フジテレビジュツの言葉 -ビジュペディア-

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  • アール【あーる】
    テレビジュツの世界だけではなく、建築業界などでも、少しカーブがかかっている状態を『アールがついてるね』と言うことがあります。
    アールとはもともと円・球の半径(radius:ラジアス)のこと。円の面積=円周率×半径の二乗(πr²)という公式、そう、『πr²(パイ・アール二乗)』のrが半径のことだと憶えている人も多いはず。
    道路標識にR=150と書いてあったら、その地点のカーブは半径150mの円のカーブでの曲がり具合、ということを意味しています。業界や分野ごとにRの単位はm(メートル)だったりinch(インチ)だったりと様々。ちなみにテレビジュツの世界では、Rは『キツい』、『ユルい』で表現されます。
    アール【あーる】
    rの長さがaの場合『Rがキツい』
    rの長さがbの場合『Rがユルい』
  • 入れ込み【いれこみ】
    スタジオの平面図にセット図を文字通り「入れ込んだ」、「入れ込み図面」のことを言います。フジテレビジュツには、本社・湾岸の全スタジオの平面図があります。そこに印刷された方眼の一マスは一尺×一尺を表していて、実は各スタジオの床面に敷かれている一尺×一尺の実際のタイルの位置に対応しているのです。ですから、この図面を大道具スタッフが見れば、スタジオのどの位置にどんなサイズのセットを建てるのかが一目瞭然。美術セットの壁からの距離や、照明バトン、美術バトンとの位置関係、大道具搬出入口からの経路、撮り口(カメラで撮影するためにセットを構成するパネルの一面を空けた箇所)等の確認をするためにも、ビジュツにとっては非常に重要な図面なのです。
    入れ込み【いれこみ】
    ドラマなどでレギュラーセットが複数ある場合には、そのセット配置の図面も「入れ込み」として作成されます。また、一つのセットでの収録が終わって、その場所に新しいセットを建てたり、その後で以前のセットを組み立てなおしたりと、毎回「建てバラシ」が行われる場合は、「建てバラシ」が生じる度に「入れ込み」を作らなければなりません。ちなみに映画の美術現場では、撮影が終わるまでセットは建てたままで、「建てバラシ」がほとんどないので、セット平面図を「入れ込み」とは言わず、単に「青図」と呼んでいるそうです。
    入れ込み【いれこみ】
  • エンボス加工【えんぼすかこう】
    エンボス(emboss)とは「浮き出し」の意味。板金、紙、皮革などに文字や図形、模様を浮き彫りにすることを「エンボス加工」と言います。レターヘッドに押されたエンブレム刻印、自動車のナンバープレート、クレジットカードやキャッシュカードなど、様々な素材に対して使われている加工法です。厳密には、型を使って凸状に盛り上げる加工は「エンボス(浮き出し)」、凹状にへこませると「デボス(空押し)」と言いますが、テレビジュツの世界で気にしている人はあまりいないのが現実です。
  • 上手・下手【かみて・しもて】
    元々は舞台用語で、ステージの左右を示す言葉。ステージ(被写体)から見て左が上手、右が下手、観客席(カメラ)から見て右が上手、左が下手。「左」「右」だと視点によって逆になり混乱するため、絶対的位置を示す言葉としてテレビの世界でも使われています。
    一説には、右大臣より左大臣の方を上位とする考え方から、舞台から見て左側を上手と呼ぶようになったとも。【じょうず・へた】とは読みません。
  • 小口【こぐち】
    切り口、切断面のことを「小口」と呼びます。テレビジュツの世界では、セットパネルを組み合わせた時に見えてしまうパネルの切り口のことを指すことが多く、セット建て込み中のスタジオでは「ちょっと、そこの小口を化粧で隠しておいて」なんて会話がよく聞こえてきます。この「小口隠し」は木材や壁紙、布などで行われます。また、製本用語でも本の背の反対側の断ち口を「小口」と言います。たまに「コバ」と呼ばれることもありますが、その場合は一般的には革の切断面のことを指します。財布や靴、鞄などの革製品では、コバをどう処理しているが品質を確かめる大事なチェックポイントです。
  • 尺【しゃく】・
    尺貫法【しゃっかんほう】
    1959年に廃止され、メートル法に統一された日本古来の単位系ですが、「尺」は今も長さの単位として日本家屋建築などで用いられています。時代によって「尺」の長さは変化してきましたが、最終的には一尺=10/33m、約30.3033cm(≒30.3cm)となりました。テレビジュツの世界でも、「サブロク(3尺×6尺)のパネル」や「シャクゴ(1尺5寸)の箱馬」、「インゴ(1寸5分)の釘」など、日常的に「尺」「寸」での会話が聞こえてきます。一般的には、一分(ぶ)=約3mm、一寸=十分=約3.03cm、一尺=十寸=約30.3cm、一間=六尺=約1.818mです。また、面積の単位として、「坪(=一間×一間=約3.31㎡)」なども使います。
    尺【しゃく】・尺貫法【しゃっかんほう】
    尺【しゃく】・尺貫法【しゃっかんほう】
  • ティン・シーリング
    【てぃん・しーりんぐ】
    ティン・シーリング(tin cealing)は内装用化粧パネルの一つ。「ティン」とは鋼板に錫(すず)をメッキしたもので、おもちゃやバケツの材料でもお馴染みの「ブリキ」のこと。「シーリング」には「天井(ceal)を張る」という意味があります。ブリキに様々なパターンの模様・デザインをプレス加工で成型したもので、19世紀後半欧米で第二次産業革命による技術によって生まれました。
    もともと石膏などで装飾していた天井を、軽いブリキで簡単に飾ることができるということで、店舗などの商業施設や一般家庭の内装パネルとして広く人気がありましたが、1930年代にはプラスチックなどの新素材の登場で一時衰退。しかし最近では、アンティークやレトロデザインのブームもあって、再度注目を浴びている内装材です。
    テレビジュツの世界では、ティン・シーリング“風”のデザインパネルや壁紙が重厚な趣きの演出に一役買っています。
    ティン・シーリング【てぃん・しーりんぐ】
  • 導光板【どうこうばん】
    またの名を『LED導光パネル』。アクリルチップを溶かす際に、特殊素材を混ぜて作った板で、後ろに電飾を仕込むことなく、端から入れた光で、パネル全体を均一に光らせることができるというスグレモノ。光源はだいたいLED。
    ですから、『導光板』を光らせるのは『アクリルさん』と『電飾さん』の共同作業なのです。
    導光板【どうこうばん】
  • トラス【とらす】
    音楽番組やイベントなどでよく見かける、照明などを取り付けた金属の骨組みのことです。
    あの三角形を単位に組まれた構造自体を『トラス構造』と呼ぶんです。テレビでは『鉄骨さん』と呼ばれるスタッフが組み立てますが、トラスは実はほとんどが軽いアルミ製です。
    トラス【とらす】
  • なめる【なめる】
    もともとは技術(主にカメラ)用語で、別に我々がやたらと味見をするわけではありません。
    タレントさんなどの被写体の手前に別の人物や小道具などを入れて撮影することです。例えば『花なめ』とか『ビール瓶なめ』などと言ったりします。
    そうなんです、花もビール瓶も用意するのは美術なんですよ。
  • 乳半【にゅうはん】
    白色のアクリルで、半透明のものを「乳半」と呼びます。アクリルでは、裏側のものが透けて見えない白色を「乳白」、もしくは「骨白」(フジテレビジュツでは主に「乳白」)といい、透明→乳半→乳白(骨白)の順で色が濃くなっていきます。乳半には様々な透明度があり、たとえばアクリルを使った造形物の中に電飾を仕込む際、アクリル見本を見ながら、乳半の濃さ(=透過性)を指定することで、すりガラスなどのように、発する光のやわらかさをコントロールします。
    乳半【にゅうはん】
  • 根巻【ねまき】
    園芸用語の「根巻」は、移植する木の根を藁などで包んで保護することを言います。ドラマなどで庭のセットや窓外に樹木を配置する際、基本は本物の生きている樹木を使いますが、スタジオの床に植えるわけにはいきません。そこで使用する樹木に、この「根巻」をして根の保護・保水をしながら、うまく「根巻」が映り込まないように配置するのです。
    根巻【ねまき】
    のりダン【のりだん】
  • バーチャルCG【ばーちゃる・しーじー】
    あたかも実物のセット(またはセットの一部)に見えるように作られたCG(コンピューター・グラフィックス)のこと。
    スタジオカメラに、ズームやアングルなどのデータを感知するセンサーがついており、そのデータがCGを作っているコンピューターに送られることによって、実際のカメラで撮っている実写映像とCGのカメラワークをぴったり合わせることができます。
    スタジオ自体がクロマキーセット(ブルーやグリーンの単色のセット)で、そこにCGのセットを映し出しその中に出演者が合成される場合と、
    実物のセットや人物の上にCGを合成する場合があります。
    コンピューターの操作だけでセットを別のものに瞬時にチェンジしたり、実物では作れない世界観のセットを作り出せたりできることが最大のメリットです。
    バーチャルCG【ばーちゃる・しーじー】
  • パンチカーペット
    【ぱんちかーぺっと】
    パンチカーペットとは繊維をニードル(針)で刺して絡み合わせることで作る、不織布のカーペットのことで、本来はニードルパンチカーペットといいます。低価格で加工し易いので、イベント会場や舞台、オフィスの廊下、エレベーター内の養生など、様々な場所で使われています。ビジュツではさらに縮めて「パンチ」と呼ぶことも。
    そのまま床に敷くだけでなく、茶色の「パンチ」の上に土を撒き、落ち葉を散らして、庭などの地面を再現するなど、いろんなところで大活躍。映画のプレミアム上映会で敷かれている「レッドカーペット」も、実は「パンチ」だったりします。
  • 美トラ【びとら】
    美しい猛獣ではなく、ロケで使用する美術セットや小道具などを運搬するための「美術トラック」のことです。ロケ場所は山奥から市街地の路地裏まで様々。車がすれ違えない狭い道を行くこともあれば、長時間の駐車が難しい場所もあります。なので「美トラ」は、あらゆる状況を考慮して最適と思われる2トン車が主流です。番組のジャンル、ロケの内容に合わせて持っていくセットや小道具も毎回異なります。ドラマのロケの場合には、セットを効率的に収納できるように、取り外し式の棚板を荷室内に増やしたり、小物用の棚を常設カスタマイズしたりすることもあります。
    ロケ撮影が終わっても解散とはならず、テレビ局や倉庫へ無事にセットなどを戻し終えてやっと完了する・・・「美トラ」のドライバーは、仕事への責任感に満ちた美術スタッフの一員なのです。ちなみにフジテレビでは、技術用の機材運搬トラックは「技トラ」…とは言わず「技術車」と呼びます。
    美トラ【びとら】
  • フリップ【ふりっぷ】
    会議、講演会などで出席者へ説明するのに用いる表や図、グラフを『フリップチャート』と言います。そこから転じて、テレビ番組内で視聴者にトピックを詳しく説明するために用いる大型のカード状のものを、『フリップ』と呼ぶようになりました。
    コンピューターで作成したデータや図をシートに出力し、フリップボードに貼ったものが一般的。
    最近では、紙芝居的なプレゼンテーションに工夫を凝らした『フリップ芸人』なる人たちも、登場しています。
  • モールディング
    【もーるでぃんぐ】
    建築では、「廻り縁」や「巾木」など主に部材の接合部分に帯状に施される縁どり。刳形(くりかた)とも。西洋では古典建築でも多用されているもので、今では装飾的な効果を出すための技法の一つとして、インテリアデザインでも広く使われています。テレビジュツの世界では、軽くて扱いやすい合成樹脂や人工木材、ガラスファイバー強化石膏などの素材で作ったものをよく使います。
    モールディング【もーるでぃんぐ】
    モールディング【もーるでぃんぐ】
  • 八百屋【やおや】
    装飾スタッフが「これ八百屋にしておきますね」と、言うことがあります。八百屋さんの野菜の陳列台を思い浮かべてください。店先の方、つまりお客さんの方へ斜めに低くなっている、あの台です。
    そこから転じてテレビジュツの世界では、セット側からカメラ方向に対して斜めに低くしてモノを飾ることを『八百屋にする』と言います。遠近法を使って奥行きを演出する方法。ちなみにビジュツ用語に『魚屋』はありません。
    八百屋【やおや】
  • レンダリング【れんだりんぐ】
    CGの世界では、様々なデータを利用して最終的な画像を生成するために、コンピューター内でおこなわれる計算作業のことを指します。
    3DCGの一般的な制作過程では、モデリングされた物体に質感を付け、背景も含めて配置、動き(アニメーション)を定義し、陰影(ライティング)やカメラの情報など、シーンに必要な情報を設定し、「レンダリング」をすることでCG画像が生成されます。
    元々はデザインや建築関連の用語で、設計図面などから完成を予想して描くパース図や描画作業のことをいいます。
  • わらう【わらう】
    テレビ制作の現場では、「そこの小道具、ちょっとわらっておいて」という会話をよく耳にします。この場合の『わらう』は、『片付ける』という意味。語源については、「道具のある部分が緩んでガタガタとしている様子を指す言葉で、『膝がわらう』と同じ使い方から転じた」など諸説あるようです。
  • アクアティック・ビジョン
    【あくあてぃっく・びじょん】
    簡単に言えば『泡文字表示システム』。まず水の入ったアクリル管の底から、エアポンプで泡を発生させる仕組みを作ります。これをたくさんつなげてスクリーンのようにして、管ごとに泡の大きさや発生のタイミングをプログラムにインプット。スイッチをONにすると…
    あら、不思議、泡でできた文字や模様が出てくるではありませんか! LED電飾を仕込んで色を変化させることで、さらなる演出効果も期待できます。
    アクアティック・ビジョン【あくあてぃっく・びじょん】
    アクアティック・ビジョン【あくあてぃっく・びじょん】
  • アンバー【あんばー】
    樹液に含まれる成分が化石化する過程で生じた物質「琥珀(コハク)」のことを、英語でアンバー(amber)と言います。そこから琥珀のような透明感のある黄褐色、黄色っぽいオレンジ色などを「琥珀色(アンバー)」と表現します。テレビでは色を表す照明用語としてよく使われます。べっこう飴やウィスキーの色も・・・アンバー系と言えますね。
  • 色見本【いろみほん】
    テレビジュツの世界では、「何となく、そんなカンジのブルーで」とか「濃いめのグリーンで」という発注はNG。色見本を使った厳密な色指定が必要です。色見本には、印刷用・建築用など用途に合わせて様々なものがありますが、セット制作や装飾の場合、塗料用の色見本を使うことが多くなります。
    色見本【いろみほん】
    例えば、ドラマで「ドアを開けて建物に入る(ロケ撮影)」シーンから、「建物内でのやりとり(スタジオセット撮影)」のシーンへとつながるケースでは、ロケ撮影と同じ色のドアをスタジオ内に用意しなければ、シーンがうまくつながりません(「ロケマッチ」といいます)。なので現場では、色見本を使って実物のドアの色を調べて、セットのドアの色は色番号で発注します。色見本は、色のイメージを正確に伝えるための必須アイテムなのです。
    色見本【いろみほん】
  • MDF【えむ・でぃー・えふ】
    MDF(Medium density fiberboard=中質繊維板)は、家具などに使われる成型板の一種。木材チップを蒸気で過熱し、繊維を解きほぐしてから合成樹脂を混ぜて、板状に熱圧縮・成型したもので、紙よりも厚さを持たせることができて軽量。しかも木材特有の反りや乾燥による割れにも強いのが特長です。均質で表面が固く、小口も緻密で加工した時の仕上がりがきれいなので、システムキッチンや窓枠、スピーカー、キャビネットやカラーボックスなど、家具の材料として広く使われています。
    セットを作る美術スタッフは実は内装のプロでもあるので、あらゆるシチュエーションに対応した最適かつ使いやすい素材を選ぶことができるのです。
    MDF【えむ・でぃー・えふ】
  • クロマキー合成
    【くろまきーごうせい】
    ある画面(背景など)に他のカメラで撮った人物などをはめ込む技法のことです。
    映像の中の、特定の色の成分を持つ領域を抽出して、そこに別の映像を合成します。クロマ(chroma)とは色の鮮やかさの事。またこの特定の色の領域を抽出するための電気信号をキー(key)信号といい、クロマ+キー=クロマキーと呼ばれています。
    テレビの世界ではグリーンのパネル(グリーンバック)を背景に撮影することが多く、このグリーンの部分がキー信号になって、パネルの前に立つ出演者さんが別の背景と合成されます。
    なぜグリーンなのか…それは切り抜きたいのはほとんどが出演者で、人間の肌はオレンジ色に近く、その色から遠い補色の関係に当たるグリーンやブルーを使うことで出演者をきれいに切り取ることができるからです。
    出演者の衣裳にグリーンに近い色が入っているとその部分も透けて背景が映ってしまうことがあるので要注意です。
    クロマキー合成【くろまきーごうせい】
  • 建ち物・吊り物
    【たちもの・つりもの】
    建ち物とは美術セットにおいては文字の通りスタジオの床の上に建てるセットのことです。スタジオの床に直接、または平台の上にパネルや造形物を置き、人形を使い固定するようなセットです。一方、吊り物とは、セットにワイヤーを取り付けスタジオ上部に設置されている美術バトンやロープなどから吊り下げる美術セットのことを言います。バラエティ番組やニュース、情報番組などのセットには普通、天井がありません。しかし、セットを立体的に奥行きがあるように見せるために、上部に造形物を飾る場合は、建ち物に吊り物を組み合わせたりします。また高いパネルを用いる場合、床から垂直に立てて固定するより吊り下げる方が安全に設置できるケースもあります。吊り物のセットは、たとえ見た目が重厚なデザインのものでも、裏を見ると肉抜きの構造となっていて軽量に作られているものがほとんどです。
  • テープLED【てーぷえるいーでぃー】
    LEDの粒が、等感覚で並んでいる電飾装置。任意の長さで切ることができ、曲げることもできるので、バラエティセットをきらびやかに飾るのに重宝されています。電飾さんは、単色LEDではなくRGBテープLEDを使い、コントローラーを接続することで、光の色調整や点滅、光が流れる効果など、表現力もアップさせています。
    テープLED【てーぷえるいーでぃー】
  • テロップ【てろっぷ】
    テレビカメラを通さずに文字(字幕)や画像などをテレビ画面に映し出すための装置の名前。「テレビ投射映写機(television opaque projector … telop)」というアメリカCBSテレビとGRAY社の共同開発による機械のことですが、いつの間にか字幕そのものが「テロップ」と呼ばれるようになりました。
    同様に使われる言葉「スーパー」も、語源は「スーパーインポーズ(superimpose)=重ねる」で、本来は二つの画像を重ねて一つの画像を作ることを指しますが、現在では一般的に画像に字幕を合成する「字幕スーパー」がほぼ「スーパー」の意味で使われています。
  • 床山【とこやま】
    元々は歌舞伎役者のかつらや、力士の髷(まげ)を結う専門の仕事に就く人のこと。テレビジュツの世界でも、かつら製作、出演者への付け外し、手入れ、保管はもちろん、付けヒゲや付け胸毛(!?)など人の体毛全般を担当しています。
    かつらの土台となる金(かね)は、アルミニウムをハンマーで叩き球面状に加工して作ります。通常はパーツに分けておいて上手くフィットするよう微調整、最終的に合体してその上に布を貼り、毛髪を植え込み、役に合わせたヘアセットを施して完成です。
    収録後は、実際の髪と同じようにシャンプー&コンディショナー。ちゃんと乾かしてから保管します。
    「髪結い床」でたくさんの髪を、それこそ山のように整髪していたことから、「床山」と呼ばれるようになったとか。
    床山【とこやま】
  • ナコ【なこ】
    「コナ(粉)」のさかさ言葉で、元々は塗装業界用語。かつて、水性塗料は溶剤で溶かした液体のものではなく、使用の度に、専用の粉末塗料を水で練って作っていたことから、水性塗料を「コナ⇒ナコ」と逆さ言葉で呼ぶようになったとのこと。
    ナコ【なこ】
    現在フジテレビジュツでは、大道具スタッフが使う主に外壁用塗料(補修材)のことを指し、セット(木材)に塗ることでモルタル風壁面を再現したり、刷毛の使い方で独特の質感を表現したりと、匠の技が発揮される大道具には欠かせない「素材」なのです。
    ナコ【なこ】
  • のりダン【のりだん】
    「海苔用の段ボール箱」のこと。フジテレビジュツでは略してこう呼びます。
    フジテレビの装飾倉庫に行くと、なぜかやたらと目にします。それも日本各地の海苔…。海苔は折れやすく湿気にも弱いので、輸送用、保管用の段ボール箱も特殊なつくり。
    のりダン【のりだん】
    段ボール自体も二重構造で、一般のものに比べて厚く、頑丈。
    装飾さんが角を補強して、カスタマイズすることもあります。
    サイズも縦60cm×横42cm×高さ50cmと大きめに作られていて、小道具などを分けて倉庫で保管するには最適。
    台車での運搬にもジャストフィットサイズなんです。
    のりダン【のりだん】
    のりダン【のりだん】
  • バミる【ばみる】
    出演者の立ち位置や小道具の置き位置などを示す目印を床面などにビニールテープなどでマークすること。『場を見る』で『バミる』、名詞形は『バミり』、そして『バミり』用のテープは『バミテ』となります。バミテは床材の色に同化するように、目立たない色のものを使うことが多いとのこと。
    バミる【ばみる】
  • 引き枠【ひきわく】
    もともとは舞台転換を素早く行うために、セットの下にキャスターを付けたものです。
    レギュラー番組セットを分割して『建てバラシ(建込&解体)』をしやすくするためだったり、ドラマなどでカメラ位置を変える際に部屋セットの壁を撤去・移動しやすくするためだったりと、多く使われています。
  • 平台【ひらだい】
    ドラマセットやバラエティの雛壇などで床を作るための使われる木製の台。
    サイズはいろいろですが、テレビでは3(90.9cm)×6(181.8cm)、フジテレビでは厚さ5寸(15.15cm)のものが一般的(舞台美術や他局では4寸のものも)です。このサイズ、『サブロク』と呼びます。
    平台【ひらだい】
    この下に15寸(45.45cm)の箱馬を置くことで2(60.6cm)の床上げをするのがドラマなどでは一般的です。
    また上面が三角形の平台を『揚げ(あげ)』と呼びます。三角形…油揚げを思い浮かべてください。
    平台【ひらだい】
  • 曲げベニヤ【まげべにや】
    ベニヤ板とは、皆さんも知っている軽い単板の木の板のこと。ラワン材やシナ材のものが広く普及しています。丸太をまるで大根のかつら剥きのように薄く剥いて作ります。軽い、加工し易い、そして安価ということで美術セットの材料としても多用されています。このベニヤの強度を高めるために、奇数層(3枚、5枚)、木目繊維の方向を90度互い違いに重ねて熱圧着して作った木材が合板(ごうはん)と呼ばれるものです。ただ、合板は強度を持たせるための構造上、なかなか思うように曲がってはくれません。セットのデザイン上カーブが必要な箇所を作るときに役立つのが「曲げベニヤ」です。
    曲げベニヤ【まげべにや】
    円柱やそれに似た物を当ててゆっくり曲げていけば自在にカーブ形状を作ることができます。円筒状に曲げることができる製品もあり「自在ベニヤ」とも呼ばれています。通常は3×6の製品規格なので、曲がる向きによって「3曲がり」、「6曲がり」といった種類があります。
    曲げベニヤ【まげべにや】
  • ルータマシーン
    【るーたましーん】
    ルータとは主に木工作業やプラスチック加工に使用する切削用の電動工具のこと。成型加工から穴開け、切り抜きから彫刻まで、様々な用途で使われます。ハンディサイズのものから固定台に装着された大型のものまで種類も様々。内蔵モーターで先端に取り付けたビット(作業工具)を回転させて切削します。面取り、溝切り…と用途に応じて多種多様なビットが交換可能で、ボディが上下する機能によって、掘り込みの深さも設定できます。
    ルータマシーン【るーたましーん】
    プログラムによって全自動で複数の同じ加工にも対応できるNC(Numerical Control=数値制御)ルータマシーンも活躍しています。家具工場でしかお目にかかれないような特殊機械や工具を使った加工でリアリティを追求するのも、ビジュツの世界ならではのこだわりです。
    ルータマシーン【るーたましーん】
  • アクリル【あくりる】
    テレビジュツの世界では、透明性の高い合成樹脂のことを指します。板状に固めたものは、『有機ガラス』と呼ばれることも。透明性の高さだけでなく、熱加工のしやすさ、着色のしやすさなどから様々なものに使われています。
    おまけに軽くて強い、しかも撥水性があるので、水族館の水槽をはじめ、航空機の風防ガラスなども、ほとんどがアクリル製。万が一割れても、ガラスのように飛び散りしません。
    『アクリル装飾』のスタッフは、切り出し、穴あけ、曲げ、接着、彫刻、着色、印刷加工など、すべてのアクリル加工を担当しますが、実はスタジオの床に敷く『塩化ビニール板』や『リノリウム』も扱っているのです。
    アクリル【あくりる】
  • アブスト【あぶすと】
    語源は『アブストラクト』(意味:抽象的な)。元々は、店舗のディスプレイなどで見かける金属の枠を使った陳列棚のこと。
    アブスト【あぶすと】
    鉄にメッキを施した枠をいろいろと組み替えることで、フリップ、パネルや小道具を置く台にしたり、天板を組み合わせて出演者が一列に並んで使えるテーブルにしたりと、様々なものに利用しています。フジテレビジュツでは、アクリル装飾が担当。
    アブスト【あぶすと】
  • エイジング【えいじんぐ】
    日本語に訳すと「経年変化」。ここから発展して、ビジュツでは「経年変化して見えるように加工する」という意味になります。
    新しく作られた美術セットは当然新品ですが、番組内の設定に応じて、経年変化したように見せなくてはリアリティが生まれません。長年風雪に耐えた建物には、雨だれや煤汚れがあるはず。築年数がン十年の住居セットなら、柱や扉にもそこそこな貫禄が出ているはず。ペンキは剥がれ、鉄骨も錆びるもの。
    そこで発揮されるのが匠の技。塗装による「汚し」や、あえての「剥がし」、「削り」も。「エイジング」→「経年変化して見えるように加工する」→「味を出す」とも言えますね。
  • FRP【えふ・あーる・ぴー】
    Fiber Reinforced Plastics…繊維強化プラスチックのこと。ガラス繊維や炭素繊維などをプラスチックに混ぜることで、強度を向上させた素材。軽くて強度や成形性に優れ加工もしやすいことから、小型船や自動車のボディ、浴槽や公園の遊具にと、あらゆるところで用いられています。テレビジュツでも、番組のセットはもちろん、耐水性もあるので屋外イベントで使用する造形物などのコーティング素材として、多用されています。
    FRP【えふ・あーる・ぴー】
  • 消え物【きえもの】
    番組の中で使われる小道具のうち、料理や飲み物、たばこ、ろうそくなど、使うことで再利用できなくなってしまうもの、すなわち「使ったら消えてしまうもの」を「消え物」と言います。演出上割ってしまうコップや、破ってしまう紙、汚してしまう衣裳も、広い意味では「消え物」です。
    スタジオの近くには、各種厨房機器が揃えられた「消え物室」と呼ばれる部屋があり、番組に出てくる料理は、多くの場合そこで作ります。
    ドラマなどで料理が小道具として使われるときは、リハーサル用、本番用…と何度も、何食分も用意しなくてはなりませんし、見た目はもちろん味もきっちりしていないと、演技のリアリティに影響してしまいます。テレビジュツの世界でも、最近は専門のフードコーディネターが活躍する場面も増えています。
  • 鎮【しず】
    ずばり、おもり、ウェイトです。これは主にパネルを 建てるために裏から支える人形(にんぎょう)という道具を床に固定するために使われます。
    持ってみると見た目よりも重いっ!何とひとつ15Kg。フジテレビではセットを建てるために利用していた廃クギをリサイクルして作った『エコシズ』なる地球に優しいシズも使っています。
    鎮【しず】
  • 重合接着
    【じゅうごうせっちゃく】
    アクリルさん』が、アクリル同士を接着する時に使う接着方法のひとつ。
    有機溶剤を使って、溶け合ったアクリル板を接着させる『溶剤接着』に対して、アクリルアクリルのすき間にモノマー(アクリルの原液)を流し込み、硬化させて接着する方法です。
    『重合接着』は硬化まで時間がかかりますが、『溶剤接着』より強度が上がるので、水槽など圧力に耐えうるものを作る場合などには適しています。
  • たっぱ【たっぱ】
    漢字で書くと「建端」もしくは「立端」。もともと建築用語で建物などの高さを意味します。そこから演劇用語として、大道具などの天井までの高さを指すようになりました。ビジュツの現場では「たっぱ9尺のパネル」なんて表現が飛び交います。人の身長を表す意味もあり、テレビ界で「アイツ、たっぱがあるから堂々と見えるねぇ」「そうね」なんてのは普通の会話です。
  • 建て込み・バラシ
    【たてこみ・ばらし】
    収録前に美術セットなどを建てることを、ビジュツでは「建て込み」と言い、収録後に解体し片付けることを、「バラシ」と言います。
    フジテレビジュツの現場では、大道具の組み上げを中心に、鉄骨フレームの設置や、セットの吊り込み、床の敷き込みや、装飾の飾り込みなど、すべての作業を含んで「建て込み」と呼んでいます。収録スケジュールから逆算して、リハーサルや、カメラテスト、照明の位置決めの時間が設定されますが、ビジュツの建て込みが完了していないと、それらの作業が進められません。そのため、どうやれば素早く、安全に作業が進められるか、美術スタッフ全員が理解・共有する綿密な計画が必要なのです。
    それに対して「バラシ」とは「解体してバラバラにすること」で、テレビジュツでは美術セットを解体したり、装飾を片付けたりすることを指します。もちろん「バラシ」にも順序があり、効率と安全に配慮した計画に沿って行われます。「もうバレていいよ」などと、「解散」の意味で使われることもあります。
  • 透過性LEDビジョン
    【とうかせい・える・いー・でぃー・びじょん】
    ブラインドカーテンのような格子状の構造になっているLEDビジョン(スクリーン)のことで、格子を通してその奥が透けて見える(シースルー!)ようになっています。
    透過性LEDビジョン【とうかせい・える・いー・でぃー・びじょん】
    最近では街中でもちらほら使われていますね。窓に映像が流れているのに店内の様子も透けて見える!!…窓に設置することもでき、LED自体が非常に明るいので、屋外で日中でも外光を遮ることなく広告や店舗ディスプレイとして使用できます。
    透過性LEDビジョン【とうかせい・える・いー・でぃー・びじょん】
  • なぐり【なぐり】
    舞台やテレビの美術では金槌のことを『なぐり』と呼びます。なんだかカッコイイでしょ?
    なぐりは①四角い打面と反対側がクギ抜きとなっている、②普通の金槌よりも柄が長い、のが特徴。
    大道具さんたちは自分たちでさらに柄を長いものにした握りの部分を削って手に馴染むようにしたりと、皆さん個別に改造しています。
    カッコ良くみせるだけではなく柄を長くすることで高いところのクギを打つことができたり、より大きな力、少ない回数で釘を打てたりと実用的なカスタマイズです。しかしその分、使いこなすまで慣れが必要です。くれぐれも指打ち注意!
    なぐり【なぐり】
  • 南京結び【なんきんむすび】
    主にトラックなどの積み荷をしっかり固定するために用いる、最もポピュラーなロープの結び方。他に「万力結び」、「かんぬき結び」、「トラッカーズ・ヒッチ(結び目)」とも。ロープをきつく張れて、荷台の振動にも結び目が緩みにくいという特徴があるので、トラックでの荷物固定だけではなく、美術バトンから「吊り物」のセットやパネルを吊るときなど、ビジュツの現場でも様々なシーンで使われています。
    なぜ「南京」なのか。
    かつての日本では「南京」は先進的な都市とされ、その名を「南京錠」や「南京玉すだれ」など「不思議な」や「珍しい」という形容で使うことが多かった、という説もあります。
    南京結び【なんきんむすび】
  • 人形【にんぎょう】
    セットの壁となるパネルなどを裏から支え、固定するための直角三角形の道具。
    人形【にんぎょう】
    大道具さんがパネルの裏から人形を素早く釘で打ち付け、鎮(シズ:おもりです)をひょいっと置いて床に固定すると…
    はい、壁が立ちました!
    人形【にんぎょう】
  • 箱馬【はこうま】
    ズバリ、木の箱。サイズはいろいろですが、フジテレビで一番メジャーなのは1(30.3cm)×5寸(15.15cm)×15寸(45.45cm)のもの。
    箱馬【はこうま】
    長い辺をタテにして、その上に平台を置くと、あら不思議…高さ2(60.6cm)の床が完成。これ、すなわち日本家屋セットの床の高さ。
    何かと便利なので即席の階段やら踏み台替わりにも使われます。
    ちなみに海外では『アップルボックス』と呼ばれています。
    箱馬【はこうま】
  • 美術バトン【びじゅつばとん】
    スタジオの天井には、照明機器を吊り下げるための照明バトン(棒)が多数設置されています。その照明バトンの間を縫う様にして下げられているのが美術バトン。スタジオ内で幕、セットパネルや造形物を、床に建てるのではなく、上からワイヤーなどで吊る場合に使用するバトンです。ただ、最近ではセットのスタイルも多様化し、吊りたい場所とバトンの位置が合わないことも。
    美術バトン【びじゅつばとん】
    そこでフジテレビでは、本社スタジオの一部と湾岸スタジオに「点吊り」と呼ばれる機構が採用されています。独立したモーターからワイヤーが下がった「点」が一つのスタジオに24~39か所あり、先にフックが取り付けられています。任意の二つ(以上)の「点」を選んでトラスを吊り下げ、バトン代わりに使用することも。操作盤に任意の「点吊り」をプログラムすることで自由な上下の運転も可能。もちろんバトンにも点吊りにも耐荷重の制限があり、安全第一の美術現場では、耐荷重計算は最重要作業。吊るセットを軽量化するなど、設計段階での工夫が必要なのです。
    美術バトン【びじゅつばとん】
  • 間口【まぐち】
    建築用語で土地や家屋の正面の幅を言います。一軒家では道路に接している側の長さ、マンションの場合はバルコニーなどの大きな開口部がある側の長さを指します。対語は「奥行き」。テレビジュツの世界では、美術セット以外でも、スタジオ搬出入口やエレベーターの扉の幅などを指して頻繁に使う言葉です。「間口」が大きくないと、大きなセットをスタジオ内に運び入れることができないからです。ちなみに「間口」の「間」は尺貫法の単位、1間(=6尺:約1.8m)からきています。
  • モックアップ【もっくあっぷ】
    元々は工業製品をデザインし、製品化していく過程で試作される、実物と同じ大きさで作られた模型、すなわち原寸大模型のことを言います。あくまで外観デザインの試作・検討段階の模型です(実際に操作できて、動作を確認できるものはプロトタイプと呼ばれます)。
    テレビジュツの世界では、製品の機能は必要無いけど、見た目そのままのモックアップはとても便利な為、飛行機の機内設備、オフィスの電子機器類や携帯電話、医療機器など、様々なシーンで活躍しています。基本的には商品の製造メーカーから借用します。
  • モデリング【もでりんぐ】
    CG(コンピューター・グラフィックス)関連の用語で、3次元CG(3DCG)を制作する際に必要な立体物の生成造形作業のことを言います。すなわちその物体をコンピューターの中で動かしたときに、どこから見ても破綻のない、3次元の立体物に見えるようにしていく作業です。CGですから現実には存在しないもの、物理的に作成するのが難しいものなど、想像の中で生まれた物体を作り上げることができるので、表現の可能性は無限大です。しかし、そのためには立体的な形状や空間把握、内部構造や質感を理解し表現するスキルが要求されます。
    CGクリエイターには、普段から人物や動植物といった自然や、車、航空機、街などの造形物など、ありとあらゆるものに対する観察力、それを形に表してゆく造形力、そしてそれらの知識を基にして新しいものを造る創造力が求められるのです。
    モデリング【もでりんぐ】
  • ロケマッチ【ろけまっち】
    「ロケ」と「マッチ」で「ロケマッチ」。ロケ先での実物の建物などにマッチングさせて美術セットを作ったり、装飾を施したりすることです。たとえばドラマで、「出演者が建物の外からドアを開けて中に入る」というシーンがあるとします。ドアを開けるまでは屋外でのロケ撮影、建物内部のシーンはスタジオでの収録、というケースがよくあります。その時は、ドアの表裏の質感や窓から見える室内の様子など、細かいところまで整合性を持ってスタジオセットを作らないと、映像のつながりが「ちぐはぐ」になってしまいます。ですから美術スタッフにとって、ロケを行う場所での視察は必須。写真を撮ったり、色見本を使って色調を記録したり、確認に確認を重ねた上で、あたかも同じ建物の内部と思わせるセットを作り上げるのです。