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佐々木恭子アナ特別コラム 『それでも、笑顔で生きていく。』出版にあたって
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佐々木恭子アナ特別コラム
『それでも、笑顔で生きていく。』出版にあたって

[2009年4月1日更新分]


「これまでのHIV/エイズの取材を本にまとめませんか?」
扶桑社からお話を頂いたのは、ちょうど去年の夏ごろだったでしょうか。
「ぜひ!書きます。」― 即答でした。何の迷いもなかったのを覚えています。

アフリカのマラウィ共和国、アジア・オセアニアのパプアニューギニア独立国、そして南米のガイアナ共和国。3年にわたってHIV・エイズと貧困の関わりを取材し、その模様は『とくダネ!』で放送されてきました。さらに、延べ24局のFNSネットワーク局を回り、直接取材報告会としてお話もさせていただく機会も頂きました。その中の反響で一番大きかったのは、「今まで全く知らなかったこと、目を向けていなかったことに触れられてよかった!」というものです。



それは、私自身が取材をし続けたいと思った原動力と、全く重なる想いです。世界で、全く日の当たらない国で何が起きているか。HIV・エイズがどんな病気か。知れば知るほど、伝えたい、伝えなくちゃと、突き動かされる気持ちに変わりました。
だからこそ、新たに本というまとまった形にできるなんて、私にとっては最高にうれしいことです。偶然にも私自身、執筆中に妊娠して、取材で経験した事実も、また違う感慨をもって思い返すことがたくさんありました。



貧しいがゆえに、成すすべもなく、目の前で子どもを失っていく母親。病院すらない地。
親をエイズで失い、遺された子どもが、さらに小さな子を守り育てる環境。病気への偏見から、周りとのつながりを全く絶たれてしまった孤独な少年。

世界が全て急激にハッピーになるなんて理想論者ではないけれど、現実的に、もう少し等しく医療が受けられ、お腹がいっぱいになり、子どもたちが学校に通え、家族が離れ離れにならなくてすむような世界になってほしいと願わずにいられません。むしろ、そういった世界を築く責任の一端を感じています。

タイトルをつけるのは、一番悩みました。「笑顔」という言葉を入れたかったけれど、親を失い、全く誰からもケアされていない子どもは、そう簡単に笑顔を見せてくれず、あまりキレイゴトなタイトルにはしたくなかった。しかし、どんな厳しい状況でも、人は何とか負けじと気力をもって、どこかに希望を見つけて生きている、そのたくましい姿も伝えたかった。そこで、『それでも、笑顔で生きていく』という余白のあるタイトルにしました。



本の中では、世界のHIV・エイズが今、どのような状況にあるのか、自分の目で見た事実のありのままを書いています。さらには、自分の想像をはるかに超えた壮絶な現実に、何を思い、それでも支えあって生きる人の姿にどれだけ力をもらったか、感情も全てさらけ出しました。テレビでは伝えきれなかったこと、忘れてはいけない日本のHIV・エイズの取材記も盛り込みました。

是非、手にとって読んでいただければと思います。今、日本を巡る状況も大変ですが、逆に今まで自分たちの豊かさがどうやって成り立ってきたか、立ち返るチャンスだとも思います。決してニュースには出てこない国、日のあたらない国にも、私たちと同じような人の営みがあります。読んでまずは知っていただく機会になればと思っています。

たくさんの出会いに感謝をこめて。

佐々木恭子

フジテレビ『とくダネ!』で放送され感動を呼んだドキュメンタリーが、佐々木恭子アナの手記で蘇ります。
三か国における、HIV/エイズに苦しむ、六人の子どもたちの物語。


 『それでも、笑顔で生きていく。』
~私が出会ったHIV/エイズの子どもたち~


著者:佐々木恭子  
定価:1,365円(税込み)
発売:扶桑社  
2009年3月20日発売

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