不毛地帯
- 第一話 -
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繊維部に戻った壹岐は、千里の訪問を受ける。千里は、清輝から、防衛庁の戦史室で役立つのなら、と、父・紀武が日中戦争について書いた回想録を託されたのだという。戦史室に知り合いがいる壹岐は、千里からそれを預かった。その際、千里は、父のお参りにきてくれたお礼だといって、自作の青磁の花器を壹岐に手渡す。

大門とともに渡米した壹岐は、ニューヨーク支店繊維部の海部要(梶原善)に同行し、日本の繊維業界が置かれている状況の一端を垣間見る。その夜、ホテルでは近畿商事主催のパーティーが開かれた。海部によれば、こうしたパーティーも情報収集のための場なのだという。

別の日、壹岐は、ロサンゼルス支店・塙四郎(袴田吉彦)の案内で、ラッキード社を訪れ、F104を目の当たりにする。その機体構造に強い興味を抱いた壹岐は、テスト・フライトを見るために、コントロールタワーに向かった。するとそこにいたのは、川又たち防衛庁の調査団だった。川又たちは、ラッキードF104の性能を調査しに来ていたのだ。

その夜、壹岐は、大門とともにロサンゼルスの日本料亭を訪れる。そこで壹岐は、今回の出張は、最初から川又と自分を引き合わせるためのものだったのではないかと大門に迫った。すると大門は、テスト・フライトに防衛庁の調査団が来ることは知っていたが川又がいたのは偶然に過ぎない、と返す。そこに川又がやってくる。川又は、2次防の候補機のうち、最有力候補はテスト・フライトでも優れた結果を出したラッキードF104だと大門たちに告げた。だが、このままでは、グラントのスーパードラゴンに決定される可能性が高い、と続ける川又。
グラントを推す東京商事の航空機部部長・鮫島辰三(遠藤憲一)が、防衛庁の権力を握っている官房長の貝塚道生(段田安則)を味方に引きこみ、総理派の人間にも金をばらまいているのだという。川又は、戦闘機は政治家の利権のためではなく、国を守るためにあるべきだと主張し、力を貸してほしいと壹岐に告げる。その言葉を受け、大門も、航空機部に移って力を発揮してみてはどうかと壹岐に言った。しかし壹岐は、それだけはできないと言い残して席を立ってしまう。

壹岐の後を追った川又は、外部から働きかけることができる商社の力が必要だ、と改めて訴えた。国を守り、2度と戦争をしないために、させないためにラッキードF104が必要だ、と――。
川又の言葉に心を動かされた壹岐は、帰国後、大門に航空機部への異動を願い出る。「2度と同じ過ちを犯さないように国を守り、発展させていくこと、それが私の使命です」。壹岐は、強い決意を胸に、大門にそう言った。

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