風のガーデン
宮本監督の編集後記
Vol.11

そして、展開的には少し戻りますが、貞美の最期のシーン。そこには疲れ果てた人間の姿が映っています。実は、撮影数日前に人間の疲れ果てた姿とはどんなものなのかを中井さんと話していたことがあって。冗談で「本番はもも上げ10分やってから撮影しましょうか!」と言ったら、中井さんも「じゃあ、前日寝ないでおくよ(笑)」って返されていた。そしたら当日の中井さんは本当に寝ないで来たんです。目は血走っているし、ダイエットしていたせいで痩せているしで、近寄りがたい空気を放ってましたね。そうして撮ったシーンは、緒形さんが制作発表で話されていたように鬼気迫るものがあり、本当に迫力のある素晴らしいシーンになっています。実はそれがクランクアップのシーンで、終わった時は感動のあまり自分でも恥ずかしいほど大号泣でした(笑)。

今改めて振り返ると、私はこの作品を通して"人は1人では生きていけないんだ"と強く感じました。「風のガーデン」の登場人物たちがそうであったように、人はみんな何かしら後悔を抱えて生きている。それでも、愛したり守ったりしたい人がいるから反省をしたり、また頑張ろうと思えるんじゃないかと。家族、友人…誰でもいい、人とのつながりを持つことで、人は前を向いて生きていけるんだと改めて感じました。この作品は、キャスト、スタッフが力の限りを尽くして作り上げました。最後までしっかりと見届けてください。そして作品を見て、少しでも私と同じ気持ちになってもらえたらうれしいです。

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