FUJITV Inside Story〜フジテレビで働く人〜

障子 直登

「ちいかわ」を長く愛される作品に!
人気アニメ「ちいかわ」の
障子プロデューサーに聞く――
こどもから大人まで魅了する
「ちいかわ」の魅力
「お台場冒険王2024」の
「ちいかわアドベンチャー」で
こだわったこととは?

Vol.25

障子 直登 Naoto Shoji

フジテレビで働く人の仕事への取り組みや思いをシリーズで描く『FUJITV Inside Story』。
第25弾は、『めざましテレビ』で週2回放送されているアニメ「ちいかわ」を担当する障子直登プロデューサー。幅広い世代から愛される「ちいかわ」の魅力と制作の裏側、現在、好評開催中の「お台場冒険王2024」の「ちいかわアドベンチャー」でこだわったことなどを聞いた――。
(2024年08月07日掲載)

広大なスペースを
「ちいかわ」の世界感で一色に
こどもから大人まで…
ミニゲームとフォトスポットで
ファンを魅了!
豊富な関連グッズも勢揃い!

「ちいかわアドベンチャー」、大人気のようですね?
そうですね、大変ありがたいことに大盛況で、とてもたくさんの方に会場に足を運んでもらっています。「面白かった!また来たい!」とお子さんが声をかけてくれたり、みなさん楽しんでくださっていて本当に嬉しいです。
「ちいかわアドベンチャー」は今年の「冒険王」の中でも目玉コンテンツの一つですが、どんな趣向を凝らしたエリアになっているのですか?
「秘宝を求めて海賊になったちいかわたちが、上陸した島を舞台に冒険を繰り広げる」というテーマで、フジテレビ社屋で一番広い22階の「フォーラム」というイベントスペースを「ちいかわ一色」に染め上げています。会場は、入り口すぐの正面に大きいバルーンを置いたり、壁面も「ちいかわ」のキャラクターで彩ったり、床にもこだわって、人工芝を敷いたりしています。また、ミニゲームも充実していて、「あのこ」というキャラクターが座る巨大なホットケーキのカーリングゲームや鏡でできた不思議な迷路なども体験でき、子どもから大人まで「ちいかわ」の世界観を存分に楽しんでいただけていると思っています。
障子 直登
開催までどんな準備をされてきたのですか?
今年2月頃、最初に「フォーラムが会場」と聞いた時は、「ちゃんとちいかわの世界を作れるだろうか?」と正直、不安になりました。「フォーラム」ってすごく広いんですよ。ですが、せっかくの広い空間なので、その利点を最大限に活かした「みんなで楽しめるゲームができたらいいよね」ということで、企画をスタートさせました。ちいかわが “夜勤”で”採取“をするお話があって、その“採取”という労働をお手伝いするようなミニゲームを作ってみようとか、タカラトミーさんが販売している「ドリームトミカSPちいかわ」を人が乗れるサイズにしたら、みんな喜んで写真を撮ってもらえるんじゃないかとか、「ちいかわ」の世界観をどのように演出していくか、みんなで、侃々諤々、アイデアを出し合いましたね。
障子 直登
同時に「ちいかわアドベンチャー」のビジュアルをどういうものにするかも、検討を始めました。ライツ事業部始め社内のメンバーに相談したり、原作のナガノ先生やライセンス管理会社のスパイラルキュートさんからもご意見をいただいたりしてテーマとデザイン案が決まりました。そして、アニメ制作を担当している動画工房さんに、すごくかわいいイラストを描き下ろしていただきました。
今回のイベントで苦労した部分はどんなところですか?
去年の冒険王では「ちいかわ縁日」というテーマで、ちょっとしたお祭りにある屋台のゲームを出して楽しんでもらおうという感じでした。一方で今回は、技術スタッフも入った本格的なゲームをやることになったので、そのルール作りに苦労しましたね。「どんなルールならお客さんに楽しんでいただけるのか?」「これだと難しすぎないか?」とかこれまでそんなことを考えてきた会社人生ではなかったので(笑)、今年の冒険王の準備を通じて、「大きなイベントを作り上げること」を一から学ばせてもらったと思っています。
22階の「ちいかわアドベンチャー」以外にもいろんなスポットがあるんですよね?
無料エリアである本社屋7階のフジさんテラスでは「ちいかわお台場商店」というグッズショップがあって、ちいかわたちが海賊帽を被ったぬいぐるみマスコットやお菓子、ステーショナリーなどの商品を手に入れることができます。また、無料エリアに設置された5箇所のチェックポイントを回るデジタルスタンプラリーもできるので、みなさんが楽しめると思います。
障子 直登

ファンの一番の理解者
はナガノ先生
ストーリーの「共感性」と
キャラの「多様性」が魅力
一日の始まりにふさわしい
「元気の出る」アニメ作品を!

それでは、障子プロデューサーが「ちいかわ」に携わることになった経緯を教えてください。
2021年の東京オリンピックが終わった後に今のアニメ制作部へ異動し、「ちいかわ」のAP(アシスタントプロデュサー)を担当することになりました。ですがその年の12月に、プロデューサーだった先輩が産休に入ることになったので、異動後3ヶ月ぐらいで僕1人で担当することになりました。なので、2022年4月の放送スタートまで3ヶ月しかないところでいきなりプロデューサーになってしまって…(笑)。ただ、その先輩が放送開始まである程度の道筋をつけて下さっていましたし、部内の先輩方にもいろいろとサポートしてもらって、なんとか放送初日を迎えることができました。
アニメ「ちいかわ」はどのようにつくられているのですか?
基本的には、まず僕の方で、ナガノ先生が「X」に投稿されている漫画の画像をパズルみたいに構成します。それをナガノ先生やアニメの監督に見ていただいて、「話の流れ上、こういう風にした方がいいよね」などといったご意見を頂きながら構成を固めて、そのままコンテ作業に移るという流れですね。だから「ちいかわ」には脚本のクレジットはなくて、ナガノ先生の漫画をそのまま構成しているという感じですね。
障子 直登
エピソードの構成についてどのような工夫をされているのですか?
『めざましテレビ』で週2回の放送ですし、お話が続くシリーズ回があるため、エピソードを消化するまでに結構時間がかかることもあるんですね。だから「このキャラクターは早めに出しておいた方がいいんじゃないか」とか、「季節ものは出来る限りその季節に放送できるように」とか、工夫を加えるようにしています。あと、「ちいかわ」は、すごくシビアな世界観を描いたシリーズ回もあるので、あまりにもそうしたストーリーが連続すると、視聴者がちょっと辛くなるのでは…と思うので、ただおいしいものを食べるだけといった“ほのぼの回”を間に差し込んで緩急をつけるようにしています。
原作のナガノ先生とはどのようなやりとりをしているのですか?
アニメにするにあたって、監督さん、音響監督さんなど、当然、いろんな人の意見や考えがあると思います。ただやはり、僕らでは分からないところまで、細かい設定や、明確な「ちいかわ」の世界感を持っているのがナガノ先生で、なにより、ファンの方の思いなどを一番理解されていますので、チームとして、「先生の意図されていることや考えは、活かそう」とみんな思っています。だから、セリフや細かい設定についても気になったことは全て先生に確認するようにしていますし、先生も必ず「それはこういうことです」などと明確に返してくれますので、先生のお考えと齟齬がないようにやっていく体制はできていると思います。
(c)ナガノ / ちいかわ製作委員会

©ナガノ / ちいかわ製作委員会

『めざましテレビ』で放送する上で、決まり事があったりするのでしょうか?
もちろん『めざましテレビ』で放送している以上、「朝の情報番組にそぐわないものがないのか?」という確認は怠らないようにしていますが、なるべく原作をそのまま生かす形でやらせてもらっています。こちらで作った構成を『めざましテレビ』側にも確認してもらって、問題がなければそのまま作業を進めていく感じですね。お酒を飲むキャラクターとかもいるので、どこまで表現をするのか、なるべく原作に忠実に描きたいと思っているので、そこは相談しながらやっています。『めざましテレビ』で放送する意義は、多くの人に見てもらえること、そして朝にアニメを見て、「今日も一日頑張ろう!」って学校や会社に元気に行ってもらうことと感じています。だから、一日の始まりにふさわしい作品をお届けできるよう、日々、努めている感じですね。
では「ちいかわ」をアニメ化する上での難しさを教えてください。
制作会社の動画工房のスタッフの方は、キャラクターを描くのがすごく難しいとおっしゃいますね。やはり普通の等身ではない小さくて丸いキャラクターなので、キャラクターの顔、特に目や鼻や口などのバランスがすごく大事になります。だから、ナガノ先生にも「どうすればかわいくなるのか」アドバイスももらいます。先生がお描きになるちいかわのかわいさは、本当に絶妙なんです。先生にしかわからないツボがあるので、先生のご意見をいつも参考にさせていただいています。スタッフのみなさんは、とても難しい作業をされていますが、出来上がってきたもののクオリティーはものすごく高いですね。1分という短い尺で多くの人に見られるからこそ、とことんこだわってやっていただいているんだと思います。
障子 直登
特に、細かい動きの描写へのこだわりが本当にすごいですね。例えば、漫画でちいかわとハチワレが何か会話をしている後ろでウサギが宙に浮いている場面がありますが、その後ウサギがどんな動きをしているのかは描かれていません。そうした場合は、「たぶんウサギというキャラクターならこういう動きをするだろう」とイメージして、動画工房さんが描いてくださっています。で、実はそのあたりの細かい描写は「後ろでぴょんぴょん跳ねて回転しているウサギが可愛い!」「ハチワレの尻尾が動いている!」など、ファンの方々もすごく反応してくれます。そうした「細かい動き」にもこだわるスタッフの皆さんには本当に感謝しています。
これまで200話近く放送されてきましたが、障子プロデューサーの中で一番好きな回はどれですか?
やはり、「草むしり検定」の回が一番好きですね(※第57話~第63話、ちいかわとハチワレが“草むしり検定”の試験を受けるお話)。人生の全てがその回に詰まっているって僕は思っています。僕も受験ではないのですが、小学生の頃、通っていた学習塾で成績順によるクラス分けがあった時、友達は受かったのに僕だけ落ちた経験があって、その時の苦い思いとかが蘇ってきました。でもそれって別に試験だけに限ったことではなくて、部活で友達はレギュラーに選ばれたけど自分は選ばれなかったとか、社会人になってからも、同僚は昇進したけど自分は違ったとか、いろんな世代の方でも共感できる部分があると思います。そういう誰もが経験したことがあるようなお話を、あの小さくてかわいいキャラクターたちが体験するからこそ我々も「素直な気持ちで」見ることができて、時には向き合うこともできる、そうした絶妙なバランスがこの回に凝縮されていると感じています。
(c)ナガノ / ちいかわ製作委員会

©ナガノ / ちいかわ製作委員会

逆に苦労した回はありますか?
「パジャマパーティーズ」の回は、結構苦労したかなと思いますね(※第144話~第155話、パジャマパーティーズ”という歌とダンスを披露するグループが登場するお話)。この回は漫画では歌詞が全部ついていないのですが、ナガノ先生に歌詞をまず全て考えていただいて、それに立山秋航さんが曲をつけくれて、声優さんが歌い、ダンスの振り付けは動画工房さんが考えて…、とにかく多くの人が関わって作り上げたシリーズです。それに歌と踊りだけではなく、この回は“討伐”というアクション要素もあります。ちいかわたちが討伐する白い鳥が登場しますが、現場で「鳴き声や動きはどういう音がいいか?」「これだと怖すぎないか?」などと細かい点にもすごくこだわり、現場で頭を悩ませながらみんなで作っていった記憶がありますね。
では、「ちいかわ」の魅力はどこにあると思いますか?
ストーリーの共感性が高いことが一つの大きな魅力だと思います。先ほどの「草むしり検定」のエピソードのように悔しい思いをしたり、怖いやつが出てきたり、欲しいもののために労働しないといけなかったりと人間社会と変わらない世界が描かれているところが共感を生んでいるんじゃないかと思います。そうした現実的な世界で健気に頑張っているかわいいキャラクターたちに視聴者のみなさんが自分を投影する、自分を重ねることで心を奪われていくのではないでしょうか。あとはやはり、そもそもの大前提として、キャラクターがすごくかわいいですよね。ちいかわ、ハチワレ、うさぎのトリオの他にも、くりまんじゅうだったらお酒を飲むキャラクターだし、沖縄の食べ物や飲み物が大好きなシーサーは、スーパーアルバイターという資格も取る頑張り屋さんだったりします。鎧さんは鎧さんで、かわいいものが好きな鎧さんもいれば、モモンガに振り回される鎧さんもいれば、シーサーと一緒にラーメン屋で働いている鎧さんもいて、ナガノ先生が作り出すキャラクターがすごく魅力的で、それぞれ個性がしっかり立っています。だから、みなさん一人一人に好きなキャラクター、応援したいキャラクターができることも大きいと思います。
障子 直登
また『めざましテレビ』の番組内では、「ちいかわ」の放送が終わったあとシームレスに、グッズの販売や関連イベントの開催情報を届けることもできますし、番組終わりの午前8時から一週間は、YouTubeとTVerで見逃し配信が、それが終わるとFODやAmazonなどで有料配信が始まります。こうしたことで、お客さんが「ちいかわ」に触れる機会がどんどん増え、そうした相乗効果もあって、多くの方が「ちいかわの世界」にハマっていくのでは、と感じています。
あとはショートアニメということですね。今の若い人たちって長い尺の作品をずっと見続けることに結構ストレスを感じる方も多いと思うんです。でもこの「1分間の作品」は、いろんな方に気軽に、ほんのちょっとした合間で見てもらえますし、繰り返し何度も見ることもできます。そうした点も多くの方々を引きつける要因になっているのでは、と思っています。
障子 直登

「ちいかわ」をみんなから
長く愛されるアニメに
アニメクリエイターへの
リスペクトを忘れず
大きな励みは…
新たな“ちいかわ”の存在!

それでは話変わって、これまで携わってきたお仕事について教えてください。
“二次元”のアニメ志望でフジテレビに入ったのですが、最初の配属先は報道局で、ゴリゴリの“三次元”の現場にいきなり放り込まれました(笑)。1年目は内勤として、主にお昼のニュース番組で、短い原稿を書いたり、映像を編集したりする仕事をしていたのですが、当時は髪も長くてヒゲも生やしていて、およそ“報道マンとしてはダメだろう”っていう感じの新人でした。2年目から夕方のニュース番組のディレクターになって、3年目には情報制作局に異動しました。
『直撃LIVE グッディ!』や「バイキングMORE」などワイドショーのディレクターを2021年の東京オリンピック終わりまで務めました。
障子 直登
そこから念願のアニメ制作部へ異動になったんですね。
入社してから7年程、ずっとアニメに行きたいと思って異動の希望は出し続けてはいたのですが、全然通らないし「もうないな…」と半ばあきらめかけていたら、異動になりました(笑)。だからもちろんすごくうれしかったのですが「今なんだ!」って思いましたね(笑)。7年もやっていると報道や情報番組のことはそれなりにわかってきましたし、いろんな面での「繋がり」もできていたので「いきなり全然違う部署、しかもビジネスの部署に異動してやっていけるかな?」という不安も、正直、すごくありましたね。
実際にアニメ制作部に異動してどう感じましたか?
アニメ自体は昔からすごく好きだったので、製作委員会みたいなビジネスモデルがあってとか、アニメがどのように制作されているのか、ある程度の予備知識は持ち合わせているつもりでした。ただ、実際に仕事を始めて、改めて身をもって知らされたのは、「アニメはクリエイターさんがいないと一切、完成しない」ということ。報道や情報番組の仕事でも、もちろんカメラマンなどの技術と一緒にロケをしたりするのですが、自分で原稿を書いたり編集したりと、自分でやることやできることも割と多くありました。一方でアニメは絶対に自分で描けないので、そこが「他の仕事とは全く違う」と強く実感しましたね。「本当にクリエイターさんがいないと、何もできない。アニメは放送されない」と。だから「アニメはクリエイターのみなさんと一緒に作り上げるもので、そこへのリスペクトだけは絶対に忘れちゃいけない」とその時、強く感じましたし、もちろん今でもその思いは大切にしています。またアニメって、世の中で放送されている本数もかなり多いので、「結構簡単にできるんでしょう?」と思われがちですが、完成するまでにめちゃくちゃ時間がかかるし、クリエイター以外にも多くの人が関わるんです。そうした点も驚きでしたし、すごく勉強になりましたね。
障子 直登
ではどういったきっかけでアニメ志望になったんですか?
僕は小学生から中学生までは野球一筋だったんですが、高校ではあまり真面目に勉強せず、部活も真剣にやっていませんでした。そんな高校生活を過ごしていた時に、行き着いた先がなぜかアニメだったんです。今までずっと野球ばっかりやっていて見られなかったこともあったので「こんなものがあるんだ!」って、そこからどハマりしてしまいました。学校から帰宅した後はずっとアニメを見ていて、また寝る間も惜しんで漫画や小説、ライトノベルを読んだりと、いろんなジャンルのものに手を出して、「いつかこうしたエンタメに関わる仕事がしたい」という想いを深めていきました。そこから大学に入って、アニメや漫画ももちろんですが、エンタメ全般に携われる仕事をしたいということでテレビ局を目指しました。
障子 直登
ハマるきっかけのアニメはあるのですか?
『true tears』(2008年)というアニメですね。富山県が舞台になっていて、街並みがリアルで背景が水彩画みたいにキレイで、面白いし、お話も“恋愛”や“青春”がテーマですが、人間関係でちょっとドロドロした展開もあって、これまでに経験したことがないような衝撃を当時受けました。そのシリーズ構成をされた岡田麿里さんが、フジテレビでアニメ化された『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011年)の脚本を担当されているのを知って、そこからどんどん繋がっていくというか、岡田さんがシリーズ構成・脚本を担当したアニメを見るようになって…と、どんどん様々なアニメを見るようになっていきました。
その岡田さんが脚本を担当している最新作で今年10月に公開される『ふれる。』というアニメ映画に、フジテレビの担当者として僕も入っているのですが、やはり自分がアニメ好きになったきっかけのスタッフの方々が手掛けられている作品なので、このプロジェクトに入れることができたのはすごく光栄ですね。なんかもう嬉しすぎてニヤニヤしてしまい、監督とお話しする機会があった時も「すごいめっちゃ好きでした!」って自然と言葉が出てきました。そうした方々とご一緒できて、「本当にアニメ制作の仕事に携われて良かったなぁ」って、つくづく思いますね。
ふれる。

©2024 FURERU PROJECT

では、「ちいかわ」に携わって「良かったなぁ」って実感するのはどんな時ですか?
もちろん、アニメ放送後のSNSでのみなさんからのコメントは励みになっていますし、嬉しいのですが、地元の京都に帰省した際、友人から「うちの娘が好きだよ!」とか「保育園のお遊戯会でやったよ」とか言ってもらえた時はすごくうれしかったですね。自分が住んでいた田舎の方でも「みんなが知ってくれている」っていうのは、すごくやりがいがあるって思いますね。
テレビ各局がアニメ制作に力を入れる中、この夏の組織改編でアニメ制作の部署は、独立した一つの局となりました。今後の展望などについてお聞かせください。
もちろん他の仕事でもそうした面があると思いますが、アニメって本当にいろんな人とのつながりとかいろんな人が関わってできるものだと思っています。お付き合いのある会社さん、制作会社さん、クリエイターの方々も含めて、やはりフジテレビと一緒に仕事がしたいと思ってもらえるような組織になることが一番大事なのかなと思っています。また、フジテレビは“ノイタミナ”という深夜帯のアニメブランド枠を他局に先んじて立ち上げています。“ノイタミナ”らしさだったり、フジテレビのアニメってこういう作品だよねって思われるような作品を出し続けられればと思います。局になったことで、会社からより求められているのは「ヒットコンテンツの制作」、ビジネスとしてもしっかり結果を出すことだと思っています。ヒットもしたし、「みんながやってよかったね」って思える作品を作れることが「一番の幸せ」だと思うので、そうした作品を一つでも多く作れればと思っています。
障子 直登
それでは最後に、ご自身の今後の目標を教えてください。
『ちいかわ』は、2022年から放送して2年以上経ちました。フジテレビで放送している『ちびまるこちゃん』、『サザエさん』、『ワンピース』のように、長く愛される作品になれるよう頑張りたいなと思っています。
あとは「冒険王」もそうなのですが、実際に楽しんでいるお客さんを見られるのが一番うれしいですね。例えば、映画だと完成披露試写会でお客さんの顔や反応は見られるのですが、実際にあれだけ一気に大勢のファンの方々の姿を目にすることはないので、そういう作品に携われて本当にありがたいですし、そんな誰もが楽しんでいただけるようなプロジェクトをアニメでもそうですし、アニメ以外でも何かできればいいなと思っています。
また、これまでいろんな作品でご一緒させてもらっている制作会社さんやクリエイターの方々と、また何かお仕事ができればいいなと思っています。
障子 直登
あと、つい最近、第一子となる娘が生まれたんです。娘が大きくなった時に「パパ、こんな仕事しているんだ!すごいね!!」って言ってもらえるよう頑張りたいですね。
「パパがみんなと一緒に作っている作品だよ」って娘さんに伝える日が楽しみですね?
そうですね。今、3歳の姪っ子は、「なおくん、ちいかわ」って僕に言ってくれます(笑)。そんな日が来ることが本当に待ち遠しいですね。でも、娘には、妻から伝えてもらおうかな…。自分で言うのは何だか恥ずかしい気もするので(笑)。

とにかく「ちいさくて」「かわいい」めっちゃ大切な存在なんです!
障子 直登
仕事仲間からひとこと
障子さんは、後輩ながらとても“現場力”があるプロデューサーだな、と感じています。
彼自身も上記の本文内でもアニメの仕事の大変さに触れていますが、アニメの仕事は制作業務からビジネスまで多岐に渡るので、異動したての方はなかなか仕事のコツを掴むまでに時間がかかることが多いのです。
でも、障子さんは、報道〜情報と厳しい現場できっちり揉まれてきたということもあるのかもしれませんが、何より大切な原作や現場へのリスペクトをしっかり持った人間で、異動から間もないタイミングでも「ちいかわ」のプロデューサーを任せられるような人材でした。
そういった側面もあって、彼は一緒に仕事をする人たちにはとにかく気に入られて、可愛がられている印象があります。それはとても稀有な彼の才能だなぁと感じています。
これからも、多くのヒット作品を生み出す男だと思いますので、僕の分も背負って頂いて(笑)、更なる活躍を期待しています!

アニメ制作部 森 彬俊

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