不毛地帯
- 第九話 -
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壹岐正(唐沢寿明)は、妻の佳子(和久井映見)を事故で失った悲しみから逃れるかのように、ひたすら仕事に没頭した。近畿商事社長の大門一三(原田芳雄)は、そんな壹岐の心情を察し、アメリカ近畿商事の社長としてニューヨークに駐在してはどうか、と持ちかける。

一方、近畿商事が輸出代理店を務めていた千代田自動車は、社運をかけて開発した新車115タイガーを販売したものの、アイチ自動車のカロナや日新自動車のレッドバードといったライバル車に惨敗してしまう。しかも、近畿商事副社長の里井達也(岸部一徳)が中心となって合併話を進めていた富国自動車側からは、合併は白紙に戻したいとの申し出もあったのだ。里井は、自主独立路線も合併の道も断たれた千代田自動車との取引にはもはや何のメリットもないとして、手を引くべきだと大門に進言した。

千代田自動車の技術担当常務・小牧徹也(小野武彦)は、千代田自動車はもう終わりだ、と壹岐に告げる。他社がより低価格の対抗車をぶつけてきたのは、小出宏(松重豊)がタイガーの情報を漏らしたせいだ――小牧はそういって涙を流した。

ニューヨーク行きを決心した壹岐は、交換条件としてひとつだけやりたい仕事がある、と大門に願い出る。それは、千代田自動車と米自動車産業ビッグ3の一角、フォーク社との提携を実現させたい、というものだった。大門は、それを了承すると、自ら千代田自動車サイドやメインバンクとの交渉役を買って出て、この件は社内でも極秘扱いにするよう壹岐に命じた。

その夜、壹岐は、娘の直子(多部未華子)にニューヨーク赴任の話を伝える。すると直子も話したいことがあるという。そこで直子は、鮫島辰三(遠藤憲一)の息子・倫敦(石田卓也)と結婚したい、と切り出す。直子と倫敦は、鮫島からも結婚を反対されていた。だが、直子の決心が固いことを知った壹岐は、倫敦との結婚を許す。

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