#99 スタッフからのメッセージ
■ニームという町はこの番組でも何回か取り上げられていますが、町の印象は古代と現代の融合とでもいいましょうか、ガラス張りの新しい建物があるかと思えばフランス最古の闘技場や神殿が残っている不思議な町です。
そんなこの町の特産品、ブランダッド・ド・モリュは鱈を砕いてピューレにしたものですが、実はブランダッドは鱈にしかできないのだそうです。鱈は寒流の魚なので、皮と身の部分に寒さを守るため脂肪分を蓄えています。その脂肪分が油と混ざることにより乳化し、混ざれば混ざるほどに白くふわふわしたピューレになるのです。今では機械でオートメーション化され機械で混ぜていますが、昔は人の手によって作られていました。勿論、人の手によって作られていたのは当たり前のことですが、実はこれはとても大変な作業。私たちは取材する前の打合せの時に工場の方に昔ながらのブランダッドの作り方を実演していただいたのですが、これが本当に大変!すり鉢の中に砕いた鱈を入れ、少しずつすこしずつオリーブオイルを加えて、ひたすら混ぜるのですが、丁度メレンゲを作ることを想像していただくと解りやすいと思います。そのメレンゲ作りよりも根気がいる作業でした。実演してくださったのは、体の大きい男性の方だったのですが10分ほど混ぜてくたびれてしまいました。
そんな大変な作業があってこそ、ブランダッドはニームで有名になったのですが、元々は王宮がなくなった後、そこで働いていた料理人達が一般のレストラに散り、そこでこのブランダッドを使った料理を作り、広まったといわれています。貴族しか味わえなかった味を庶民たちにも味わえるようになったわけです。
その料理の活用は本当に様々。冷たい料理、温かい料理、そしてデザートに使われたりと、その美味しさは変わりません。ソース代わりにサラダに添えたり、ラザニアの間に挟みトマトソースをかけたり、コロッケにしたり……。
今回お料理をつくってくださったレストランのシェフは今まで色々な世界のレストランを渡り歩いてきた方で、料理に対する思いも人一倍でした。ブランダッドのお料理もシェフがいかに皆さんに作った料理を美味しく食べてもらうかということを考え、研究に研究を重ねてきたメニュー。そんなシェフは日本料理にも興味津々でブランダッドだけではなく他の素材も日本料理と融合できないだろうか?と、早くも職人の顔を覗かせていました。
この「ブランダッド・ド・モリュ」は日本では一部の輸入食品店にで取り扱っているとのことですので皆さんもその味を試してみてください。
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(C)フジテレビジョン