FUJITV Inside Story〜フジテレビで働く人〜

禹 恩濟 ・ 宮入 友哉

「数字の奥にある情報」も届けたい!
経理部の禹 恩濟さんと
宮入友哉さんに聞くーー
メリハリの利いた働き方 
中途入社の契機と決め手 
DX化推進の先に見据えるものとは

Vol.28

禹 恩濟 Eunje Woo

宮入 友哉 Yuya Miyairi

フジテレビで働く人の仕事への取り組みや思いをシリーズで描く『FUJITV Inside Story』。
第28弾は、財経局で経理業務に携わっている禹 恩濟さんと宮入友哉さん。2022年に共に中途入社したお二人に、新経費精算システムやインボイス制度への取り組み、経理部の若手育成に向けた工夫、中途入社の契機と決め手、経理の使命と今後目指すことなどについて聞いたーー
(2024年09月06日掲載)

メリハリをつけた働き方を徹底
新システムや新制度への取り組みは?
講師は若手!
勉強会でも「育てます」

まずは、簡単に財経局・経理部のお仕事について教えて下さい。
禹 :
財経局には、経理部と財務部があって、そのうち経理部の仕事は大まかに言えば、①取引先への支払いや立替金などの伝票の経理処理を行い、②そうした日々の業務を基に、年4回の決算作業を行っています。

宮入 :
経理部員の多くは、フジテレビの親会社である「フジ・メディア・ホールディングス」(FMH)の業務も兼務していて、グループの傘下会社の決算を連結して発表し、決算短信や有価証券報告書なども作成しています。
その中でお二人は、どのような仕事に携わっているのですか?
禹 :
2022年7月に入社してからの2年間は、管理部門の局の伝票チェックを行いながら、主に固定資産の会計処理を担当し、親会社のFMH単体の計算書類や決算書も作成していました。この夏に担務が変更になって、現在は、事業局などを担当しながら、税務関連の業務にも携わっています。

宮入 :
私も入社以降、基本的に何局か担当を持っていて、その局の伝票チェックが毎月あります。連結決算に関しては、ちょっと専門的な話しになりますが、主にキャッシュ・フロー計算書の作成などを担当していました。
禹 恩濟 ・ 宮入 友哉
勤務の状況はどんな感じですか?
宮入 :
決算とかものすごく忙しい時期でなければ、午後5時半過ぎまでしっかりと仕事をやり遂げた上で、子どもの迎えに猛ダッシュしています。

禹 :伝票の処理締めとなる月初は、結構、残業しますが、月中は私も割と午後5時半過ぎには社を後にしていますね。
禹 恩濟
とは言え、決算の時期は結構な忙しさですよね?
禹 :
そうですね。忙しさがピークの時は、連日夜遅くまで残って、仕事していますね。

宮入 :
ただ最近は、「終電までに帰る」ことを経理部の目標にしていますので、夜の11時頃には“店じまい”するようにしています。このところ、業務の効率化も進んできましたので、それも可能になりました。とにかく、メリハリの利いた働き方を心がけています。
年4回の決算毎にさまざまな対応も必要です・・・
宮入 :
金融商品取引法の改正で、今年4月から四半期報告書が廃止されて半期報告書に集約され、四半期は決算短信のみとなりました。ただ、決算短信はこれまで通り、年4回、提出していますので、「若干、負担か軽くなった」との受け止めですね。
業務の効率化といえば、昨年夏に運用が始まった新しい経費精算システム「サイクロス」の存在も大きいですよね?
宮入 :
社内各部署に協力をしていただき、効率化が進んだと感じています。これまで紙の伝票に判子を押して処理していたのが、パソコン上でデータ処理できるようになり、テレワークでの作業対応も可能になりました。
宮入 友哉
「サイクロス」の導入にあたってお二人はどのような役割を任されたのですか?
禹 :
私は「サイクロス」を全体的にサポートする役割で、一連の作業のマニュアルを作ったりしました。

宮入 :
私は「サイクロス」のうち「承認ルート」の作業の流れを明文化して、原局の方にわかりやすく説明する役目でした。また「サイクロス」の運用が始まるタイミングで「操作説明会」を開いて、私たちが講師として「経費精算のデモンストレーション」を実施したり、「えれび」(社内のエレベーター内で流される告知動画)で「サイクロス」の作業ポイントを説明したりしました。こうした経理面での大きなシステム変更に、多少なりとも関与することができて、ありがたく思っています。
禹 恩濟
昨年10月に導入されたインボイス制度(新たな消費税の申告制度)にも対応する必要がありました。
禹 :
経理部ではインボイス制度の説明会を開いたり、実務のマニュアルを経理部員が作成してポータルサイトに掲載したり、この制度の周知に向けて、様々な対応を行いました。経理でもインボイス制度を正しく理解するのに苦労しましたので、制度開始後も、社内の質問や不明点が解決できるよう、引き続きサポートしています。
制度変更・改正への対応を含め、会計や税務に関する知識などは、どのようにキャッチアップしているのでしょうか?
宮入 :
そうですね。日頃から新聞の経済面は気に留めていますし、経理や税務の専門誌にも目を通すように心がけています。あとは、関連セミナーにも参加して、知識や情報を取得・更新するように努めています。

禹 :
今回私は、税務を担当することになったので、税金系のセミナーに何回か参加しました。あとは部内で、定期的に勉強会を開いたりしていますね。
部会も和気あいあいの雰囲気で!

部会も和気あいあいの雰囲気で!

部内の勉強会とは?
宮入 :
経理部の目標の一つに「若手育成」があります。この勉強会は、若手が講師となって、自分が担当している業務に関して、先輩方に30分~1時間程度、レクチャーするというものです。
先輩方が講師ではなく、逆なんですね?
禹 :
そうなんです。今年3月に私がトップバッターとして「今年度の税制改正」の内容についてみなさんに説明しました。

宮入 :
次は僕の番で、6月に先ほどお話しした「四半期開示の簡略化」を取り上げました。
それに加えて、金融商品取引法、会社法などの法令毎に、どのような書類を、どんなタイミングで提出しなければならないのか、整理して説明しました。今月予定されている3回目は、営業局を担当している若手部員の佐藤 勇大くんが、フジテレビの営業収入の立ち方に関して、網羅的にレクする予定です。
宮入 友哉
この勉強会は神田部長の発案とのことですが、後輩のレクチャーには先輩方から厳しい突っ込みも?
禹 :
いえいえ、“柔らかい質問”があるくらいですね。先輩方に説明することを通じて、自らの理解をより深めるという、あくまで若手育成の場なんです。
禹 恩濟

転職動機は「仕事の幅を拡げ、
チャレンジしてみたい」
「フィーリング」と「社内見学」が
入社の決め手?
社員の第一印象は
「職人肌で独特な人が多い・・・」

お二人は共に2022年の夏に中途入社しましたが、どのような経緯で、転職活動を始めたのですか?
禹 :
私は2014年に前職の大手通信会社に入社し、それから8年ほど経理の仕事に携わり、大きく「連結決算・開示」と「収益管理」の2つの業務を長くやらせてもらいました。その8年間は一つの分野を深堀りでき、とても勉強になったのですが、30歳になった頃に「若いうちにもうちょっと、経理に関するいろんな分野の仕事を経験したい、チャレンジしてみたい」との思いが強くなりました。そこで、経理関係の部局の規模があまり大き過ぎない会社で、経理の仕事に携わった方がいいかなって思って、転職活動を始めました。
禹 恩濟 ・ 宮入 友哉
宮入 :
私は2014年に、前職の会社に総合職採用で入社し、まずは3年半ぐらい現場の仕事を経験したあと、経理部に異動しました。経理部では3年ほど、単体決算の取りまとめに携わり、現場の会計処理のサポートやロイヤリティの支払いを担当したあと、約1年ぐらい連結のチームに加わりました。そうした中、コロナ渦を受けていろいろと考えることもあり、また、経理の業務は結構、汎用性があるので、今の自分の知識が他社ではどの程度通用するのかを知りたくて、とりあえず就職転職サイトに登録してみました。
宮入 友哉
そうしたところ、ありがたいことにいろんな会社からお誘いを受けたのですが、それほど転職に本腰を入れていた訳ではなかったので、スルーしていました。ただ、フジテレビから「興味ありませんか?」との話しをいただいた時は、もともと大のテレビっ子だったので、「話だけでも聞いてみたい」と思い連絡をとりました。その後、本社に呼ばれた際に、社内をいろいろと案内してもらったのですが、タレントクロークを訪れた時に「ここは『めちゃイケ』で、“やべっち寿司”のセットがあった場所だ」とわかり、「自分が小さい頃からずっとテレビで見て、憧れてきた場所で働くのも楽しいだろうな」と感じた次第ですね。
禹さんがフジテレビに入社しようと思った決め手は?
禹 恩濟
禹 :
転職活動で他にもメーカーとか何社か受けていたのですが、経理に関するいろんな仕事を学んで身に付けたいという私の希望にぴったりの経理部の規模の会社がフジテレビだったんです。それと、結構なあがり症の私が、ほとんど緊張することなく、最も自然体で採用面接に臨めたのもフジテレビでした。対応してもらった財経局や人事局のみなさんがとてもソフトな感じで、フィーリングがピッタリ合ったというか・・・
タレントクローク見学にまんまと乗せられた宮入さんはどうでしたか?(笑)
宮入 :
もちろんフジテレビには興味はありましたが、何が何でも他社に転職したいという感じでもなかったので、面接でも「自分を取り繕ってまでして受かろう」とは考えませんでした。だから役員面接で「あなたはどんな人間ですか?」って聞かれた時も、「私は面倒くさいことが嫌いな人間です!」と正直に即答してしまい、慌てて「だからこそ効率化に注力しています」と付け加えましたね。
宮入 友哉
では、実際に入社してみて、どんな印象でしたか?
宮入 :
うーん、どう言ったらいいのかわからないのですが(笑)、「その道のプロの方、職人肌の方が多い」というイメージでした。

禹 :
やはりみなさん、クリエイティブな仕事に携わっているので、「独特な人が多い」との印象でしたね。
では、経理部は?
禹 :
経理部は、「アットホームで普通の会社」という受け止めですね。中途入社の方も多く、「いい意味でフジテレビらしくない」とも言われているみたいですし、とても居心地の良い職場ですね。また、結構仕事を任せてもらっています。十数名の社員でフジテレビと親会社の経理全般を遂行しているので、一人ひとりの業務の幅も広いと感じました。
折に触れて神田部長にアドバイスをもらっています。

折に触れて神田部長にアドバイスをもらっています。

では、中途入社組として社内の人脈作りで心がけていることはなにかありますか?
宮入 :
そうですね。さきほどお話しした「サイクロス」の操作説明会を通じて、自分が担当している部局以外の方とも接する機会がありました。また、その「承認ルート」の説明作業を通じて、自分の担当外だったバラエティの方々とのつながりもでき、番組収録の様子を見学させてもらったりもしました。
昨年11月の「東北・みやぎ復興マラソン」での活動にも参加しました ©長谷川町子美術館

昨年11月の「東北・みやぎ復興マラソン」での
活動にも参加しました
©長谷川町子美術館

あと、社内横断的な「CSRのプロジェクト」のメンバーだったので、昨年の東北・みやぎ復興マラソンや今年の能登地震に関する活動などに参加し貴重な経験を積ませてもらったと同時に、いろんな部局の方にも顔を覚えてもらえたのでは、と思っています。
宮入 友哉

日本のドラマ好きが高じて・・・
大切な任務は
「粛々とこなす日々のルーティン」
ミスのない安全な決算の先に
目指すこととは?

先ほどもお話がありましたが、宮入さんは根っからのバラエティ好きなんですね。
宮入 :
ホントにバラエティ番組がすごく好きなんです。元々、『めちゃ²イケてるッ!』を見て育ったみたいなところがありますし、今だと『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』、『酒のツマミになる話』などを毎週、楽しんでいます。
お子さんと一緒に見ているのですか?
宮入 :
子どもたちと一緒に楽しむことが多いですが、子どもたちが寝た後に一人で見ることもあります。リアルタイムで見られないことも多いので、好きな番組を毎週録画して“万全の体制”で臨んでいます。
禹さんはどうですか?
禹 :
私はどちらかと言えば、ドラマですね。 学生時代から良く見ています。
禹さんは韓国で生まれ育って、大学から日本で過ごされていると伺いました。
中学生の頃から日本のドラマが好きで、『1リットルの涙』、『空から降る一億の星』、『プライド』などを教科書代わりに、日本語の勉強をしていました。受験生の頃には字幕なしでも日本のドラマが見られるようになり、「どうせ大学で勉強するなら、日本語で授業を受けたい!」という気持ちが沸々と湧いて、日本の大学に進学しました。
禹 恩濟
そして、日本の企業に就職しました。
就職活動の際、「韓国に帰る」か「日本で就職する」か、二つの選択肢がありましたが、韓国に帰るのはいつでもできると思ったので、まずは日本で働いてみようと思いました。どうにも合わないようなら、韓国に帰ろうと思っていたのですが、気づけばもう10年も日本で働いていて、自分も驚いていますね。
そうした経験が、今のお仕事に何か活かされていたりします?
これまでの経験で身についた強みの一つは、韓国と日本、両方の文化を理解していることだと考えています。経理の仕事をするうえで、こうした経験を活かせる場面はまだそんなに多くはないのですが、取引先やグループ会社の韓国企業との調整に参加させていただくことがありました。文化やニュアンスの違いで生じてしまうミスコミュニケーションを防いで、みなさんの仕事が少しでもスムーズに進むよう、これからも貢献していけたら、と思っています。
では、フジテレビにおける財経局や経理部の役割、求められているものとはどんなことでしょうか?
禹 :
そうですね。一般管理部門の経理は、日々のルーティンを粛々とこなして、ミスのない安全な決算を行い、正しい財務諸表を経営者にしっかりと提示することが一番の使命だと思っています。それに向けて事前にさまざま関連情報をキャッチアップし、決算当日を安全に迎えられるように、フジテレビの各部局や連結決算の対象となる各社と綿密に調整を進めるよう心がけています。

宮入 :
財経局では今後、さらにDX化を進めていく流れになっています。それによって、これまで基礎資料の作成などに割いていた時間を削減し、その余剰時間を分析に回して、財務諸表に表記された「数字」だけではなく、さらに「その奥にある情報」まで届けられるようにしていくことが、今後求められているのかなと思っています。どうでしょうか?

禹 :
とてもいい回答だと思います!
禹 恩濟 ・ 宮入 友哉
今後の目標やチャレンジしたい事についてもお聞かせください。
禹 :
この夏の担務替えで、税務関連を担当することになりました。前職含め、これまで経験したことのない仕事ですので、しっかりと勉強して「知識」の鎧も身に付け、実務的な作業はもちろん、来たるべき「税務調査」にも備えたいと思っています。あと入社後、この夏までの2年間は、管理部門の部局に関する伝票や会計処理を経験しました。現在は、事業局、スポーツ局、ライツ部門を担当していますので、「海外との取引における税制上の対応」なども含め、こうした分野のビジネスの仕組みや流れについても理解を深め、経理担当としての役割をしっかりと果たし、現場のみなさんをサポートできたらと考えています。
禹 恩濟
宮入 :
私は経理的な目標でいくと、今回の担務変更で、今、勢いのある「FOD」などのコンテンツ系の部局を担当することになりました。これまであまりタッチしてこなかったそうした分野の会計処理にも携わることになるのでとても楽しみですし、原局のみなさんともうまく連携して、しっかりと対応していきたいと思っています。
宮入 友哉
また、将来に向けた話しでは、今回、編成総局に「DATA STUDIO」が新設されましたが、DX系のデータ分析にも関心がありますし、DX関連や経理の知識や経験を活かしながら、ライツ関連など「収支が伴うビジネス」についても、いつか直接、携わってみたいと思っています。
では、最後に・・・転職してフジ本社に初めて出勤する約2年前のご自身に声をかけるとしたら、どんな言葉やメッセージを伝えたいですか?
禹 :
うーん、そうですね。「今まで経験していない仕事がたくさん待っています!新しい環境で戸惑うこともたくさんあるとは思いますが、さまざまな経験を積んで自分の守備範囲を広げていってください。応援しています!」・・・ですかね。

宮入 :
「初めての転職で戸惑うこともあるかもしれませんが、先輩方はとても優しく、みなさん経理のスペシャリストです。安心して、初日から自分らしく振る舞って、自ら勉強もして先輩たちからもいろいろ学んでください!」
柄にもなくちょっと真面目なコメントになってしまいましたが、先輩方への感謝の思いも込めて!
禹 恩濟 ・ 宮入 友哉
仕事仲間からひとこと
禹さんはいつも物静かで、真面目にコツコツと仕事に取り組んでいます。20年間経理部にいる私にとっても難解な税法や会計基準を日本語で理解して仕事に活用しています。また、禹さんの操る日本語の美しさは、彼女が韓国出身の人だということを完全に忘れさせます。禹さんの能力には本当にいつも驚かされます。これまでのご努力には頭が下がる思いです。
宮入さんはいつも活発で元気です。お酒は全く飲めませんが、経理部のムードメーカー的な存在です。お酒に頼ってばかりの私にとっては、本当に羨ましいキャラの持ち主です。また、CSRのプロジェクトメンバーとして、東北・みやぎ復興マラソンや、能登半島の被災地での活動、冒険王での縄電車など、財経局以外の仕事にも参加しており、その積極性は光っています。
お二人には、高齢化の進む財経局の救世主として、これからも経理部の中心となって活躍してくれることを期待しています!

財経局経理部 神田英利

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