不毛地帯
- 第十話 -
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アメリカ近畿商事の社長に就任した壹岐正(唐沢寿明)は、経営が悪化していた千代田自動車と、米自動車産業ビッグ3の一角、フォーク社との提携を画策した。交渉は困難を極めたが、陸軍士官学校の同期でもある韓国の光星物産会長・李錫源(榎木孝明)の助力を得た壹岐は、フォーク会長(アレキサンダー・バリ)との会談に成功し、千代田自動車との提携に関する委任状を取り付ける。

社長の大門一三(原田芳雄)に委任状を届けるため、帰国することになった壹岐は、途中、韓国に立ち寄り、李のもとを訪れた。李の仲介により、崔大統領(鶴田忍)に会う機会を得た壹岐は、ソウルで地下鉄の敷設計画があり、日本の援助を必要としていることを知る。

帰国した壹岐は、副社長の里井達也(岸辺一徳)を訪ね、千代田自動車とフォーク社の提携に際し、連絡に行き違いがあったことを謝罪すると、崔大統領から得た韓国の地下鉄計画の情報を伝える。それは、里井抜きで提携話を進めたことに対する、壹岐からの手土産だった。里井は、その話に飛びつき、自ら大門に伝えて対策を立てる、と答える。その際、里井は、副社長のひとり、一丸松次郎(山田明郷)が次期社長の座を狙って積極的に派閥作りを進めている、と切り出し、壹岐に意見を求めた。それに対して壹岐は、次期社長は、大門を長年支えてきた里井をおいて他には考えられない、と答える。

東京本社に顔を出した壹岐は、一丸に呼び止められる。一丸は、計画が差し戻された韓国の合繊プラントが、壹岐の交渉のおかげで再検討されることになり、喜んでいた。別れ際、一丸は、里井のことを持ち出し、壹岐が東京に戻ったら関連会社に出すつもりでいるから気をつけたほうがいい、と忠告する。

その夜、壹岐は、銀座で開かれていた秋津千里(小雪)の個展に顔を出す。壹岐が帰国した日に、ちょうど千里から案内状が届いたのだ。2年ぶりの再会を果たしたふたりは、互いに目に見えない結びつきのようなものを感じていた。そこで壹岐は、千里にとって一番思い入れが強い作品だという青磁の壺を譲ってもらう約束をする。

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