#113 スタッフからのメッセージ

■ミリー・ラ・フォレはパリから車で60キロととても近く、フォンテーヌブローが近くにあるということもあり、緑が多く、別荘やバカンスを過ごすための施設も数多くあります。そして、町のはずれには番組の冒頭にも出てきたサン・ブレーズ・デ・サンプル教会が静かに佇んでいます。この教会は住宅街の中にあり、注意深く探さないとうっかり見過ごしてしまうくらい、小さな教会です。しかし、中へ入った部屋一面のジャン・コクトーの描いた絵には圧倒されてしまいます。こんなに大胆に絵を描くのはコクトーならでは。入り口を入って正面にコクトーの描いたキリストの絵。その回りを取り囲むようにして描かれている薬草の絵。コクトーはこの地で晩年を過ごしたと言われていますが、その時に、この教会をコクトー風に造ったのだそうです。
さて、そんなコクトーが晩年を過ごすのに選んだここ、ミリー・ラ・フォレはこの上なく緑の豊富な場所。フランスには様々ないい所がありますが、パリに近くてこれだけの自然が多く残っているところも珍しいのではないでしょうか。もともと、この町は薬草栽培が町の産業でした。この土地が薬草栽培に向いていたことで発展してきたそうです。しかし、医学の進歩により徐々に「薬としての薬草」を必要としなくなってきたのです。そうしてだんだんと薬草農家が減り、今では取材させていただいたビエヌルさんのお宅だけになってしまいました。ビエヌルさんは4代続く薬草農家。一家がここまでやって来られたのはミントのおかげなのだそうです。それはビエヌルさんのお父さんが「薬としての薬草は廃れても、薬としてではない新しい薬草の使い道があるはずだ。だから、私たちは薬草を作り続けよう」と言ったのです。そこから、ミントを中心に新たな薬草栽培を始めたのだそうです。一時期はそれでも危ない時期があったそうですが、ミントのおかげで今日までやってこられたのだと、娘のカトリーヌさんは言います。まさにミントが救世主。
話は変わりますが、今回、この薬草農家のビエヌルさんは私達の取材の他に、地元のテレビ局に密着取材されていました。そこで、私たち取材班も成り行きで、その番組にバッチリ出演してしまったのです。いつも撮る側の私達、逆に撮られるという側になるのは変な感じで緊張してしまいました。「打ち合わせ風景を撮ってもいいですか?」「どういった番組で取材に来たのですか?」「今までフランスで取材した中で一番おいしかったものは?」などなど質問攻め。どっちが取材対象なのか良くわからない状態になってしまい、ある意味一番大変な取材だったかもしれません。しかし、最後には「お互いにがんばりましょうね!」と言って国を超えた(?)連帯感が生まれたのでした。

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