#98 スタッフからのメッセージ
■カスレはフランスの百年戦争当時(1337-1453)体力も精神力も尽きた兵士達のためにカステルノダリーの村人達が村に唯一残っていた食材をかき集めてカソールに入れて作ったというのが始まりなのだそうです。そのかき集めた食材というのが、インゲン豆、豚肉、鶏肉。油をふんだんに使っていたので、きっとギトギトするのだろうと思っていましたが、食べてみるとこれがとっても美味! 全く脂っこくなく、お肉はしっとりとしていて、インゲン豆独特の臭みもなく素材の良いところがぎゅっと詰まった濃厚なお味でした。これが600年続いてきた郷土料理なのだと思うと感慨深いものがありました。とはいえ、日本ではあまり知られていないこのカスレはフランス南西部ではとても有名な郷土料理。今ではトゥールーズ、アルカッソンヌそしてカステルノダリーと3種類のカスレが主流なのだそうですが、そんなカステルノダリーのカスレは名前がついた通り、発祥の地なのです。
運河沿いの工房は唯一手作りで陶器を作っているところで、ご家族全員がろくろを回し陶器を作っていらっしゃいました。昔ながらの工房は映画に出てきそうな雰囲気で、窓から差し込む光や色は優しく、とても素敵な空間でした。
カソールを撮影していると買い付けに来ていたフランス人のご夫婦が興味を持ったようで、撮影と同じカソールを買っていかれました。こんな形で売り上げに貢献できるとは……。その甲斐あってか、帰りがけにご主人が「このカソールをプレゼントするよ!」と言うのです。えっ! と割れないように日本に持って帰るのは大変かも……と思いつつもスタッフ全員一つずつ持って帰りました。でも、暖かいご主人のご厚意に感謝です。
そんなカスレは街のお総菜やさんでは当たり前。取材に伺ったこのお総菜やさんは店頭以外にレストランにもカスレを卸しているそうです。そんなカスレ作りの開始は朝6時。♪朝一番早いのは……の歌通り、食べ物屋さんの朝は早く、無理を言ってカスレ作りの行程を撮影させていただきました。撮影も順調! さあ、オーブンに入れるぞ! と思った瞬間「ガツン!」という音と共にお店の中が真っ暗になってしまったのです。ブレーカーでも落ちたのかと思ってそのまま待っていると「電力会社のストライキだって」と一言。「普及の見込み無し」と言われ、慌てて外に出てみると他のお店の方も外に出てきて困っている様子。ご主人は「なんとかなるよ」と何事もなかったように作業を続けていました。ありがたくも(?)太陽が昇り、明るくなってきたのでよかったものの、改めてフランスは凄いと思った瞬間でした。
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