黒部の太陽
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■撮影リポート その2
標高2700メートル地点 一面の銀世界で技術、美術、制作スタッフ&キャストが格闘!
もう一つの黒部の太陽を見た!
今回ドラマで描かれる「大町トンネル」貫通までの苦難の道のりは、「黒四発電所」建設のために必須かつ最大難関事業の一つだった。
戦後、復興を成し遂げ経済成長を計るため、決定的な電力不足問題を解決しようと関西電力が一大ダムの建設に乗り出し、多くの調査員がその前人未踏の黒部川上流に足を踏み入れた。「黒四」の名前が示すように黒部川流域の電力開発はさらに時代をさかのぼる。
黒部川電力が完成するまでには、大正から昭和へという長きにわたる道のりを要したのである。黒部川流域に、柳河原発電所、黒部川第二発電所、第三発電所、黒四発電所、そして新黒三、新黒二の竣工に至るまで、前人未踏の黒部川流域への様々な調査、工事が繰り返され、多くの人々の汗と涙が流された。
そんな苦闘の歴史を持つ黒部の山々に調査隊が新たな決意を持って踏み込んでいくドラマ前半の重要なシーンを撮影するため、富山県の山間部で一大ロケが敢行された。
総勢100人ほどの技術、美術、制作スタッフ、キャストが、標高2700メートルのロケ現場となる「一ノ越」を目指した。ロケ現場に向かって、技術スタッフは3〜40キロ程もある収録機材、バッテリーなどを背負い、美術スタッフは丸太やテントなどのセットを運び上げる。そしてそこにはキャストの関西電力黒四建設事務所次長、滝山薫平役小林薫さんと、関西電力建設部次長、吉村 亘役、寺脇康文さんの姿も見受けられた。昭和30年代の山登りスタイルに身を包み、さらにお二人の他、プロデューサーも含む制作スタッフや美術スタッフもボッカ役、調査隊員役に扮し山を登った。衣装は全て当時のものを再現したもので、ニッカボッカの様なズボン、とっくりセーターにヤッケといった出で立ち。ボッカ役の人々は蓑をかぶり、木製の背負子を肩に食い込ませながら、険しい山道を登り続ける。まさに、ここにスタッフ、キャストたちによる、もう一つの黒部の太陽を見る思いがした。
朝、6:30分、室堂を出発した一行はそこから約標高差200メートルもある一ノ越を目指す。モニターやバッテリーなど重い機材や美術用具を男女を問わず皆が分担して持って上がる。山のエキスパートにガイドしていただきながら、無理のないよう30分おきに休憩を取る。
一面真っ白の銀世界の中、「黒部の太陽」スタッフの歩んだ跡が道となっていくが、数秒後にはさらに降りかかる雪でかき消されてしまう。スタート地点では寒さとの戦いだったが歩く内に体は熱くなり汗が噴き出す。「温度調節が大事。汗で体を冷やさないよう、すぐに脱いで」と山のガイドの皆様に注意され皆、荷物を下ろしたり脱いだりと大忙し。合間に熱いお茶を飲んで体を温めるスタッフは「熱燗だ!」と感激。笑いがこぼれながらもさすがに一時間もすると誰も言葉を発しなくなる。「こんな大変な思いをしてまで撮影するのだから…」というつぶやきがスタッフの間から聞こえ始めた8時頃、いよいよ目指していた「一ノ越」に到着。所々山肌が見えるとんがり帽子型の山々を目にすると、「チョコレートケーキだ」と語る余裕も出る監督。「白い粉砂糖のかかったチョコレートケーキのよう。」と感慨に浸っている間もなく、早速機材のセッティング、収録準備に入るスタッフ。「モニターのスイッチが寒くて作動しない!」「寒い!」という声が飛ぶ。なんとマイナス10度という寒さ。
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(C)フジテレビジョン