不毛地帯
- 第五話 -
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会社に戻った壹岐は、情報提供と引き換えに安蒜から頼まれたイスラエル産オレンジの輸入を食品部に依頼する。それを知った里井は、食品部の部員たちに向かって、自分も業務本部の在り方には検討すべき点があると思っているから何か問題があれば報告してほしい、と告げた。
紅子から連絡をもらった兵頭は、日本にやってきた黄に会う。黄は、インドネシア華僑の四大財閥のひとりで、世界中にネットワークを持つ東南アジア貿易のキーパーソンだった。
カイロから戻ってきたという黄は、スエズ運河は必ず封鎖される、と兵頭に告げた。それを見込んで、黄は、近畿商事に1万トン級の戦標船を1隻40万ドル以下で5隻用意してほしい、と依頼する。期限は明後日まで、という厳しい条件だった。壹岐は、ただちに船舶部にかけあうよう、兵頭に指示した。
するとそこに、安蒜からの電話が入る。アカバ湾がアラブ連合に封鎖された、という知らせだった。壹岐は、大門と里井にそれを報告し、第三次中東戦争は短期のうちにイスラエルの勝利に終わる、という業務本部の分析結果を伝えた。しかし里井は、アラブ連合の方が戦力的に優位であること、さらには壹岐が関わった日東交易の件や、戦標船手配の件を持ち出し、勝手に動かれては困る、と壹岐を非難する。大門は、そんな里井をたしなめ、ただちに緊急役員会を招集するよう命じた。
同じころ、黄が近畿商事に戦標船の手配を依頼したことをつかんだ鮫島は、それを奪い取ろうと動き出していた。
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