FUJITV Inside Story〜フジテレビで働く人〜

小津 美和

「寄り添うことができたら・・」
社会貢献活動に取り組む
小津美和さんに聞く…
いつまでも大切にしたい“心がけ”、
テレビ局だからこそ
できることとは・・・。

Vol.06

小津 美和Miwa Ozu

フジテレビで働く人の仕事への取り組みや思いをシリーズで描く『FUJITV Inside Story』。
第6弾は、日々熱心に「サステナ」活動に取り組み、各地を駆け回っている社会貢献推進局・サステナビリティ推進部の小津美和さん。他部署での豊富な経験も活かしながら、現在の仕事に携わって一年弱。この取り組みに臨む基本的なスタンス、肌で感じた大切にしたいこと、フジテレビならではの取り組みなどを聞いたーー。
(2023年8月31日掲載)

「出前授業」に「被災地支援」・・・
多種多様な取り組みの
“基本姿勢”は「地道に継続」

社会貢献推進局・サステナビリティ推進部では、どのようなことに取り組んでいますか?
フジテレビは2006年にCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)の専門部署を立ち上げてから、これまでさまざまな活動に取り組んでいます。具体的に紹介しますと、主な活動の一つは「出前授業」ですね。例えば「あなせん(アナウンサー先生)」では、応募をいただいた小学校に、「しゃべりのプロ」であるアナウンサーと一緒に訪れて、直接人前で話すことやお互いのことを知るなどの「コミュニケーション」に関する授業を行っています。また保育園・幼稚園などでは「食育」の出前授業を実施し、うんちのキャラクター「どっこくん」の大型紙芝居を読み聞かせながら、旬の食材をバランスよく食べることや排泄、運動の大切さを学んでもらっています。
小津 美和

「どっこくん」の紙芝居に子どもたちも興味津々

最近では、「防災」の出前授業も系列局と連携して全国のイベントや小学校で行っています。その際は、それぞれの地域で最も気をつけなければいけない対象は何なのか、「川?海?それとも山?」などと、地域ごとの状況も考慮しています。
「あなせん」は授業を受けた先生からの口コミで広がりもあるそうですね。
とてもありがたいことなのですが、「あなせん」を経験した先生が別の小学校に赴任されてから、その学校の子どもたちにも教えて欲しいとまた応募して下さるなど、先生たちを通じても輪が広がっているのかなと思っています。
小津 美和

アナウンサーの出前授業「あなせん」も大好評

被災地の支援にも積極的と伺いました。
そうですね。「東日本大震災で被災した福島に子どもたちが誇れるような桜並木を作ろう」というプロジェクトのサポートを続けていて、今年で10年になりました。毎年、数十本ずつ植樹し、これまでに植えた桜は1450本になりました。春になるときれいな花を咲かせています。
小津 美和

「復興への願いを込めて・・」福島での桜の植樹活動

また、多くの方が辛い思いをしている被災地の支援では、私たちテレビ局の“得意分野”でもある「エンタメ」を通じて、ちょっとした楽しみをお届けしたりもしています。私はバラエティ番組が好きでよく見ていますが、やはり「笑う」って気持ちも軽くなるし、人を笑わせられる、楽しませる力ってすごいなとも感じています。また、さまざまな番組を通じて社会貢献活動に関する話題をいろいろお伝えすることも活動の大きな柱の一つです。
活動は決して「派手ではない」印象ですね。
そうですね。数多くの活動を手掛けていますが、何か一つ大きく取り上げるというよりも、例えば、2005年からずっと続いている「あなせん」では、この18年間で290校近く、約2万2600人の小学生に出前授業を行っていて、こうした「地道」且つ「継続的」な取り組みが多いです。
小津 美和

一貫した
「寄り添うことができたら」
の思い
“最高の瞬間”は
子どもたちの笑顔に出会えた時

では、今の仕事に携わろうと思ったきっかけは何かありますか?
特別なきっかけがあった訳ではないんですが・・・。ただ、学生の頃から世界を旅するのが好きで、いろんな国を訪れ、海外でボランティアもしました。日本国内でも同じですが、厳しい境遇で生きている人たちがたくさんいて、知らなかったこともたくさんありました。そういった人たちに微力ながらも「寄り添うことができたら」、という思いがその頃からあったと思います。
以前は、報道局や情報制作局で記者やディレクターをされていました。
そうですね。報道局や情報制作局では、多くのことを経験させていただきました。日々の生活の中で起きる様々な出来事やそれに対する思い、リアルな息遣いなどを、日々取材して視聴者の方々に伝えることは、とても意義のあることと感じていましたし、今もその認識に変わりはありません。ただ、今、所属しているサステナビリティ推進部では、直接、人の体温に触れ、その人の目を見て、何かその人に対してアクションを起こすことができます。そしてその反応を肌感覚として受け取ることも、より可能な部署だと思い、是非、携わってみたいと思いました。
小津 美和

写真左:政治部記者として活躍(2006年) / 
写真右:情報番組Dとして香港で取材(2014年)

報道局などでの経験で、今の仕事にも特に活かされていることはありますか?
現在の部署に異動してまだ1年経っていませんが、「中継のノウハウ」などの面で、報道局や情報制作局での経験を活かせているのかな、と思っています。
今年一月、コロナ渦の影響もあり、病院の外にあまり出ることができない難病の子どもたちに何か楽しみを届けたい、ということで、全国11の病院や施設と、難病の子どもたちを支援する北海道のキャンプ場をオンラインでつなぐイベントを実施しました。
小津 美和

「そらぷちキッズキャンプ」とつながり、笑顔の子どもたち

このキャンプ場からは今湊敬樹アナウンサーが、子どもたちがなかなか見ることができない北海道の大自然や雪景色などについて中継でリポートし、子どもたちと交流を深めたのですが、「フリップも持ってみましょうか?」などとアイディアを出し合いながら、何をどのようにどのタイミングで見せたら、子どもたちによりわかりやすく伝えることができるのか、演出や構成も丁寧に考えて、それなりの台本も作って本番に臨みました。その時にやはり、段取りとか伝える手順とか、こういう風にしたらうまく伝わるのでは、といった報道・情報制作時に培った「ノウハウ」を活かすことができたのでは、と思っています。
小津 美和

技術チームとも連携し、
北海道から雪景色を子どもたちに中継

では、現在の部署でやり甲斐を感じる瞬間は?またこれまでで一番うれしかったこととは?
先ほどもお話ししましたが、例えば「出前授業」では、子どもたちの質問にその場で直接答えてやりとりをするので、やはりそのリアクションを肌で感じることができることがとても大きいですね。子どもたちのリアルな反応、笑顔になってくれる瞬間にも出会えるので、その時はすごく嬉しいです。私たちと触れ合ってくれたことで、これまで躊躇していたことに「勇気を出してちょっと踏み出してくれる」「何か挑戦してくれる」とか、例えば病気の子どもたちなら普段とは違う 「ちょっとした楽しい時間や優しい時間を持ってくれる」。そういう子どもたちがいてくれるということを、実感できる瞬間というのは、とても嬉しいし、本当にありがたいと思います。また、そうした子どもたちの様子や活動を放送につなげて、視聴者の方々に伝えることもできますし、また逆に、取材や放送を通じて知った辛い状況に置かれているに人たちに、何らかのアクションを起こすこともできます。そうしたいろんな試みができるのが、今の部署の良さだと思うし、やりがいを感じる面でもあると思っています。
小津 美和

「小さな行いの積み重ねが、
優しい世の中につながれば・・・」
「作る力」と「伝える力」が
フジテレビの強み

「社会貢献活動」に関して、テレビ局ならではの影響力を感じたことはありますか?またテレビ局が果たすべき役割はどういったものでしょか?
やはり多くの人に「伝える」ことができる、そうした手段を持っているということが一番大きいと思っています。伝え方によって、自然に受け入れてもらえたり、考えるきっかけとなったりすることもあるかもしれない。例えば、ドラマの『silent』もそうだと思います。あの番組を通じて、いろんな立場や境遇の方々の日常生活について、理解が広がるきっかけになったと思います。生きづらさを少しでもなくして、みんなが少しでも呼吸のしやすい社会にしていくためには、そうした「伝える」ということが、やはり大切な手段だと感じています。だからそうした「伝える力」で、「一歩を作り出す」ことが、テレビ局が果たすべき役割の一つだと思いますし、またそれが、テレビ局の「コンテンツの力」を活かすことができる一つの場でもあるのでは、とも感じています。
フジテレビならではの取り組みも期待されますよね。
先ほどもお話ししましたが、やはり、「コンテンツの力」を活かせるテレビ局の「伝える力」はとても大きいと実感していますし、伝えることで何かを変えるきっかけを作り出せると思います。一方で、テレビで「CSR」や「SDGs」などと言うと、ちょっと何か社会にいいことをするということで、ともすると、押し付けのように捉えられる風潮もあるのでは、と感じています。
小津 美和

「防災」出前授業にはあの“人気者の姿”も ©ガチャムク

そんな中、フジテレビには、「楽しくなければテレビじゃない」のスローガンの通り、「楽しくて元気でハッピーで!」という雰囲気がありますし、それに加えて、「包容力」というか「柔軟性」みたいなのも大きな魅力の一つかなと感じています。だからやはり今の部署でいうと、「何でもチャレンジできることが大きな武器」だと思います。社内横断でできたプロジェクトチームもありますし、何かやりたいとなった時に、どうやったらできるかを、あれこれ試行錯誤しながら考えていく土壌もあると思うので、そういうところはフジテレビらしさ、強みの一つではないでしょうか。“身近な”存在であるテレビを通じて、さらに、フジテレビの“特性”も付け足すと、「こうしなくてはならない」ではなくて、持ち前の「コンテンツ力」も活かして「楽しく身近に感じてもらえる」「自然と受け入れられる」ような、切り口やアプローチを数多く提供していくことも可能なのでは、という期待感はあります。
小津 美和
では、これから取り組みたいこと、また力を入れたいこととは?
ここでは、さまざまな活動を通じて、直接当事者の目を見て寄り添ってもあげることもできますし、アクションを起こすサポートをすることもできると感じています。さらにテレビ局は、そういう人たちの現状を、放送というツールを活かして伝えることもできます。ただ、その点において、いろんな番組とこれまで以上にコラボしたり、イベントを実施したりするなど、発信していくツールをもっと増やしていけたら、もっと大きな力になるだろうなと思っています。この関連の取り組みでは、「民放各局とNHKでコラボして放送しましょう」という動きも進んでいますし、今後は、フジテレビ個社としてだけではなく、いろんなことに取り組まれている個人や団体、また企業などとも上手く連携して、ソーシャルアクションをおこしていけたら、より大きな力が発揮できると思っていますので、そうしたことにもチャレンジしてみたいですね。とは言え、まずは「足許」=「社内がより一層、一丸となることが大切」と感じています。
最後に、この活動の取り組みで、小津さんが一番「心掛けて」いることはなんですか?
「CSR」や「SDGs」などと言うと、その言葉の印象で、「偽善っぽい」とか「こんなことやって意味あるの?」みたいなことを口にする方も少なからずいらっしゃいます。もちろん、CSR・SDGsの課題や活動に真正面から向き合うことも必要です。一方で少しずつでもどんな形でも無関心、他人事にならず、様々な社会貢献活動がいつか「ごく自然なこと」「当たり前のこと」になったらいいな、と思っています。そのためには、まずは誰かが小さなことでも「何か」やらないと始まらないと思いますし、その「何か」は、ホントにちょっとしたことでいいと思っています。
小津 美和
私自身も「これはやらなければいけないんだ!」と大きく旗を振ることは、正直、あまり得意ではありません。「まずは 『隣にいる人が嫌な気分じゃなかったらいいな』というところから始めることで十分ですよね」、それぐらいの気持ちでいます。そうした小さな一つ一つの取り組みがうまく広がってうねりとなれば、徐々に何か一つの形になる、さらに世の中の大きな流れになって、優しい世界につながってくれるのでは、と信じています。だから、大上段に構えるよりも、みんなが優しい一歩を踏み出してくれるような「知るきっかけ」や「変わるきっかけ」などを、提供できるようになりたいと思っています。

まずは「落ちているゴミがあったら、拾いたいね」っていう、小さなことからですよね!

ともすれば「特別なこと」との印象も持たれがちな「サステナビリティ」や「SDGs」。そんな風潮を「『隣にいる人が嫌な気分じゃなかったらいいな』というところから始めれば十分!」と明るく“笑い飛ばした”小津さん。またテレビ局は「“伝える力”で“一歩を作り出す”こともできる」とも語り、聞き手までもポジティブな思いにさせてくれた。そうしたこと全てが小津さんの人柄がなせる技。持ち前の優しさと誠実さ、そして時折、垣間見える豪胆さで、これからも “まずは小さなことから”の社会貢献活動に奮闘する日々が続くことになりそうだ!

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