「マネタイズ」が
自分の仕事の「骨格」!
営業推進部の西田さんに聞く―
営業局員として大切にしていること・
フジテレビ営業局らしさとは
大学時代のボート部で培った
“ゴールが見えない中で
漕ぎ続ける力”
Vol.15
西田 樹乃Mikino Nishida
フジテレビで働く人の仕事への取り組みや思いをシリーズで描く『FUJITV Inside Story』。
第15弾は、テレビ局の土台を支える営業局で活躍する西田樹乃さん。入社5年目で、現在、営業推進部の一員としてスポンサーや代理店と番組制作を繋ぐ重要な業務を担っている。そんな彼女にテレビ局の営業のやり甲斐、フジテレビだからこその営業スタイル、また今後の目標などについて聞いた――。
(2024年02月22日掲載)
大切にしている教えは
「フジテレビ、商品、
番組のファンになってもらうこと」…
無我夢中の新人時代
“難しさ”から“楽しさ”に
かわった瞬間とは
- 入社して営業局に配属されたそうですが、最初の印象はどうでしたか?
- 最初は「怖いな。やっていけるかな」と不安でした。フジテレビの営業といえば、テレビ業界の中でも特に激しいイメージだったので(笑)。
もちろん5年目の今は、そうした雰囲気だけでは無いと感じています。
- それまでネット営業部に新入社員がいきなり配属されることはなかったようですが?
- そうなんです。ネット営業部は、他の局や部署で経験を積まれた方が異動してくることが多かったようです。なので内示直後に、当時ネット営業部長だった浅川局長にご挨拶に行ったら、「えっ?」ってビックリされていた様子でした。その後、浅川さんからは「フジテレビの営業というのは、フジテレビのファンになってもらって、スポンサー商品のファンになってもらって、番組のファンになってもらうこと。それだけは忘れないように!」との教えを授かりました。ただ同じタイミングで、「ネット営業は、現場担当一人当たり100億円近く売り上げている」ということも伺い、「えっ、新人の私が・・・!」と目が点になりましたね。とはいえスポンサーからすれば新人だろうがフジテレビの担当者であることに変わりはないので、最初の一年はとにかく先輩の提案の仕方を真似したり、少しでも覚えてもらうべくひたすらスポンサーに通いつめました。
- 一年目から一人で売り込んだこともありましたか?
- そうですね。一年目から担当スポンサーを持たせていただきました。ただ、全国ネットのCMを打つほどの名だたる企業でお財布を任されている人ですから、先方はテレビ広告にも詳しいベテランの方が多く、今思えば「フジテレビは一年目のこいつをわが社の担当につけたのか・・・」と思われていたかもしれません。ですがその分先方に構えられることなく商談できる機会も多かったです。「たまたま近くに来たので~」という口実でお時間をいただけたり、無邪気な提案も聞いて頂けたりしたのは有難かったですし、特権だったかもしれないです。
- そのように仕事を身につけていく中で、苦労したことはありますか?
- テレビ局って、レストランでいうとシェフが制作で、メニューや順番を決めるのが編成で、そのメニューの金額を決めたり、どうやって売るのかを考えたりするのが営業だと思っています。そうした状況で近隣のレストラン(他局)と戦うことになるのですが、売れなかった時は、自分の力不足を棚に上げて、「シェフの作った料理が悪いんじゃないか」などと葛藤することはありました。それはつまり「視聴率が良くないから買ってもらえない」というシンプルなロジックではあったのですが、それでも売るのが営業なので、それをどうやって乗り越えるかが難しかったですね。
- では、そうした状況をどのように打破したのですか?
- その時の私には、番組を提案する際、「F層(女性視聴者)は取れていますよ」とか、「御社のメインターゲットのティーンは横並びトップです」といったざっくりとしたセールストークしかなかったんです。ですが他部署含め多くの先輩たちから教えをいただいて、例え“ぱっと見”の視聴率が高くなかったとしても、別の物差しを使ったら他局よりも良い商品(広告効果)に見えることを学びました。視聴者の家族構成比や年収、誰とみているか、共視聴している場合どっちに商品購入決定権があるのかなど、より細かなデータをもとに、なるべく多くの尺度でセールスする術を徐々に身に着けていくことで、「結果」もついてくるようになりました。
- あまり面白くないと思っている番組も売らなくてはならない時もありますよね?
- 最初の頃は、「自分が面白くないと思っている番組を売らなければならないのか…」という気持ちも正直、ありました。ですが、ある企業にとってはあまり価値を感じない番組であっても、別の企業にとってはすごく価値のある番組もあるので、先ほどお話した数字の見せ方とか、「自分の提案の工夫次第でスポンサーさんと我々の両者がwin-winになることができる」ということを何度か実感していくうちに、それが楽しさに変わっていきました。
「クライアントさんに
どれだけ寄り添うことができるか」・・・
信頼関係の構築が
フジテレビ営業局の
「変わらぬ大切なスタイル」
- 現在は営業推進部でお仕事をされていますが・・・
- ネット営業部は「対スポンサー」ですが、営業推進部は「対編成・制作」という面が強い感じですね。ネット営業部は外勤だったので、編成や制作の方々と直接話すことはあまりありませんでしたが、今はそうした部署の方々と仕事を進めています。
- では、制作現場とより緊密に連携している今のお仕事で、心掛けていることは何かありますか?
- 「クリエイティビティ」と「マネタイズ」です。営業局は、スポンサーさんと制作現場をつなげる重要な「窓口」なので、クライアントにフジテレビで番組連動CMをやってよかったと思っていただけるような仕事をするよう心掛けていますし、それがやりがいでもあります。また、営業はお金を稼ぐことが第一ですので、そこにいくらのお金がかかるのか?実施した場合の営業利益は?といった収益性の思考も忘れないようにしています。
- ずばり、西田さんの「強み」はどういった部分にあると思いますか?
- 「強み」いうより私が大切にしているのは、クライアントさんに「どれだけ寄り添うことができるか」ということですね。その担当者の方も、会社の大切な宣伝広告費を使うのですから社内で説明をしますよね。宣伝費を効率よく使う事が出来ればその方にもメリットがある、なので、その資料がそのクライアント内で「ひとり歩き」できることを目指して、オーダーメイドの提案をするよう励んでいました。
- 営業局員として女性ならでは視点が活かせる点は?
- 先輩から教えてもらったのは、例えば生理用品などの女性用の商品の場合ですね。やはり女性としての視点もありますし、視聴者や利用者の立場としての考えも伝えることができると思います。
- では「フジテレビらしい営業」とは、どういうものでしょうか?
- 営業の商品・売り物で言うと、最近導入された「マルチスタンバイCM」と「ダイナミックボーダーフレーム」といった新たな仕組みですね。これは天気予報の中に清涼飲料水の広告画像を表示させるシステムがあって、その日の天気に合わせて最適な飲料の表示商品や メッセージを変えたりできるものですが、これはフジテレビが初めて取り組んだもので、フジテレビらしさというか、独自で展開しているものですね。
- 社風的なところで言うと、いい意味で「オールドスタイル」な点ですね。
浅川局長が今年の新年営業局会議で、今年の営業局のテーマに「不易流行」を打ち出しました。「不易」=「変わらないもの・変わるべきではないもの」を大切にしながら、「流行」=「新しいもの」も取り入れていこうというお話と理解しましたが、その「変わらないもの、変わるべきではないもの」がまさに「オールドスタイル」だと思っています。「流行」という面では、先ほどお話したデジタル関連で新しい売り物とかを提案することなどで、もちろんそれもとても重要だと思います。でもそれだけではなくて、他愛のない話をしたり、食事をご一緒したりとかアプローチの仕方はいろいろあると思いますが、「この人の言うことだったら信頼できる」とか「この人ならうちの商品を理解してくれている」とスポンサーさんに思ってもらえるよう信頼関係をしっかりと築くことを、これまでとても大切にしてきたことが、これからも「変わることのない」フジテレビらしさだと思います。
- 番組の見られ方や尺度なども変わってきていますが、今後の営業のあり方についてどう思いますか?
- 今テレビ局はCM広告が主な売り物なのですが、他の売り物をいかに増やすかが今後の勝負になってくると思っています。先ほどの「ダイナミックボーダーフレーム」などのように、CM枠を売る以外の販売商品を増やしていくことですね。あと「どれくらい見られているか」のものさしも課題です。最近YouTubeなどでは「視聴数」で計算されているので、スポンサーも「視聴数」と「視聴率」をどう比べていいかわからないという状況もあります。なので、時代に合わせて、リーチ数を即座に見られるようにしたり、視聴質を数値化したりすることも課題だと思います。
あと、視聴率に関係なく「お金を稼げる」番組も今後増えてくると思うので、そうした評価軸も社内に必要になってくるのでは、と思っています。
大学時代にボート選手として培った
「コミュニケーション力」と
「“漕ぎ続ける”力」…
「営業局との懸け橋に!」が
今後の目標
- 話は変わって、学生時代のことを教えてください。
- 大学の時は琵琶湖でボートを毎日漕いでいました。ボート部は寮があって朝も夜もご飯が出るから「お金が浮くじゃん!」って(笑)感じで、最初はホント軽い気持ちで入りました。
- とはいえ、かなり立派な成績を残されたと伺いました。
- 水上では日本6位でしたが、「インドアローイング」という種目では日本代表としてアジア選手権に出場することができ、女子ダブルで優勝しました。
- その時の経験で今のお仕事に活かされていることはありますか?
- クルーボートだと、一瞬でもオールを漕ぐタイミングが合わないと前に進まないので、クルーとのコミュニケーションを大切にしていました。そうした経験は、外勤・内勤に関わらず役立っているかもしれません。あと、ボートは「後ろ向き」に進むので、ゴールが見えないんです。正しい方向へ向かっているのかも分からないまま懸命に漕ぎ続けるので、その点は、営業も同じなのかなと思ったりします。最近導入されたテレビ広告ビジネスは100年後、当たり前になっているかもしれないし、「そんな商品もあったね」くらいの歴史の一ページに過ぎないかもしれない。正しい売り物なのかはわからないけど、「テレビの可能性を信じてひたすら漕ぐ」というところですね。
- では、大学生の時にフジテレビを志望したきっかけはなんですか?
- 小さい頃からテレビっ子で『はねるのトびら』とか『ピカルの定理』が大好きでした。それでバラエティ番組の制作に携わりたくて・・・その気持ちだけでテレビ局を目指しました。なのでテレビ業界以外は受けていないですね。
- バラエティ番組志望で入社した中、営業局の配属となりました。
- 番組制作を目指している自分にとっても今の仕事は、実際、すごく勉強になっています。もし、営業を経験しないまま制作現場へ行っていたら、「営業は制作の幅を狭める面倒くさい存在」くらいに思っていたかもしれません。ですが、特に今は、テレビ局の多くの仕事に関して、「マネタイズ」の観点が求められているので、制作現場でもそうした視点を持つことは必要だと思っています。「稼ぐこと」が至上命題の営業局の仕事に携わって、テレビ局がどう「マネタイズ」に取り組んでいるのか、その重要性を第一線で経験できていることは、とてもありがたいです。
- では最後に、今後の目標をおしえてください。
- 入社した時と変わらず、制作の仕事に携わりたいと思っています。そして、ドラマやバラエティの部署に所属した場合には、是非、「営業との架け橋になりたい」と思っていますし、今、「営業で学んでいることは忘れないで」というか、今後、どんな部署になっても「マネタイズ」というものを、仕事上の「骨格」としていきたいと思っています。また代理店やスポンサーの方々は、制作現場を遠い存在として感じられているのでは、と思うこともあるので、そうした面でも自分がお役に立てていけたらと思っています。
学生時のボート部での経験の「たまもの」なのか、全ての振る舞いがテキパキとした印象の西田さん。にこやかな表情で「営業局員として大切にしていること」や「今後のテレビ営業のあり方」などについて、自分の言葉で理路整然と話してくれた。「マネタイズを仕事の骨格に据えたい」と語ったエネルギッシュな入社5年目の若手社員。「テレビの可能性を信じてひたすら“漕ぎ続け”た」先に一体どのような景色を目にするか・・・・これからの活躍、その歩みが大いに期待されることになりそうだ!
(西田 樹乃 プロフィール)
1996年生まれ、東京都荒川区出身(谷中銀座です)。テレビ局を目指しメディア学科のある同志社大学に入学。大学卒業後、2019年にフジテレビ入社。初期配属のネット営業部にて全国ネットCMのセールスを担当。現在は営業推進部にてローカル番組のタイム・スポットの効率化及び番組連動CMの調整業務に従事、ノンストップ史上初となる生コマーシャルも手掛ける。
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