#90 スタッフからのメッセージ
■地中海に注ぎ込むローヌ川の二つの支流が作り出した湿地帯のデルタ地帯・カマルグ。その西端に位置するサント・マリー・ド・ラ・メール(海の聖マリアたちの意)は、夏に闘牛が行われるというとても小さな街でした。中心にある教会には、マリアの召使いだった黒人サラの像がまつられていて、毎年5月に行われるジプシーたちの巡礼には、この像が教会から海に出るのだそうです。
その街から海岸線の悪路に車を走らせること20分(途中から一般車両は通行禁止なので注意)、カマルグの中心辺りになる位置がフィリップさんの猟場でした。ここでの漁を許されているのは、この地区で5人。2.7センチ以下の貝は採らずに海に戻すことを原則として、テリーヌ漁が行われています。取材の時期はまだ3月半ば。天気の悪い日には海水の温度も下がり、1時間も浸かっていたら体が凍えてしまってとても漁にはならないとの事でしたが、そこはこの番組のスタッフ。普段の行いが幸いしたか(?)、漁の当日は今年一番の暖かい日となりました。
 驚いたのは、彼が持っていた道具で、熊手の大きなのだけでも20キロはあるのではないかと思うほど。それを体に重りを着けた状態で(深いところにいくと体が浮いてしまうため、5~6キロの重りを体に巻く)、砂を掻きながら進む重労働を糧としているとは、なんとサディスティックな!と思ってしまうほど大変な作業なのでした。長いときは朝早くから10時間以上も海に入っているとのことで(夏場は日の沈むのが遅いので長い間漁ができる)、本当に頭の下がる思いをスタッフ全員が感じたのでした。
 テリーヌと聞くと、レバーや肉などをペーストにして固めたものを思い浮かべますが、そのテリーヌは『terrine』。貝のテリーヌは『telline』で別名「海のインゲン豆」と呼ばれる貝で、フランスでもこの地方やプロヴァンスの人々にしかあまり知られていない貝なのだそうです。海で採った貝をそのまま開いて食べさせてもらいましたが、アサリのように身に厚みはないけれど、とても甘みのある貝でした。料理については、一番オーソドックスな食べ方を紹介していただき、味見をさせていただくと、とても美味でしたが、日本人としては、ニンニクだけを少し入れて酒蒸ししても十分いける! と感じたのでした。南フランス風な食べ方をしてみたい方は、アサリにアイオリソースを絡めて作ってみることをお勧めします。

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