任侠ヘルパー
- 第一話 -

チヨは晶が経営する高級老人ホーム「ハートフルバード」にいたが、チヨが暴れたために体を紐でくくられていた。園崎らとともにホームにやって来た彦一は、晶と対面するが"高齢者たちの救世主"と崇められながらも、身体拘束をいとわないその方針に反発を覚える。

後日、施設に戻ったチヨは落ち着きを取り戻し、彦一に花見に行こうと話しかける。しかし、彦一は冷たい態度で拒絶する。

その態度に心を痛めたのか、チヨは施設から姿を消してしまう。チヨが現れたのは、あのコンビニだった。店員が自分の金を盗ったとコンビニで訴えるが、あの夜にいた男性店員はおらず、チヨは仕方なく店を出る。肩を落とし歩くチヨ。と、通りかかった黒塗りの車がクラクションを鳴らし、運転手は暴言を吐いた。ムッとしたチヨは停まった車に歩み寄ると、車体を蹴飛ばす。それは、鷲津組のチンピラの車だった。

そこへ、チヨを探していた彦一とりこがやってくる。チンピラにすごまれているチヨを見た彦一は助けに行こうとするが、りこに止められる。揉め事になったら、自分たちの正体がバレるというのだ。それでも放っておけない彦一は、自分はチヨの世話をしているヘルパーだと割って入るが収まらない。彦一は、りこにチヨを託すと、チンピラたちを引き連れて海岸に走って行く。そこで、チンピラたちから殴る、蹴るの暴行を受ける。抵抗せず地面に倒れこんだ彦一を、さらにチンピラが殴ろうとしたとき、彦一を追ってきたチヨが、チンピラの背中を傘で叩きつけた。怒ったチンピラはチヨを突き飛ばし、倒れたチヨは意識を失ったのかグッタリしてしまう。それを見たチンピラは、慌ててその場を走り去る。彦一は、チヨの体を揺さぶり、必死で目を覚まさせようとする。と、チヨがパチリと目を開ける。意識を失ったふりをしていたのだ。

施設への連絡を済ませると、3人は桜のある土手へとやってくる。チヨが息子に桜を見せてやりたいと言っていたからだが、当然、桜の季節は過ぎていた。残念がるチヨに、彦一は背中に彫った桜の刺青を見せてやる。見事に咲いた背中の桜を見たチヨは、嬉しそうに微笑む。それを見た彦一も、思わず笑顔がこぼれる。

そんなやりとりを木陰から見ていた人物がいた――涼太だ。

数日後、施設にチヨの息子夫婦がやってきた。チヨを連れて田舎に行くことが決まったという。施設を出ることになったチヨに、彦一は忘れ物だと言ってカバンを渡す。傷だらけの顔の彦一を新人ヘルパーだと思うチヨは、ケンカはいけないと声をかける。その言葉に、彦一は小さく「はい」と答えた。

走る車の中で、カバンの中身を見るチヨ。そこには、数百万円はあろうかという、札束が入っていた。

その頃、施設の前に停まった高級車から晶が降り立った。晶と再び対峙した彦一は、晶の介護に対する姿勢に改めて不快感を覚える。晶が施設に入っていくのを見送ったとき、背後から涼太が現れる。涼太は彦一に、"ヤクザ"なのかと聞き、さらに刺青も見たと言う。そして、誰にも言わないから自分を弟子にしてくれ、と言う。彦一は、取り合わないが…。

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