不毛地帯
- 第十三話 -
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壹岐の娘・直子(多部未華子)とその夫の倫敦(石田卓也)は、もともと壹岐一家が住んでいた家で暮らしていた。直子夫婦は、東京に帰任した壹岐に、この家で一緒に暮らそうと言って誘った。しかし壹岐は、ひとり暮らしにはマンションの方が便利だといってそれを断る。倫敦は、そんな壹岐に再婚を勧めたが、相手にされなかった。

その夜、壹岐のマンションに秋津千里(小雪)がやってくる。一緒に部屋の片づけをした際、千里は、自作の壺が置かれていることに気づく。それは、壹岐がニューヨークでもずっと大切にしていたものだった。
壹岐に言われて、部屋が片付くまでの壺の置き場所を探した千里は、和室の棚の天袋を開けた。するとそこには、小さな仏壇があり、佳子(和久井映見)の位牌が祀られていた。それを見て、急に帰ると言い出す千里。壹岐は、この部屋を借りたのは千里とゆっくり過ごすためでもある、と言って彼女を引きとめた。
するとそこに、息子の誠(斎藤工)からの電話が入る。五井物産でインドネシアの農業プロジェクトに従事している誠が、予定より1週間早く帰国したのだ。誠は、いまから佳子の仏壇にお参りにいきたい、と壹岐に告げた。一瞬、躊躇しながらも、待っている、と答える壹岐。その気持ちを察した千里は「私は、ここにいない方がいいということですよね」と言い残して、部屋を出て行く。

ほどなく、誠が訪ねてくる。久しぶりの再会を果たしたふたりは、酒を酌み交わそうとした。が、その準備をしていた誠は、流しに置かれていたグラスに口紅がついていることに気づき、母の仏壇があるこの部屋で何をしているのだ、と怒って出て行ってしまう。

半年後の昭和45年12月。石油部長の兵頭信一良(竹野内豊)は、イランで石油鉱区が売りに出されるという情報を入手する。それは、兵頭がかねてから目をつけていたサルベスタン鉱区の可能性もあった。サルベスタン鉱区の資料を持って部屋を飛び出した兵頭は、壹岐のもとを訪れ、石油開発実現に向けて力を貸してほしい、と頭を下げた。兵頭の固い決意を知った壹岐は、ただちにイランに向かうよう指示し…。

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