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『世界の子どもたちの笑顔のために』

ネパールを愛する日本の高校生がFNSチャリティキャンペーンに特別寄稿!

 昨年12月19日の当欄で「全国小・中学校作文コンクール」の文部科学大臣賞を受賞した関慶志君の作文を全文掲載しました。一人の小学生がネパールで経験した親友との辛い別れ。その親友が背負わされた過酷な運命と、そんな不幸を生む最大の原因である“貧困”の実態。そして犠牲者は常に子どもたちであるという厳しく理不尽な現実…。それらすべてが我々の胸に迫りました。
 実は、その関慶志君に大きな影響を及ぼしたのが、兄である関愛生(ヨシキ)君です。
 愛生君は家族と離れネパールに単身留学し、現地で多くの貴重な経験を積みました。楽しいこともいっぱいあった反面、最貧国であるネパールが抱える“陰”の部分を否応なしに思い知らされることになります。
 今回、そんな愛生君が、FNSチャリティキャンペーの活動に大いに共感を覚えたということで、自らネパールへの思いを綴った寄稿文を我々に送ってきてくれました。
 ぜひ皆さんにお読みいただき、17歳の彼がネパールで何を感じ、どう行動してきたのか、さらにそんな彼の思いを知って、今我々ができることはいったい何なのかを、もう一度考えてみたいと思います。

 

FNSチャリティキャンペーン事務局:川口 哲生

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寄稿者プロフィール
関 愛生 (せき よしき)

ネパールを愛する日本の高校生がFNSチャリティキャンペーンに特別寄稿!

1996年6月13日生まれ、17歳。八王子市在住。啓明学園高等学校2年生(生徒会役員)。高校1年時にネパールで1年間ホームステイをしながら現地校に通う。タイにも1年住んだことがあり、ほかにもバングラデシュなど多くのアジアの国々を訪れてきた。 現地の子供たちと清掃活動を行うほか、貧困地域の村を数十ヶ所以上も訪れ、生活の質や教育の水準などの調査活動に通年で取り組んできた。また、ネパールを訪れる日本の大学生支援団体の現地コーディネーターも勤めた。帰国後は小中高から大学でのボランティア交流活動や講演会などを精力的に行なっている。趣味は、ブログを書くこと、読書、サイクリング、登山。特技は、ネパール語、そしてどんな国籍の人とでもすぐに仲良くなれること(本人談)。

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ネパールと僕の関係

 昨年度1年間、ネパールの一般家庭で単身ホームステイをしながら現地校に留学しました。2年前の夏休みにネパールを訪れたとき人々の生活に大変感銘を受け留学を決意したからです。ネパール人と共に勉強に励み、数日間以上の休暇になると山岳地帯の農村を訪れ、調査活動を行いました。
ネパールを訪れる人は皆、初めて会った外国人にでもすぐに打ち解け家族のように接してくれるネパール人に魅了されます。
僕は特に農村の子供たちがお気に入りです。
最初は恥ずかしそうにじっと僕を眺めていますが、一時間もするとギャーギャー騒ぎながら僕と遊ぶようになります。いつも僕の後ろにはたくさんの子供がくっついていました。まるで、あひるの子供のようで、かわいくて仕方がありませんでした。

ネパールを愛する日本の高校生がFNSチャリティキャンペーンに特別寄稿!

僕と村の子供たち

 

ネパールの光と影

 ネパールは素晴らしい国、そこに暮らす人々も本当に素敵です。
 いっぽうで、このネパールはアジアの最貧国の一つでもあります。
 僕が訪れた村々には、電気、水道、ガスも整備されていません。村の子供たちは、小さな頃から働き尽くし。そして様々な事情で学校に行かなくなった子どもたちの中には、大きな街に出稼ぎに出され「ストリートチルドレン」になってしまう子供も少なくありません。人身売買の被害にあう女の子たちも多くいます。わずか数万円で妹や親戚を売り飛ばしてしまう大人がたくさんいるのです。
 僕が貧しい村で、その後親友となるカルナと出会ったのは15歳のときでした。僕とカルナは同じ年でした。しかし、なんと彼は結婚しており、しかも1歳年下の奥さんはすでに身ごもっていました。そして、15歳のカルナは、家族を養うためにマレーシアに出稼ぎに出されてしまいました。しかも3年間もです。
 同じ年の親友に立ちはだかる過酷な人生に僕は言葉を失いました。なんという不公平!なんという理不尽な現実!生まれた国が違うだけで、人生はこんなにも変わってしまうのです。

ネパールを愛する日本の高校生がFNSチャリティキャンペーンに特別寄稿!

写真左は親友のカルナです。

ネパールを愛する日本の高校生がFNSチャリティキャンペーンに特別寄稿!

いつもお世話になった村の方々

 

今、僕たちに出来ること

 「豊かな国に生きる私たちが、貧困に喘ぐ人々にしてあげられることは何か?」と問われ、お金や物の支援を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかし、そのような支援は、世界各国の国家予算、企業、NGOによって既に行われています。その金額は莫大ですが、それでもなくならないのが世界の貧困なのです。
 お金や物の支援の他にも我々にできることはいくらでもあります。何ができるのかは、人それぞれです。しかし、その第一歩として、まずは世界に目を向けることが大切ではないでしょうか。一歩離れた場所には未知なる世界があり、そこには我々には想像もできないような信じがたい現実が繰り広げられているかもしれないのです。
 僕は、ネパールの貧困の現実を目の当たりにした今、将来何らかの形で開発途上国の教育支援に関わっていくつもりです。タリバン銃撃を乗り越えて国連で演説したアフガニスタンのアララさんも言っていましたが、まさに”Education, first!”、教育こそが国の発展の鍵になると考えているからです。さっそく昨年の8月、バングラデシュで現地の友人と共に学校清掃プロジェクトを行いました。新聞にも大きく取り上げられ大反響でした。
 最初の一歩は勇気が必要ですが、何事も挑戦してみることがとても大切だと思っています。
 今からでも決して遅くはありません。年齢や性別や職業や住んでいる場所など関係なしに、皆さんがそれぞれの立場で出来る「支援」を、一緒に始めてくれたら嬉しいです。
 17歳の僕には、まだまだ分からないことがいっぱいあります。でも、物事を知ること以上に、まずは汗をかいて行動することがとても大切だと信じています。
 世界の貧しい子どもたちに笑顔を!どうか皆さんよろしくお願いします!!

ネパールを愛する日本の高校生がFNSチャリティキャンペーンに特別寄稿!

村の学校の生徒たちにペンを配っています。