純愛ディソナンス

毎週木曜よる10時

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毎週木曜よる10時

Special Talk 後編

役のバックボーンについて教えてください。正樹も冴も、心に中にいろいろと抱えている思いがあるようですが、そういう役柄に対してどのようなアプローチで取り組んでいるのでしょうか。

中島裕翔(以下 中島) 新田正樹は、家族との確執もあるし、優秀な兄と常に比較されて暗い人生を歩んできたので、どこか社会を冷めた目で見ているようなところがあって。本当は夢とか、自分のやりたかったこともあったと思うんですけど、そういうのもすべて諦めて、「無理して生きるのを止めよう」と誓った人間というか……。で、そういう中で唯一、正樹のことを気にかけてくれたのが小坂先生(筧美和子)なんですけど……。とにかく、人を観察するのが得意で、彼のモットーみたいなものがあるんですけど、それが「人が望んでいるものを与える」ということ。ある種これは、僕らみたいな職業の人たちも同じで、何を求められているか理解していると思うんですね。それは良い意味でも悪い意味でも空回りしちゃうことがあるんですけど、意外とそこは使い方が違うだけで、共通点でもあると思うんです。そういう自分の中にある正樹の要素みたいなものを探して、そこから広げていくしかないんですけど、やっぱり理解できないようなバックボーンとかもあるので、想像に想像を重ねていって、というアプローチですね。いままであまりやったことがない役なので、見てくださる方にも新鮮だと思います。いろいろ難しいところもあるんですけど、その難しさも楽しんで演じていけたらなと思っています。

吉川愛(以下 吉川) 冴は、小さいころからお母さん(富田靖子さん演じる和泉静)にもの凄く強い愛を押し付けられて育てられていて……。なので、母親の嫌な部分が見えてしまうというか、どんどん嫌いになってしまう。でもやっぱり自分の母親だから好きな気持ちもあるし……という冴の複雑な気持ちを感じていて。冴にとって親は反面教師というか、そうはなりたくない、という存在でもあり……。本当に純粋で可愛らしくて芯の強い女の子なので、生意気な感じではなく可愛いと思える冴にしたいなと思っていて。お母さんに見せる顔、正樹さんに見せる顔、友だちに見せる顔が全然違ったものに見せていかなきゃいけないな、と思っています。

共演者のみなさんについてもお聞かせください。中島さんは、後輩の髙橋優斗さんと再共演になりますが……。

中島
さっき彼が控え室でメイクをしていて、そのときにいろいろ話したんですけど、「憧れの先輩、いるの?」って、まあテンプレートですけど聞いたんですよ。そしたら、まず「中居(正広)くん」と。その後、何人かの名前が出てきて、最後に僕の名前が……。「なめてんな、コイツ」って思って(笑)。『SUITS/スーツ2』のときにゲストで出演してくれたんですけど、そのときとはまた表情も違っていて、「成長しているんだな」って思いました。親心とまではいかないけど、見ていると若い人たちの成長の早さを感じで、頼もしいなと思います。ちょうど同じ名前だし(笑)。もうひとり、『美 少年』というグループに那須雄登くんというのがいるので、その3人で“ゆうと会”やろうね、みたいな話もしました(笑)。
Special Talk 前編

髙橋さんのことは普段何と呼ぶんですか?

中島
どうやって呼ぼうかな。下の名前で呼ぶのは、自分の名前を呼んでいるようでちょっと。だから、名前を呼ばないで話かけるワザみたいのあるじゃないですか。あれ使ってます。「ねえ」とか(笑)。僕、あまり後輩と接点がなかったので、そういうのにも慣れないといけないなと思っているんです。今回は、自分より年下の役者さんもたくさん出ますし。ちょっと不思議な感じもしています。今回は先生役ですし、「そういう役をやるようになったんだな」って。髙橋優斗くんが演じる朝比慎太郎とは、物語の中でずっといろいろなエピソードが描かれていきますし、恋愛関係にも関わってくるので、ぶつかってきてほしいなと思っています。

吉川さんは、今回気になる共演者、演じるのが楽しみだった役者さんは?

吉川
私は、お母さん役の富田靖子さんとのお芝居が凄く楽しくて。テレビでずっと拝見していた方ですし、「どんな感じのお母さんでくるのかな?」と思っていたんです。台本だと、「うわ、こんなお母さん嫌だな」って思うくらいなので(笑)、ドキドキしていたんですけど、冴がプチってキレちゃうくらいパンチのあるお芝居できてくださって、冴として、本当にイラッとした顔が出せたんです。それが本当に楽しかったです。私は、自分の感情をぶつける側なので、ぶつけやすくてありがたかったです。

撮影中に印象に残った出来事は?

中島
走ってきてセリフ言うシーンがあるんです、冴ちゃんが。全然、そんなことないんですよ、普段は。凄くしっかりしていて。バーッと走ってきて「先生!」って呼んでその後セリフ言うんだけど、「あれ、なんだっけ?」ってなって(笑)。「どうした?」「走ったら忘れちゃいました」って(笑)。そういう、意外な天然エピソードがありました。
吉川
本当に忘れちゃって。正樹さんの方が覚えてた(笑)。そこから私は、現場で“走ったら忘れる”キャラになりました(笑)。凄く恥ずかしい思いをしました。
中島
でも、そういうことで和んだりできるんです。ただでさえ、深刻なシーンとかが多いので。あと、先生パートだと、(加賀美理役の)眞島秀和さんがムードメーカーかな。盛り上げ上手です。(碓井愛菜美役の)比嘉愛未さんもお話が上手なので、職員室のシーンは笑いが絶えないですね。だから、凄く助かってます。
吉川
みんな仲が良いので、ちょっと空き時間があるとずっと話をしてますし。
中島
生徒チームも楽しそうだよね。本当に学生みたいだなと思った。
吉川
私、爬虫類が好きなのでずっと爬虫類の話をしているんですけど、「この間、ここに行ってさ。見て!」って。ホントに休み時間みたいな感じです(笑)。

正樹は音楽教師ということで、ピアノを弾くシーンもありますね。

中島
最初に、僕の顔の素材をたくさん撮って、弾く人は緑のスーツを着てあとはCGで合成して……嘘です(笑)。ちゃんと自分で弾きました。大変でしたね。準備期間も短かったですし。正樹が弾くピアノの曲って、今後、正樹と冴ちゃんにとってはテーマソングになるので、それをいかいに自分のもののように弾けるようにするか、というところが自分の中の課題でした。ピアノはゼロからのスタートだったので、弾き方とか、所作……立ち振る舞いとか、音の感じ方、指への体重の乗せ方とか、そういう細かいところまでピアノ指導の森下(唯)先生にご教授いただいて……。楽譜が読めないので、先生の手元の動画をもらって形で覚えたりしています。振り付けと一緒ですね(笑)。
吉川
空き時間があると、ずっと練習していらっしゃって。中島さんがいない別のシーンを撮っているときも、ずっと聞こえてくるんです。でも、本当に綺麗な音で、上達していっているのも伝わってきました。先生が指示していた部分もすべてクリアしていて、本当のピアノの先生に見えてくるというか。指導の先生も「初心者が弾くような曲じゃない」っておっしゃっていたくらい難しい曲なので、凄いなと思いました。
中島
ありがとうございます!正樹と冴が連弾するシーンもあるんですよ。そこも結構、見どころになっていると思います。普段、表情をあまり見せない正樹が、唯一自分をさらけ出せるピアノの前で、プラスそこに冴ちゃんがいる、という凄く意味のあるシーンなので。だから、冴ちゃんも弾くんですよ。
吉川
私は自然に、自分なりの指使いで(笑)。
中島
でも、合わせ方凄かったよね?ミスってもカバーしてくれて、次の音とか待ってくれて(笑)。助かりました。

最後に、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

吉川
冴自身は、最初は自分のしたいことしか決まっていなかったんですけど、正樹さんと出会って徐々に考え方も変わっていって……。第1話でもちょっとずつ見えてくるので、正樹さんとの関係性、お母さんとの関係性が変わっていく中で、冴の変化をちょっとずつ描いてくださっているので、そこが一番の見どころだと思います。
中島
第1話から盛り沢山で、全部種を撒いている感じというか、それが見事で。小坂先生のことなど推理っぽい要素もあって、いろいろな要素がバラバラに散らばっているので、見てくれるみなさんも、「これはどういう意味なんだろう?」ってひとつひとつ勘繰ってしまうかもしれないです。そういう種まきが凄くしっかりしている台本なので、ドラマの流れに身を任せて、かき乱されてほしいなと思います。いろいろな愛の形……それが綺麗なものだろうが、いびつなものであろうが、この世の中に存在するすべての愛の形みたいなものが描かれるので、そういうところを見てほしいです。正樹は、最初は暗い役で、人とも打ち解けないですけど、冴ちゃんと出会ってそこがどう変わっていくのか。だけど、そこにはジレンマもあり、どう自分の中で折り合いをつけていくのか、人として理性が働くのかどうなのか、というところは、正樹の脆さであり儚さであり切ないところでもあると思うので、そういう部分も楽しんでほしいと思います。

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