硫黄島 戦場の郵便配達
硫黄島ロケ日記

「こんな綺麗な場所なのに、あんな戦争があったなんて…」
ご遺族の方がぽつりとつぶやいた一言です。
ご遺族の方々は、マイクロバスに分乗しある人は夫が、ある人は父親が、親族が亡くなった場所で墓参をします。

「水を飲みたかったでしょう」
遺族の方々は全員、部隊の壕があった場所に建てられた墓標に水をかけます。
今回硫黄島を訪れた日は快晴。気温は27℃。
少し歩くだけで、喉はカラカラになります。

硫黄島戦が最悪の状況だった時には、一日コップ一杯の水、しかも地面に溜まった泥水が飲めれば良い方だと、硫黄島戦生還者の方に聞きました。

兵士の皆さんは、想像を絶する辛さだったでしょう。

遺族の方々は、亡くなった方が目の前にいるように涙ながらに話しかけ、祈りを捧げていました。

結婚後わずか4ヶ月で夫が出征し、摺鉢山で戦い亡くなった方がいます。
その妻である遺族がこう語りました。
「私にとって、戦争は終わらないです。」

この番組の取材を通じて、多くの戦争体験者の方にお話を伺いました。

その皆さんが、戦争で心に傷を負い、整理しきれない、やり場のない苦しみ、悲しみを、今も背負っています。

戦争の不条理さを伝えることが出来ればと思いながら、取材に当たりました。

ドキュメンタリー・カメラマン 中村 仁

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