不毛地帯
- 第七話 -
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同じころ、壹岐家では、佳子たちが壹岐の帰りを待っていた。直子と誠は、いつものことだ、と壹岐を待つことを諦め、先に食事を始める。

千里たちが店を出た後、壹岐は、ひとりで飲んでいた。そこに近づいてきた紅子は、千里がホテルの名前を言ったのは、自分の気持ちに区切りをつけたいからだ、と壹岐に告げ、ホテルの電話番号を書いた店の名刺を壹岐の上着のポケットに入れた。「何を怖がっているの? 千里さんにのめりこみそうだから? それとも、奥さんに叱られるから?」。壹岐は、そんな紅子の言葉を否定すると、自分たち夫婦のことは君のような女性にはわからない、と言って店を出て行く。

壹岐が自宅に戻ると、玄関の前に小出がおり、中の様子をうかがっていた。小出は、壹岐に礼を言いに来た、といって笑い、これからもよろしく頼むなどと言い残して去っていく。
佳子は、帰宅した壹岐に、小出と何かあったのか、と尋ねた。誠が帰ってくることを壹岐が忘れていたと知った佳子は、いままでずっと我慢していた不満を口にした。一緒にいても家族を思う気持ちがないなら壹岐がシベリアに抑留されて離れ離れになっていたときより酷い、というのだ。佳子は、自分にとっては家族がすべてであり、一緒にいられることが何よりも大切だ、といって涙を流した。その言葉を聞いた壹岐は、佳子に謝り、そっと抱きしめた。

鮫島を直撃した田原は、東京商事が仲介役になって、東和自動車とフォーク社の提携を進めようとしていることを確信する。

大門は、タキシードに着替え、フォーク会長の歓迎レセプションに出席する準備をしていた。だが、その席に出席できないとの報告を受けた大門は、秘書を怒鳴りつけ、怒りをあらわにした。
そのころ、壹岐や里井たちは、「舞い降りたフォーク」という田原が書いた夕刊記事を手にして…。

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