• ヒミツのどっこくん

    おはなしをよむ

  • ヒメちゃんという、ちょっとこまったおんなのこがいました。
    なにがこまったこなのかというと……。
    あさ、おきるじかんです。
    ヒメちゃんはいつまでたってもおきてきません。
    よる、おそくまでおきているからです。
    おかあさんが「はやくおきなさい!!」とカンカンにおこっているのに、
    ヒメちゃんはおふとんのなか…。
    まいにち、まいにち、こんなこまったせいかつがつづいていた、あるひのこと。
    ちいさなこえがきこえてきました。
    「げんきよくおきて、おはよう！をいわなくちゃいけないんだよ～」
    ヒメちゃんは、ねむいめをこすりながら、どこからきこえるのかなぁ？　とフシギです。

  • けっきょく、がっこうにおでかけのじかんになってしまいました。
    「あーぁ。あさごはんをたべるじかんがなくなっちゃった。まっイイヤ！」
    ヒメちゃんはがっこうへいきます。
    さっきより、ちょっとだけはっきりとちいさなこえがきこえてきます。
    「あさごはんはちゃんとたべないとダメなんだよ～」
    ヒメちゃんは、そのちいさなこえがどこからするのかキョロキョロしています。

  • がっこうにつきました。
    おべんきょうはつまらないけど、おともだちとおへやであそぶのはたのしい！！
    「あっ。ちょっと、ウンチがしたいかな？
    でも…ウンチだってバレたらはずかしいし…
    おうちにかえってからトイレにいけばイイヤ！」
    ヒメちゃんは、ウンチをガマンしてしまいました。
    さっきよりもさらに、はっきりとちいさなこえがきこえます。
    「ウンチははずかしがらずに、したいときにトイレにいかなきゃいけないんだよ～」
    ヒメちゃんは、またまたフシギそうです。

  • きゅうしょくのじかんです。
    みんなてをあらいにいったのに、ヒメちゃんだけいきませんでした。
    「だって、てをあらいにいくのめんどうくさいし、ハンカチわすれちゃったんだもん」
    さっきよりも、もっとはっきりとちいさなこえがきこえます。
    「ヒメちゃんのて、きたないよ。それでごはんたべたら、おなかがいたくなっちゃうよ～」
    ヒメちゃんは、ちいさなこえにおどろかなくなりました。
    「いいったらイイの！！！」

  • きゅうしょくのおさらには、だいすきなハンバーグと、だいきらいなやさいの“にもの"がのっています。
    ヒメちゃんはあさごはんをぬいていたので、ハンバーグをのみこむようにたべました。
    でも、やさいの"にもの"はたべずにのこしてしまいました。
    さっきよりも、さらにはっきり、そしておこったようなちいさなこえがきこえます。
    「すききらいしないで、やさいもモリモリたべなきゃだめだよ～。
    それに、ごはんをたべるときは、よくかまなきゃだめだよ～」
    ヒメちゃんは、ちいさなこえがきこえているのに、しらんぷりをしました。

    ヒメちゃんは、おうちへかえってきました。
    うちにかえっても、てをあらいません。
    そして、おやつをいっぱいもってきてムシャムシャたべながら
    テレビゲームをはじめました。

  • さっきよりも、もっとはっきり、そしてあきれたようなちいさなこえがきこえます。
    「おてんきなんだから、そとでげんきよくあそんだほうがいいし、
    おやつばっかりたべてると、ごはんがたべられなくなるからすこしにしたほうがいいよ～」
    ヒメちゃんは、おやつをたべてゲームをつづけました。
    ゆうごはんのじかんになりました。
    ヒメちゃんは、おやつのたべすぎでおなかがいっぱい。
    ゆうごはんなんてたべられません。

    さっきよりもはっきり、おどかすようなちいさなこえがきこえます。
    「ほ～らね。いったとおり、ごはんがたべられない…。きっとそのうち…」
    ヒメちゃんは、ちょっとこわくなりました。
    しばらくすると…

  • おなかのおくのほうがズンズン、ズンズンいたくなってきました。
    ヒメちゃんはシクシクなきだしました。
    「おなかがいたい！　おなかがいたい！！」

    すぐそばで、ちょっとたのもしいちいさなこえがきこえます。
    「トイレにいこう！　そして、おなかのなかをスッキリしよう！！ぼくがついているからだいじょうぶ！！」

  • ヒメちゃんはこわごわ、きいてみました。
    「あなたはだれ？」
    「ぼくは、どっこくん。どっこおうこくのおうじだよ。もうすぐあえるからまっててね」
    ヒメちゃんは、ちいさなこえのいうとおり、トイレにいきました。
    しばらくすると、ウンチがでて、おなかがいたいのがすっかりなおりました。
    するとどうでしょう、ヒメちゃんのウンチがしゃべりだしました。

  • 「ぼくは、どっこくん！ ヒメちゃんがしんぱいで、あいにきたよ。 ヒメちゃんのおなかのなかで、ぼくたちのなかまはうまれるんだ。 ヒメちゃんがちゃんと、はやねはやおきをして、ウンチをガマンしないで、たべるまえにはてをあらって、 すききらいをなくして、おやつをたべすぎないようにして、そとでげんきよくあそぶっ！ていうおやくそくをまもってくれたら、ぼくのくには、かっこいいウンチばかりになるよ。
    でも、まもれなかったらがっかりウンチになっちゃうからきをつけて！
    ぼくは、いつでもヒメちゃんのおなかのなかにいるからね！！
    かっこいいぼくにあえるように、がんばってね！」

  • このひから、せかいじゅうのあちこちのこどもに「ちいさいこえ」がきこえるようになりました。
    ときにはコワーーイちいさいこえ、ときにはとってもやさしいちいさいこえ。
    もちろん、ちいさいけれどもよくとおるこえで、「えらいね！かっこいいウンチだね！！」と、ほめてもらったげんきなこもいます。

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