不毛地帯
- 第四話 -
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その夜、川又は、防衛庁に辞表を提出すると、その足で壹岐の家を訪れる。事情を聞いた壹岐は、グラントの価格見積表を入手するよう小出に命じたことを告白し、川又に謝った。その際、川又は、自衛隊の次期戦闘機がラッキードF104に決まったことを壹岐から教えられる。だが、もはや自衛隊に自分の居場所がないことを悟っていた川又は、国民に支持してもらえる自衛隊を作りたかった、とその無念の思いを口にした。
川又と酒を酌み交わした壹岐は、彼を駅のホームまで見送った。電車の中から、壹岐に敬礼をして笑顔を見せた川又。それが、彼の最後の姿だった。川又は、自宅とは逆方向の線路で、轢死体となって発見されたのだ。川又の妻・久代(長野里美)から電話をもらい、事故現場で身元の確認をしたのは壹岐だった。
壹岐は、妻の佳子(和久井映見)とともに川又の葬儀の手伝いにいった。焼香にやってきた貝塚は、川又の死が公務死扱いになるよう取り計らおうと思っている、と壹岐に告げると、こう続けた。「もし遺書のようなものを君が預かっていたり、今後出てくるようなことがあったら、処分してくれるだろうね」。その言葉に怒りを爆発させた壹岐は、貝塚の胸倉につかみかかった。佳子に止められた壹岐は、自責の念、そして貝塚に対する怒りをどうすることもできず…。
壹岐は、久松の元を訪れ、今回の力添えに対して礼を言った。毎朝新聞の記者・田原秀雄(阿部サダヲ)は、川又が本当は自殺したのではないかと疑っていたが、壹岐は何も言おうとはしなかった。夕刊の一面には、自衛隊の次期戦闘機がラッキードF104に決定した、との記事が踊っていた。同じ新聞の片隅には、川又の事故死に関する記事も掲載されていた。
あくる日、大門の元を訪れた壹岐は、退職させてほしい、と願い出るが…。
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