦一。そしてりこは、頼みがあるというと、おもむろに彦一の胸倉をつかんでキスをする。

その後、彦一は、再び晶のもとを尋ねる。晶は、庭に涼太といたが彦一のことを認識しない。「今日は忘れちゃってるみたい」と慣れた様子で明るく言う涼太に、彦一も笑顔を見せる。しかし、晶に向かい合った彦一がタバコを吸おうとライターを鳴らした瞬間、晶が「ここは全面禁煙よ」と覚醒する。それを聞いた彦一は、再び微笑む。

同じ頃、自転車に乗って「タイヨウ」にやってきた園崎は、入り口に貼ってあった閉鎖の知らせをはがし――。

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