#112 スタッフからのメッセージ
■取材した町、ル・クロトワはピカルディー地方の海沿いにある小さな町。人々はのんびりとした雰囲気。海からの風もとても心地よい素敵な町です。その町に面しているソム湾は自然保護地域にも指定されている地域で、その広さは約3000ヘクタール。そして、このソム湾の特徴はなんといっても満ち引きの大きさ。日によって引き方は変わりますが、最も引く日は陸から海までの距離が7キロにも及びます。たくさんの鳥が広大な干潟の真っ青な空を飛び回り、小さな水たまりで羽根を休める。引き潮を見計らって白馬に乗った観光客の姿もありました。この空間はあまりに広すぎて時間の概念を忘れてしまうような感覚さえしました。
さて、この干潟は他に近くを流れるソム川、メイ川という川の水も流れ込んでいるのですが、それがポイント。淡水と海水が交わりあうので、様々な植物が育つのです。
サリコルヌは実にフランス全土に出回っている90%がここソム湾で採れたものなんだそうです。日本では殆ど馴染みのないものですが「海のインゲン豆」の名に相応しく、ビタミンA、B、D、ミネラルが豊富。フランスではナチュラルなオーガニック食材として注目されているのです。パリなどの内陸の都市に行くとサリコルヌは酢漬けになって、ピクルスのようにして食べることが多いのですが、生のサリコルヌはつやつやとした表面に光るような緑色。その味は海水の塩分が程よく効いていて、そのまま食べてもとてもおいしかったです。スタッフ内では「このまま酒のつまみにもなりそうだ」と言ってみんな大変気に入っていました。
所でサリコルヌはサリコルヌ、と言う名前が一般的ですが実は地元ではそうは言いません。ここでは通称passe-pierre。これは「聖ペテロが通り過ぎたあと」という意味で、昔サリコルヌは聖ペテロのお祭が終わった後がサリコルヌの収穫時期と重なったためその呼び名が残ったものなのだそうです。ちなみにご存知の方もいると思いますが聖ペテロはキリスト十二使徒の一人でローマ教会の創始者とされています。
さて、ソム湾ではサリコルヌの他にも豚の耳の形をしているアスペーと呼ばれる植物も美味。これも塩味が効いていておいしいものでした。これは調理せずにそのままサラダにして食べるものなのだそうです。
日本では生で食べられる機会は少ないと思いますが、輸入食品店で酢漬けを見かけたら是非その味を試して見て下さい。
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