ハチワンダイバー
-第1話-
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実際、10年間真剣師を生業にしている飛鷹は、相当の棋力の持ち主で菅田をリードする。しかし、将棋をはじめて20年でプロを目指していた菅田も、プライドに賭けても負けられない。そんな菅田を「将棋にしがみついているヤツ」と、飛鷹は挑発するように言い、いらつく菅田は次第に追い込まれていく。再び、悪夢となるのかと思ったとき、そよが菅田の肩に手をかける。その温もりを感じた菅田は、荒い呼吸を沈め目を閉じて深呼吸をはじめる。すると、かつて師匠から言われた「9×9の81マスの将棋盤に潜るんだ。深く深く深く、この盤に潜るのが将棋指しだ」という言葉がよみがえる。プロにはなれなかったが、将棋が自分のすべてであると痛感した菅田は今、その言葉の真意をはっきりと認識する。そして、深呼吸がピタリと止まった瞬間、目を開く。菅田が見つめた盤上の駒が動き出すイメージが脳内を駆け巡り、その動きが加速を続けたとき、再び目を閉じた。すると、菅田は深海のような青く広い空間に沈んでいるのに気づく。どうやら、81マスのなかにダイブしたようだ。そこには、巨大な将棋盤と光り輝く空間がある。

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