…数時間の豪華クルーズ。
しかし、船上という非日常的なシチュエーションは、二人の経験不足な意識を酔わせ、辺りを行き交う他の乗客たちが、まるで僕ら二人だけの物語を際だたせるためのエキストラであるかのような錯覚に陥らせる。
やがて、船は『日の出ふ頭』に到着。
「屋形船とまた違った楽しさがあったね」
「景色もお料理もすごく良かった。また来ようね」
「うん。絶対また来よう」
上映を待ち続けた映画をようやく観終わり、想像以上の感動に浸っている時のような二人。また、祭りの後の寂しさみたいな気分も抱きつつ、僕たちは駅まで歩いた。
「あっ電車が来たみたいだね」

「好きだよ…」
「え?今なんか言った?」
「ううん、なんでもないよ」
「えー、言いかけたら口にしないと気持ち悪いよ〜」
「急がないと遅くなっちゃうよ」

僕をおいてA子は駅まで駆けていく。
「待て〜、ほら捕まえた。」
「さっきなんて言ったんだよ〜」
「知〜らない」
「なんだよ、それ〜アハハ」
「アハハハハハ」
「アハハハハハハ」

駆け込み乗車で飛び乗ったゆりかもめでも終点に到着するまで二人の笑い声が止むことはなかった。

To be continued…

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