風のガーデン
宮本監督の編集後記
Vol.11

いよいよ残すところ最終話のみとなりました。最終話は本当にみどころだらけなんですが、まずはルイの結婚式から。ウエディングドレス姿の黒木さんは抜群にキレイでしたが、ここでは倉本作品ならではの変わった手法が使われています。普通、結婚式のような大きなイベントのシーンはリアルタイムの出来事として描かれることが多い。でも、今回は貞美が妙子に宛てた手紙のナレーションにのせて、過去の出来事として結婚式の映像が入るだけなんです。あくまでもベースはナレーションで、映像はポイントごとに出てくる。これによって見ている人は、いろんなことを"想像する"ことができる。私も大好きな演出方法で、さすが倉本先生だなと感じさせられるシーンになっています。

富良野にやってきた妙子が貞三と会話するシーンも切なく悲しい、そして素敵なシーンになりました。緒形さんはもちろん、伊藤蘭さんの"やりすぎない演技"は本当に素晴らしかった。過剰に感情を言葉に出さないことが、かえって妙子もつらい思いを抱えてるんだろうなと感じさせられます。

後半にある、平原綾香さんがチャペルで歌うシーンも圧巻です。茜が貞美を思って歌うシーンで、実際のチャペルをお借りしてエキストラの方を入れての撮影でした。歌う前の芝居部分では、エキストラの方がいると芝居がやりづらいかなと思ってカメラに映るギリギリの人数に減らして撮影を行っていたんです。ところが、その後にエキストラの方を全員入れた歌部分の撮影でも、本人の「テンションを一定に保つため」という申し入れで芝居部分からすべて返しての撮影となった。すると、このシーンの一部始終を見たエキストラの方たちから、カットと同時に自然に拍手が沸きあがったんです。当然、エキストラの方はこれまでの物語の展開は知らないけれど、彼女の泣きながら歌っている姿から何かを感じたんだと思います。

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