金賢姫を捕らえた男たち
- 番組紹介 -

◇事件は――
1987(昭和62)年11月29日、韓国の民間機に時限爆弾を仕掛け、飛行中に爆破させるという許されざるテロ行為の罪を、北朝鮮は日本人になすりつけようとしていた。金賢姫は、「シンイチ」と名乗るもう一人の工作員・金勝一と共に偽造パスポートを使い、大韓航空機にイラク・バグダッド空港から搭乗。機内に手荷物として持ち込んだ爆弾を9時間後にセットし、経由地であるアラブ首長国連邦・アブダビ空港で降りた。その後大韓航空機は、乗客乗員115人を乗せてアブダビを飛び立ち、次の経由地であるタイのバンコクへ向かう途中、突然消息を断ち墜落した。
かたやテロの任務を遂行した二人は、そのままローマ行きの便に乗り、そこから北朝鮮へ戻って姿をくらますという次の任務に取りかかっていた。この任務もほぼ成功するはずだった。しかし、中東を出国する直前、3人の日本人大使館員の働きによって計画は瀬戸際で阻止され、二人の身柄は確保された。自らの身元を隠蔽(いんぺい)するために、彼らは監視の目を盗みタバコに隠されたアンプルを噛(か)み砕き服毒自殺を計った。結果、シンイチは死亡し、マユミは一命を取り留めた。事件から約1ヵ月後、生き残った女の真の正体が明らかにされた。
金賢姫(キム・ヒョンヒ)――、これが女の本当の名前だった。
1988年1月15日に開かれた会見で金賢姫はこう語った。
「私は、北朝鮮の特殊工作員で、ソウルオリンピックを妨害するために大韓航空機を爆破しました」
そしてまた、金賢姫の供述によって、北朝鮮の驚くべき国家的犯罪が初めて公になった。金賢姫を日本人に見せかけるための教育をさせられた「日本人拉致被害者」の存在がようやく明るみになったのだ。あの横田めぐみさんが拉致されてからも既に、10年もの歳月を経てようやく。もし、この事件で金賢姫の身柄を確保できなかったとしたら、拉致問題の進展はもっと遅れていたのではないかと言われている。

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