フジテレビジュツの仕事

    逃走中

    2004年~

    • 美術プロデューサー
      吉良 久仁子
    • アートコーディネーター
      平山 雄大
    • 大道具
      多田 文彦
    • 大道具操作
      吉野 雅則/新屋 貴之
    • アクリル装飾
      鈴木 竜
    • 電飾・装置
      枝 茂孝
    • アートフレーム
      坂脇 伸吾
    • アートバルーン
      橋本 隆

    ビジュツのヒミツ①

    第1ミッション発動!「デザイン性」と「安全性」を両立せよ!

    未来の巨大企業「クロノス社」が開催する
    エンターテインメントゲームショー『逃走中』。
    すべての「エリア」は、ゲームマスターが司る厳格な世界観で
    統一されています。

    メタリックフレームを意識したSF的世界。
    ブラックとレッドが目を引くシャープな空間です。

    これは、メカっぽく仕上げた手形認証装置。

    こちらは、レーザー飛び交うデンジャラスな区域。

    初代ハンターBOXは、PC基盤をイメージしてデザインしました。

    日本支部が動いているのでしょうか。ほとんどのアテンションは、わかりやすく「日本語」表記であります。

    クロノス社が開発した追跡アンドロイド「ハンター」との
    息詰まる逃走劇。

    プレイヤーは彼らの隙を狙って、次々と「ゲート」を
    通過していきます。

    ボタンに連動して開閉するゲート。
    開閉タイミングがずれると、プレイヤーにとっては
    命取りになることも。ゲームの行方を左右する仕組みですから、美術スタッフも気を抜けません。

    よーく見ると、なぜか“メッシュ仕上げ”になっている部分も。
    その理由は企業秘密となっておりますので、ご勘弁ください。

    逃走劇の舞台は「エリア」と呼ばれる制限区域。
    広い敷地に30~40人のスタッフが配置され、
    ゲーム終了までどこかにじっと潜んでいるという噂です。

    最近はコロナ対策もあり、ディスタンスが求められておりまして
    いつもはすし詰めの「牢獄」もわりと広めに。

    仕切るのはおなじみのプラチェーン。
    メタル塗装をしています。

    広大なエリアを飾るので、大きなセットで空間を埋めるのは
    かなり大変。実はこのチェーンが各所で活躍しているんです。
    軽いし、大きな空間を埋め尽くすのに便利。さらに怪我もしにくいスグレモノです。

    セットの角もきっちり養生。緩衝性に富んだ素材・ポリエチレンフォームも、随所に使っています。

    世界観についてはクロノス社からの厳しいオーダーの
    圧力もある中、事故のないよう安全第一でデザインするのも
    美術スタッフの腕の見せ所なのであります。

    2022年12月

    ビジュツのヒミツ①

    第2ミッション発動!
    時間との勝負に勝利せよ!

    毎回異なる「エリア」で開催されるゲームショー。
    実は、美術スタッフにもあるミッションが課せられています。

    それは「スピーディーな建てバラシ」。

    営業時間を避けて収録することが多いので、最速建て込みが
    必須。設営後の安全チェックやシミュレーション時間を、
    きっちり確保するためにもスピーディーに作業を進めます。

    もちろんバラシも最速で。
    リアルガチのゲームなので、予定通り終わるかわからない。
    とはいえ、施設の営業開始までに完全撤収できなければ
    「クロノス社」の信用にかかわる大問題につながってしまいます。

    数々のプレッシャーの中での作業を余儀なくされた
    大道具スタッフ。そんな中、編み出されたのがコチラ。

    ヌキ丁番(蝶番)」と呼ばれる金具を駆使した建てバラシです。

    通常はインパクトドライバーを使ってのネジ釘固定が多い
    パネル接合。その代わりに「ヌキ丁番」を使えば、
    誰でも作業ができます。

    「収録終了!」の声とともに、
    それまでエリアの各所に潜んでいた操作スタッフも加わっての「大バラシ大会」が始まります。

    事故のないように慎重に。しかしできる限りスピーディーに。
    この日も熟練のチームワークで無事に現状復帰できました。
    「クロノス社」からのムチャぶりは今後も続くと思われますが…。

    2022年12月

    デザインのヒミツ

    逃走中

    ーセットデザインのポイントは?

    今長 和宏

    今長

    『逃走中』の装置やアイテムは西暦2900年の未来から転送されてきているモノということなので、未来で行われているエンターテインメントショーを想像しながらデザインしてきました。そんな未来世界の企業「クロノス社」の謎に満ちた部分を表現するため、バラエティーでは珍しいのですが、緊張感のある赤と黒とシルバーを多用しています。また、セット内には「クロノス社」のシンボルマークである目玉のロゴを随所に入れています。装置や印刷物など様々なところにレイアウトしていますので是非探してみてください。

    逃走中

    ー新しいミッションへの対応の苦労は?

    今まで様々なゲートや装置など、ミッションに絡む造作物をデザインしてきました。その中で大半の造作物は、屋外であったり搬入の制限がある施設内だったりするので、事前のロケハンが非常に重要になってきます。風で飛ばされないような対策や、防水仕様の対策、搬入可能なサイズに分割して現場で組み合わせていく対策などを美術チームで相談します。スタジオと違い、天候や地面の具合にも左右されることもありますが、そこが『逃走中』の醍醐味であり美術の腕の見せ所になってきます。

    逃走中

    ーずっと変わらない部分はありますか?

    やはり安全対策ですね。少しでも危険な要素があれば絶対に排除します。怪我をしない素材選びやフォルムにはかなり気を遣います。プレイヤーであるタレントさん達はゲーム中の極度のプレッシャーの中でミッションを行うことが多いので、怪我をさせないようにすることが一番の目標です。

    逃走中

    ー事前のシミュレーションについて

    本番前には必ず事前シミュレーションをします。このシミュレーションを受けて図面を大きく描き直すこともよくありますね。意外と簡単だったとか難しすぎたとか…やはり実際の場所で実際のゲームをしてみないと分からないことばかりなので、新しいミッションを考える時にはとても重要になってきます。本番を無事に迎えられるようにトライアンドエラーを繰り返して万全の体制で臨んでおります!

    逃走中

    ー美術サイドからの見どころを教えてください

    「逃走中」は毎回新しい場所で新しい美術品が出てきます。シミュレーションを乗り越えて改良を繰り返した結果、完成したものが放送されていますので、美術チームの試行錯誤を少しだけ想像して見ていただけると、今までより数倍番組を楽しんでもらえると思います(笑)。

    (2022年12月)

    逃走中