不毛地帯
- 第十三話 -
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幸い、里井は一命をとりとめる。だが、職場復帰を果たしても、いままでのような激務は務まらない、というのが医師の診断だった。

ニューヨークに戻った壹岐は、海部要(梶原善)や塙四郎(袴田吉彦)、八束功(山崎樹範)に、いままでの努力に対する感謝の言葉を伝えると同時に、東京に戻ることを報告する。引っ越しの手伝いで壹岐のアパートにやってきた八束は、米自動車産業BIG3の残り2社のどちらかと、千代田自動車をつなぎたいと進言する。海部と塙も同じ思いだった。彼らの思いを受け止めた壹岐は、時期を見て千代田自動車に打診してみる、と答えた。

東京に戻った壹岐は、休む間もなく、大阪で行われた株主総会に出席する。その席で壹岐は、専務取締役に選任された。が、ひとりの男がそれに異議を唱え、壹岐は駐日ソビエト大使館のヤゼフ参事官とシベリア時代からつながっているスパイだ、と叫んで持っていたビラを撒いたため、会場は一時騒然となった。

夕刻、大門の部屋を訪れた壹岐は、怪文書の内容は事実無根であると断言する。そんな壹岐に、大門は、君が次期社長の最有力候補だと告げる。大門は、里井と壹岐の関係を例に、実力のある男は自分との距離が近くなればなるほど、考えもしなかったことを考えるようになるかもしれない、と言い出す。それでも大門は、壹岐にならだまされてもいいと思った、というのだ。それに対して壹岐は、自分が統率者の器でないことは一番よく知っていると返し、いままで通りどこまでも大門の補佐という形で使ってほしい、と願い出る。

東京に戻った壹岐は、谷川正治(橋爪功)と再会する。谷川は、シベリアで命を落とし、遺骨もかえらない戦友たちのために、舞鶴に慰霊碑を建てたい、と壹岐に話す。舞鶴は、シベリア抑留者たちが帰還して、最初に踏んだ日本の地なのだ。

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