わたしたちの教科書
━- ストーリー -━
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耕平が喜里丘中学校に戻ると、職員室には雨木がいた。雨木は、耕平の体のことを気遣うと、正式採用試験を受ける気はないのか、と問いかける。病気療養中の前任者の回復が遅れているのだという。耕平は、雨木の指示に逆らった挙句、生徒たちの心を深く傷つけてしまった自分に教壇に立つ資格はない、とうなだれた。そのとき耕平は、雨木のデスクの上に、白いスミレの花が生けてあることに気づく。明日香の墓参りをしたのは雨木だった。雨木は、明日香のことは一度も忘れたことはない、と耕平に告げた。明日香は、スミレが好きだと話してくれたことがあったのだという。雨木の思いを知った耕平は、涙を流しながら頭を下げると、ロッカーから持ち出した教科書などが入っている包みを差し出した。雨木は、そんな耕平に、いつかわかってくれると信じていた、と伝え、子どもたちを守れるのは私たち教師だけだ、と続けた――。
耕平が立ち去った後、雨木は、幼い男の子が写っている古い写真を見つめ、爪をかんだ。それは、現在服役中の息子・音也(五十嵐隼士)の幼いころの写真だった。
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