FNN原発問題専門記者団 福島第一原発を視察
[2014年11月10日更新分]
FNN(フジニュースネットワーク)では、原子力発電所の再稼働や廃炉など長期的視野で原発問題を取材するための専門記者団を結成し積極的に活動を始めています。福島第二原発視察、東京電力の廃炉推進カンパニーの幹部の講演につづいて、福島第一原発の視察が9月26日に実現しました。担当エリアに原発のない局の記者を含む総勢38人が参加しました。
通行制限の表示 バスでいわき市から国道6号を北上。9月15日から乗用車の通行は自由になりましたが、二輪車や歩行者の通行制限が依然続いていることを示す標識が出ていました。
東電職員による本人確認 途中、Jヴィレッジというかつて自衛隊が原発事故の前線基地としていた施設で一旦下車。あらかじめ東京電力に、参加者の氏名、住所、生年月日を書いた書類を提出していましたが、ここで免許証などによる厳密な本人確認が行われました。また、携帯電話など、撮影機能のあるものは置いていくよう指示されました。いずれも警備上の理由からです。
視察する取材団クールビズの期間中でしたが、「放射性物質が皮膚に付着するのを極力避けるため」との理由で長袖、長ズボンを着るよう事前に指示されていましたが、その確認もありました。ただ、施設内ですれ違う作業員が白い防護服を着ているのに対し、取材団は、マスク、手袋、靴のカバーを付けただけで、こんなに軽装でいいのかと拍子抜けしました。
4号機の燃料棒抜き取りクレーンを支える土台全員、線量計を携帯していました。線量は施設に近づくにつれ右肩上がりでしたが、近くても下がる場所もありました。終始バスの中からの視察でしたが、線量が一番高かったのは、3号機の建屋の横でした。放射線測定器の数値は毎時、480μシーベルトまで上がりました。
使用済み燃料棒の抜き取り作業が続いている4号機は、大きなクレーンが取り付けられていましたが、土台の鉄骨の総重量が東京タワーと同じくらいという説明には驚きました。
汚染水タンク群福島第一の敷地内は、降雨が地下に浸透し汚染水が増えるのを防ぐため、土をアスファルトで覆う作業も進んでいて、覆われたスペースは駐車場として利用されていました。また、汚染水を貯めておく巨大なタンクを海から運び込むため、構内を走る道路沿いの並木はタンクが引っかからないように伐採され、敷地内から緑は減っていました。
10月22日には、1号機の建屋の中のガレキを取り除くため、建屋カバーを外す工事が始まりました。放射性物質が飛散しないように暫定的に取り付けられたものですが、使用済みの燃料を取り出すという次の一歩を踏み出す為に外されます。4号機の東京タワーとおなじ量の鉄骨もいつか撤去される日が来るでしょう。3歩進んで2歩下がる。廃炉まで40年、福島第一原発は少しづつ変化し続けることになりそうです。