不毛地帯
- 第十話 -
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数週間後、ニューヨークに千里がやってきた。食事をともにし、ダンスを踊る壹岐と千里。ふたりは、離れがたい思いを抑え、再会を約束して別れた。

別の日、壹岐は、フォーク社との交渉に先がけてデトロイトを訪れ、フォーク側から出資比率を33.4%まで下げてもいいという了承を得る。

同じころ、里井は、角田とともに、壹岐たちの提携案とは別のプラントをまとめていた。が、里井は、ふいに激しい胸の痛みに襲われてしまう。

約束通り千里と再会した壹岐は、ニューヨークのレストランで食事をともにする。千里は、美術館だけでなく、アーリントン墓地などを見学してきたのだという。その席で千里は、東京裁判の前夜に自決した父親の話を持ち出した。「父はあのとき、やはり自決しなければならなかったのでしょうか?」と問われた壹岐は、言うべき言葉を持っていない、と答えて、こう続けた。自分自身も、第二の人生を誤ってはならぬという思いで商社に入りながら振り返れば後悔することの方が多い、と。

店を出た壹岐は、もう少し話がしたい、という千里の願いを聞き入れ、彼女をアパートに案内する。そこでふたりは、遂に結ばれる。

あくる日、壹岐の部屋にやってきたメイドのハル江(吉行和子)は、ベッドに長い黒髪が落ちていることに気づいていた。

そんな中、里井と角田がニューヨークにやってくる。そこで里井は、自分たちが作成したフォーク社との交渉資料を壹岐たちに提示し…。

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