フジテレビジュツの仕事

    バイキングMORE

    2020年9月〜 
    毎週月〜金曜日 11:55~14:45

    • 美術プロデューサー
      古川 重人
    • アートコーディネーター
      三上 貴子/石田 博己/太田 菜摘/堀内 信武/徳永 法子/
      鈴木 あみ/平山 雄大/小野 秀樹/谷元 沙紀/大村 光之
    • 大道具操作
      石井 一之介
    • 大道具
      大川原 祐也
    • アクリル装飾
      谷口 航平
    • 電飾
      森 智
    • 装飾
      門間 誠
    • マルチ
      斎藤 淳之介
    • メイク
      山田かつら

    「バイキングMORE」
    加藤正臣 チーフプロデューサー
    × 安部彩 美術デザイナー 対談

    ビジュツのヒミツ①

    ホンネトークに
    動物たちも興味津々!?

    「ホンネトーク&ニュースLIVEショー」として
    生まれ変わった番組。
    ライブ感を強化して、扱うテーマもグッと幅広くなりました。

    おなじみの激論バトルが繰り広げられるスタジオセットは、
    どこか開けたアウトドアな空間。

    足元にも草っぱらが広がっています。

    会議室での討論にあらず、みんなが参加できるホンネの場。
    「ホンネの広場」をコンセプトにデザインしました。

    時にはシビアな“人間たち”の言葉の応酬を眺めているのは
    周りに集まった“動物たち”です。

    動物好きMCのキャラを知ってか知らずか、世界中の動物たちがギャラリーに大集合。カメレオンまで呑気に観戦しています。

    やっぱり話の内容が気になるようで…。

    時に頭に血が上ってしまう人間たちを、冷静に
    観察しているのです。

    出演者の背景に見切れる“彼ら”の表情とのコンビネーション。
    美術スタッフのちょっとした画面演出であります。

    2021年6月

    ビジュツのヒミツ②

    センスが問われる“タイルアート”

    緊迫するスタジオをほんわり包む美術セット。

    タイルアートのカラーコンビネーションが目を引きます。

    これは大道具スタッフによる、あるセット部分のカケラ配置
    イメージ。お皿は割ってタイルのパーツに加える構想です。

    「あーでもない、こーでもない」と
    セットデザイナーとはLINEでやりとり。
    お互いがしっくりくるまで、画像が何回も往復したそうです。

    セットのタイルは、両面テープにタイルを並べ
    バランスを確かめた上でタイル周りの目地をアクリルタイル
    ジョリで埋めました。

    どの色のカケラをどこにはめるか。
    デザイナーと大道具スタッフのセンスが問われます。

    床のタイルは塩ビシートへの出力で。
    壁のタイルとつながるイメージになるように、
    発色には気を付けました。

    タイルアートは、情報番組の最強ツール・プレゼンモニターをも浸食。

    タイルアートの空間演出に一役買っている動物たちもいます。

    今回は装飾部門だけでなくスタッフみんなで探して
    持ち寄りました。

    小さな動物たちの観客席は、ちょっとかわいいミニサイズ。
    発泡スチロールの造形物なので、デザインも自由自在です。

    フラミンゴたち専用の塔は、ピンクの世界。

    ありゃ?
    塗装が生乾きの階段を1羽が上っていったのでしょうか?

    この可愛い足跡は、経師スタッフが
    「鳥の気持ちになって」描いてみたとかみないとか。

    2021年6月

    デザインのヒミツ

    リニューアル案①

    ー今回のセットリニューアルで雰囲気がガラリと変わりましたね。

    安部 彩

    安部

    これまでのセットは、『バイキング』という番組タイトルから、海賊船をイメージした、大きい船の中に木目の甲板などがある形でした。
    今回新しくするにあたってプロデューサーが、スペインにあるガウディ建築のグエル公園の写真を持って来たんです。レンガ調の。そこからレンガ、タイル貼りをベースにした3パターンのセット案を出しました。「街の広場」「船室の中」「にぎやかなカフェ」の3つです。
    その中から「広場」がいいということになって、「船が航海の途中で立ち寄った港町・バイキングタウンの広場」というコンセプトで進めることにしました。

    リニューアル案①

    リニューアル案②

    リニューアル案③

    バック詳細

    ー「港町の広場」をどう具現化していったのですか?

    まず全体的に、曲線を多く取り入れてほしいとのことで、カッチリではなく、うねうねとした柔らかい空間づくりですね。色味は海を感じられるようなターコイズブルーをたくさん取り入れています。地中海沿岸の雰囲気を出したくて。あとは広場らしく、正面に芝生を置きました。できれば本物の芝を敷きたかったのですが、プレゼンボードの出し・はけが多いので、プリント出力したシートをラミネート加工してプレートに貼ったものを置いています。視聴者やゲストに楽しさを感じてもらえるよう、「明るい広場での井戸端会議」の雰囲気を作り出したつもりです。

    バック詳細

    ー苦労した点は?

    タイルです。華やかな空気感が出るよう、できる限りたくさん貼りたかったのですが、既製品のクラッシュタイルは一つ一つのパーツが大きいんですよね。私のセットイメージでは細かい、いろいろな種類のタイルを混ぜたかったんです。細かい方が上品な印象があって、作業的にも大きすぎると貼りにくい場合があります。それで、買ったタイルを金槌で割り砕いてから貼っていきました。タイルだけでなく、お皿などの生活用品や木の実、貝殻、釣り用のルアーも入れて、混ぜたものをランダムに、スタジオ中のカウンター、壁、柱に貼り詰めました。割れたお皿の状態が見えているところもあります。この作業をかなりの人数でしていったのですが、大量のタイルを貼って、目地材(隙間に詰める材料)を入れて、それを乾かす、という工程に結構な時間がかかるので、放送開始ギリギリまで大道具チームが頑張ってくれました。
    タイルをこれほど多く使う番組はめったにないんじゃないでしょうか。タイルは重いので、動かすセットには不向きですね。レギュラー番組の常設セットだからできたことだと思います。同じスタジオを『めざまし8』でも使っていて、毎回、放送終了後に下手の一部のセットだけはバラすので引き枠にしていますが、その部分はタイルを少なめにしています。

    ータイル以外にこのセットならではの特徴的なところはありますか?

    バイキングタウンの広場に集まってきたいろいろな動物たちです。以前のセットにも犬とブタはいたのですが、新たにキリン、サル、ゾウ、リス、フラミンゴ、ヒヨコ、フクロウ、カメレオンなども置いて、にぎやかな楽しい空間にしています。素材はプラスチック、金属、木彫り、ゴム製とさまざまです。どこを画面で切り取っても必ず動物が映り込むように置いているので、見つけて楽しんでもらえると嬉しいですね。

    (2021年6月)