我はゴッホになる!
-* 片岡仁左衛門スペシャルインタビュー *-
「自分の中でまだ年寄りのイメージがないので…」とたくさんのテレビドラマのオファーを断ってきたが、今回、出演を決めたのは、演じる柳宗悦の孫が片岡の息子の小学校の同級生だったという縁もあったのかもしれない。「柳宗悦が棟方志功に言った『もっと仕事を煮つめなさい』という言葉はいろいろな事に通じますね。若い人には苦い人間が必要なんです。育てるための一過程として、愛情を持った苦言をする人が少なくなってきましたね。どこの世界でもそうですが、歌舞伎の世界でも減ってきました。私たちの頃は先輩は厳しかったですから」と話す。
ドラマの主人公である棟方志功については、「型破りな人間で、何と言ってもあの迫力。芸術をわからない人をも引きつける魅力がある」と評する。
襲名からのこの10年は、片岡にとってどんな10年だったのか。「10年費やしただけの成果が出ていない。時間がないな。あと20年…30年は無理だろうから、この10年の3倍ない時間の中で、日々、自分を磨いていかないといけない」と自分の芸に対して満足せず、仕事に対してあくまで真摯に向き合う姿勢が印象的だ。
歌舞伎界の至宝でありながら謙虚で、還暦を過ぎた今も若々しさを保つ片岡は日々、何を信条として生きているのか。「その日その日を楽しく、嫌なことはすぐ忘れて、いいことだけを覚えておくようにしています」と若さの秘訣を話す。今の日本は平均寿命が伸び、定年後の人生が長いが、片岡は「現役かどうかが大事」といつまでも現役であることにこだわる。「常に旬でいたい。人生も仕事も旬で…」と締めくくった。
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