不毛地帯
- 第六話 -
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壹岐正(唐沢寿明)、兵頭信一良(竹野内豊)ら近畿商事業務本部の面々は、イスラエルとアラブ諸国の関係が緊迫しているとの情報をつかみ、第三次中東戦争の勃発を予測する。もし中東戦争が起き、地中海と紅海を結ぶ重要な航路になっているスエズ運河が封鎖されれば、ヨーロッパ航路はケープタウン回りとなり、運賃の高騰や船の需要が高まることが予想された。この戦争はイスラエルが1週間から10日以内に勝利し、スエズ運河が長期に渡って封鎖されると分析した業務本部は、船舶部にタンカーを確保するよう指示する。

その一方で、壹岐たちは、紅子(天海祐希)の夫で、インドネシア華僑の実力者でもある黄乾臣(石橋蓮司)から、1万トン級の戦標船5隻を至急手配してほしいと依頼されていた。戦標船とは、第二次大戦時に建造された米・英の戦時標準船のことで、その多くは廃船になっているものの、中には貨物船として売買されて運航しているものもあった。壹岐は、近畿商事が東南アジア貿易を展開していく上で、重要な拠点となるインドネシアを押さえるためには黄の力が必要だと船舶部部長の峯(大高洋夫)に訴え、戦標船の手配を急がせようとした。しかし、業務本部のやり方に反発する峯は、中東戦争に関する壹岐たちの分析をも疑問視し、大型タンカーの発注を見直すとともに、戦標船の手配も拒む。

するとそこに、戦標船の件は目途が立ったという黄からの電話が入る。情報を聞きつけた東京商事の鮫島辰三(遠藤憲一)が、黄の出した条件に見合う戦標船を手配していたのだ。それを知った壹岐は、副社長の里井達也(岸部一徳)に直訴し、1隻40万ドルを切る戦標船を手配できれば決裁するという約束を取り付ける。

兵頭が黄の説得に向かっている間、壹岐は、イスラエルに強いパイプを持つ日東交易の社長・安蒜公一(団時朗)を再び訪ね、戦標船の手配を依頼する。それに対して安蒜が出した条件は、日東交易が手がけているイスラエル・オレンジの輸入を、今後3年間、近畿商事が引き受ける、というものだった。

安蒜の力添えで、戦標船を1隻35万ドルで入手できるルートを確保した壹岐たちは、食品部部長の山本(岸博之)にイスラエル・オレンジの件を、峯には黄との取り引きを進めるよう依頼した。

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