黒部の太陽
- インタビュー -

■美術進行 藤野栄治

「目的はこれをつくるんだ!という気持ち。最終的にはこれにつきますね。みんなどこの人も、ものをつくる人は、いい美術でいようよ。というのは同じ。僕は言うんです。『何も言わないとそこらの石ころといっしょだよ。』って。気づいたら言う。」
そしてそんな精神は着実に藤野さんから若い人に伝わり、「若い人も分ってる。自分から動いています」という。最後に、「今の若い人へのアドバイスを!」と伺うと、
「そこで足踏みしない。一歩でも足を出す、ということ。台本を読んだだけでは駄目。一歩動けば例えば監督が違うという。一歩も動かなければ何も言ってもらえない。立ち止まったら進歩しない。」
誰もが耳を傾けてほしい言葉がさらに続く。
「言ったとおりに言われてやるのではない。最低だね。自分で考えて動くのでなくてはいけない。監督のことを伝えるだけの人には、『それであなたはどう思う?自分が監督だったら?』って聞き返します。」という。
常に考え、「監督にみんな、言われたくないし、負けたくない」という気持ちで働いているという。
「次の日に残しちゃ駄目。その日のことはその日で解決しろ、と言っています。明日やろうと思わない。」先述の大出水シーン、破砕帯のシーンなど今回前代未聞の収録シーンばかりだった中で、それぞれの持ち場の担当者たちは自発的に収録前にテストを行い、よりよい方法を探求、藤野さんに提案してきたりするなど、誰もが立ち止まらずに前へ進み続ける現場だったのだ。そんな戦いも終わりを迎えていた。
「今日終わりの感じがしないよねって美術みんなで言ってるんです。しんどかったけどね。楽しんでやってますから」とここでまた満面の笑顔。こんなにいい笑顔ができる仕事って本当にすばらしい。仕事をとにかく全力でやる、てすごい。と思わずにはいられない。藤野さんにはさらに武器があった。
「友達はいっぱいいたほうがいいよね」
急にダンプカーが必要になれば工事現場の仲間が朝4時に持ってきてくれ、昭和30年代のカメラが必要となれば、博物館の友人が貸してくれ、昔のおもちゃが必要となれば、トラック2台分貸してくれる友だちが藤野さんにはいる。

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