耳なし芳一からの手紙
- あらすじ -
ルポライターの浅見光彦(中村俊介)は歴史探訪と観光スポットの取材で山口県の下関を訪れていた。壇ノ浦の合戦で敗れ、幼くして入水した安徳天皇が祀られている赤間神宮に浅見がたたずんでいると、琵琶の音色が聞こえてきた。音色に誘われ、浅見がたどりついたのは七盛塚。その墓前で年配の女性(長山藍子)が琵琶を弾奏している。塚の手前に立つ小さなお堂(耳なし芳一堂)の両耳のない芳一像の背後に古老(勝部演之)がひっそりと立っている。
浅見は2泊3日の取材を終えて、高速バスで帰途についた。その車中で、浅見は池宮果奈(松本莉緒)という女性と出会った。果奈は家出をしてきたという。浅見の1列前の座席に耳なし芳一堂で見かけた古老が座った。その隣には三十年配の女性が座る。浅見と果奈が話していると、古老が「あ、あの女にやられた!」と断末魔の声を振り絞りながら、崩れ落ちていった。
浅見は下関警察署刑事課で取り調べを受ける。手島警部(中西良太)は浅見が刑事局長の弟と判明すると態度が一変する。
霊安室の遺体。古老は、東京・田園調布在住の永野仁一郎(勝部演之)という名前で、鉄鋼商社の永仁産業の社長の地位にあったが、数年前に相談役に退いていた。死因はアルカロイド系の毒物による急性心不全だった。所持品には、1通の封書があり、裏には「耳なし芳一」の五文字があった。中には便箋が1枚入っており、「火の山で逢おう」と書いてあった。
警察署の前で、果奈が待っていた。果奈は長府の土建業会社の娘で、父親がやりたいことを認めてくれず、家出をしてきたという。父親は果奈に婿養子をとって、土建業を継がせたいのだが、果奈は漫画家を目指していた。東京に帰る浅見について行くと言い張る。ルポライターの浅見にどこか出版社を紹介して欲しいというのだ。
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