悪魔が来りて笛を吹く
今回の事件
横溝正史でさえ、この恐ろしい事件を発表するのは気が進まない、というほど陰惨であり、呪いと憎しみに充ち満ちている。それが今回の事件である。
昭和22年、"世紀の犯罪"とまで言われる「天銀堂事件」が起きる。宝石店の従業員を殺し宝石をごっそり盗んだ大量殺人強盗事件は、白昼堂々、銀座で起きた大胆な事件であるにも関わらず迷宮入りの様相を見せていた。
一方その頃、信州霧が峰の林で、子爵・椿英輔氏の自殺死体が発見され、世の中をさらに騒がせることとなった。その後「天銀堂事件」では、生存者の証言を元に日本発のモンタージュ写真なるものがつくられることになったのだが、証言はみなまちまち、混迷を深めるばかりだった。
戦後の焼け跡に残った椿子爵の家には、妻・秋子、娘の美禰子、秋子の父・玉虫公丸、秋子の兄・利彦、利彦の息子・一彦といった一族の他に、秋子の主治医・目賀重亮、玉虫公丸の小間使い・菊江、書生の三島東太郎、お手伝いのお種たちが、濃密な人間関係を繰り広げていた。
ある日、亡くなった椿子爵のものと思わせるフルートの音が邸宅に響き渡る。屋根の上には、なんと黄金のフルートを吹く怪人がマント姿で立っていたのだ。
恐怖が屋敷中を震え上がらせる。
父は死んでいなかったのか…!?
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