インタビュー

鶴田法男監督インタビュー
ほんとにあった怖い話」は、初回から土曜7時枠における13年ぶりの高視聴率を記録するなど、大きな話題になっています。特に「ドラマが怖い!」と評判ですが…。
13年ぶりなんですか? 13年というのは随分奇遇な数字ですね。というのは、「ほんとにあった怖い話」は元々朝日ソノラマさんのマンガ原作があるんですけど、僕の監督デビュー作がその「ほんとにあった怖い話」を13年前にビデオ専用作品として作ったものだったんです。それをたまたま後藤博幸プロデューサーが見てくれて、連絡をいただいたんです。それが1999年のことでした。その時、「ホラーもののテレビ番組を作りたい」というお話だったので、「だったらいっそのこと「ほんとにあった怖い話」をテレビ化してはどうでしょうか」と提案したんですよ。ですから、13年前にビデオ用に作った「ほんにあった怖い話」がすべてのスタートだったんです。
ドラマは、1本が4分~10分ほどの長さですが、撮影自体は大変だったそうですね。
とても大変でしたね(笑)。1本3分くらいだと、1日で撮り終わっちゃったりしますから、朝から夕方まではこっちの作品、夕方から夜までは違う作品のワンシーンを撮ってる、というような形でやっていたので、頭の切り替えが大変でした。それに、連続ドラマの場合だったら、キャラ設定だったりとか、メインになる舞台が固まっていて作れるわけじゃないですか。でも、こういう短編のオムニバスになると、毎回ゼロからキャラ設定やら舞台やらを作っていかないといけないので、尺が短い、っていうのは確かに楽な部分もありますけど、結局かかる手間は一緒なので…。正直言って、撮影してる最中に頭の中が真っ白になることもありましたね(笑)。キャストの方や、スタッフには随分助けてもらいました。

どの作品もインパクトがあって、想像力を刺激するものばかりですね。こういう作品というのは、いままでにありそうでなかったものではないかと思うのですが…。
考えてみると確かにそうかもしれませんね。後藤プロデューサーは、最初から「振り切ったものにしたい」とおっしゃってたんですよ。いままでの「金曜エンタテインメント」でやってたものですと、1本が大体15分くらいで、ある程度ドラマ的な味付けをしないといけない、っていうのがあるんですけど、今回はそういうものを排除して、「とにかく怖いものを、というところに集中してやっていきましょう」というのが最初からのコンセプトだったので…。僕も元々そういうものが好きでやってきましたから、「とことんやりましょう」と(笑)。

よく、ホラーものの撮影現場では怪現象が起こる、といいますが、いままで撮影で何か起きたことはありましたか?
今回はとにかく忙しさの方が先だったので、何かあったとしても気づかなかったですね(笑)。
ホラー作品を作るというのは、普通のドラマとはまた別のむずかしさもあると思うのですが、鶴田監督のポリシーというが、テーマがあったら教えてください。
間合いというか、タイミングですね、間の取り方には気をつけています。幽霊が出てくるタイミングも、「出るぞ、出るぞ」とやってそのタイミングで出して驚かす、というのもあるんですけど、「出るぞ、出るぞ」って時に、1回ちょっとどこかにはずしてから出す、とか…。その時々の作品の世界観によって違ってくるんですけど、作品の持っている世界観における間合いを的確につかんで、表現していくのが一番重要なのかな、と思っています。
最後に、今後オンエアされる作品について教えてください。
迷子 第5話「迷子」より
長尺の作品で「迷子」というのがあるんですけど、これは15分くらいあるんで、ジットリとした恐怖感を楽しんでもらえると思います。それから「うしろの女」という作品は、全編手持ちで撮りまして、怖い気配がないんですけど最後に1発(笑)。今回は、1回目に放送された「廃屋の少女」も、タクシーの運転手さんの「死ねばよかったのに」も自分では気に入っていますし、「真夜中の奇蹟」は感動的な作品になったと思います。作ってる最中は辛かったですけど、バリエーションが豊富で、楽しめるものになったんじゃないかと思っています。これからもたくさん放送されますので、是非見ていただきたいですね。


鶴田 法男(日本映画監督協会会員)
60年、東京生まれ。和光大学経済学部卒。実家は東京三鷹市の名画座・三鷹オスカーを経営(90年閉館)。高校、大学を通じて自主映画を製作。85年の自主制作ホラー『トネリコ』が映画・映像評論家諸氏より高い評価を得る。大学卒業後、HRSフナイ(船井電機のビデオソフトメーカー、現在フナイ・エンタテインメント・ジャパン)、ギャガ・コミュニケーションズでビデオ・映画の宣伝制作の仕事を経てフリーになり、玩具のタカラ他数社のビデオソフト事業のアドバイザーとして活躍。同時に監督に進出。91年、ビデオ『ほんとにあった怖い話』で商業作品初監督。その後シリーズ化される本作と一連のホラー作品が、脚本家・高橋洋氏、黒沢清監督他様々な方面から高い評価を得る。俗に言う“心霊ホラー”の先駆者。93年に初の劇場用映画『ゴト師株式会社』を監督。これもシリーズ化され『II』までを手掛ける。99年にはフジテレビ局制作によるテレビ『ほんとにあった怖い話』のメイン監督を務め、00年『リング0~バースデイ』を監督。01年には香港・日本合作ホラー『案山子/KAKASHI』を発表。

※鶴田監督が13年前に製作した『ほんとにあった怖い話』がDVD化され、2月25日にジェネオン・エンタテインメントより発売されます。
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