天河伝説殺人事件
- あらすじ -

能楽堂のロビー。ルポライターの浅見光彦(中村俊介)と母の雪江(野際陽子)は、作家の内田康夫(伊東四朗)と「旅と歴史」の藤田編集長(小倉久寛)とばったり出会う。雪江は内田先生のせいで、浅見が探偵ごっこをしていると少し不機嫌だ。

「道成寺」の山場である鐘入りの場を迎えようとしている。2人の僧侶が落下した鐘に向かって祈祷(きとう)する中、鐘が重たげに上がっていく。鐘が吊り上がると、うろこ模様の蛇装束に変身した和鷹が現れた。その顔に付けた「雨降らしの面」。和鷹の全身がぐらっと傾いて、倒れた。
能楽堂・鏡の間。水上家の家庭医である広田(井原啓介)が和鷹を診るが、すでに息はなく、死んでいた。広田は毒物の服用を指摘する。高崎は「水上家の体面が損なわれないようにご配慮を」と広田に頼む。
崩れそうな秀美を支える奈津美。雪江が浅見に「宗家のお孫さんで、和鷹さんの妹の秀美さんですよ」と紹介する。秀美は浅見に、和鷹が今回、特別に「雨降らしの面」を使っていたことを伝える。

浅見家。雪江は演能会の後、浅見にお見合い相手として、秀美を紹介しようとしていたことを打ち明ける。浅見の死んだ父親が水上流の高崎に謡いを習っていて、高崎が浅見のお相手に秀美をどうかと言ってきたのだ。
水上家。仮通夜に浅見と雪江が弔問している。浅見が通りの物陰に視線を送ると、喪服の中年女性がひっそりと立っている。
稽古場。秀美がありし日の兄・和鷹をしのびながら、静かに舞っている。浅見は和鷹のことについて、秀美に聞こうとしたが、秀美の気持ちをおもんぱかって下がる。
浅見家。雪江、兄の陽一郎(榎木孝明)、浅見の3人がグラスを傾けながら話している。陽一郎は警察庁刑事局長だ。陽一郎によると、戦後、パトロンだった華族や財閥の解体によって、苦しい時代を迎えた能楽界に国が保護の手を差しのべるべきだと主張したのが、大蔵省の主計官だった浅見の父だった。国は父の主張に聞く耳を持たなかったので、父は進駐軍の高級将校たちに能楽を観せたという。その時、太夫を務めたのが、水上流の若き宗家、和憲だった。

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