不毛地帯
- 第十五話 -
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あくる日、近畿商事では、社長の大門以下、役員たちが顔をそろえ、経営会議が開かれる。議題はもちろん石油開発とオリオン・オイルとの提携についてだった。会議は、予想通り壹岐と里井が激しく衝突した。が、堂本や武蔵だけでなく、角田までもが壹岐を支持する。激高した里井は、真珠湾攻撃の話まで持ち出し、壹岐を非難した。それに対して壹岐は、だからこそかつて武力で得ようとした石油を日本の将来のために平和な形で得ようとしている、と返す。そうしたやり取りを聞いていた大門は、リスクのないところには利益も繁栄もない、として、社運をかけて石油開発に取り組むことを決意する。

会議の後、壹岐は、大門にあることを頼む。それは、里井の排除だった。あくる日、里井を呼び出した大門は、タクボ工業の社長に就任し、その経営を立て直すよう命じた。突然の話に混乱し、壹岐に騙されないでください、などと声を荒げる里井。大門は、そんな里井に、遺言状の話を打ち明ける。ここ10年の間、大門は、万が一自分の身に何かあった場合のことを考え、毎年元旦に遺言状をしたためていたのだという。その10回とも、後継者には里井の名前を書いた、というのだ。もしこの内示が受けられないのなら辞めてもらうしかない――大門はそう言って社長室を後にした。ひとり残された里井はただ泣き崩れ…。

大門が壹岐を同行させて向かったのは、自由党幹事長・田淵(江守徹)の邸宅だった。そこで大門たちは、近畿商事がオリオン・オイル社と組んでイラン・サルベスタン鉱区の国際入札に参加することを報告し、田淵にその後ろ盾を頼んだ。

そんな中、壹岐は、谷川正治(橋爪功)とともに、舞鶴の五老ヶ岳を訪れる。谷川は、シベリア抑留者が帰還した舞鶴港を見渡せるこの場所に、シベリアで死んでいった仲間たちのための慰霊碑を建てようと決意していた。そこで壹岐は、最後の仕事として石油開発を手がけることになったと谷川に報告する。石油が国家の生命線であることを知る谷川は、戦争で亡くなった者のために必ずやり遂げるよう、壹岐を激励した。

ほどなく、近畿商事が日本石油公社グループを離脱した件が新聞各紙で報じられた。が、その内容は近畿商事を厳しく非難するものばかりだった。

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