フジテレビジュツの仕事

    FNN Live News days

    2019年4月〜 
    毎週月〜金 11:30~11:55/土・日 11:50~12:00

    FNN Live News it!

    2019年4月〜 毎週月~金 16:50~19:00 (16:50~17:53は関東ローカル)/土・日 17:30~18:00

    FNN Live News α

    2019年4月〜 
    毎週月~木 23:40~24:25/金 24:10~24:55

    • 美術プロデューサー:豊田 亮介
    • アートコーディネーター:大村 光之
    • 大道具:中島 雅之
    • 大道具操作:村上 公志
    • アクリル装飾:國母淳一
    • 電飾:後藤 佑介
    • 装飾:西村 怜子
    • マルチ:斎藤 淳之介

    ビジュツのヒミツ①

    ニュース統一セットはベージュの
    世界

    ニュース番組は、報道内容が伝わることが最重要ミッション。
    よってセットデザインに求められることは、
    キャスターの存在や映像情報をどう引き立たせるかということ。

    3番組のロゴデザインがこちら。

    グラフィックのキーカラーともケンカせず、
    落ち着いて内容を理解してもらうため、
    セットの色は「ベージュトーン」で統一しました。

    そんな柔らかな空間にアクセントをつけるのが
    電飾と照明スタッフによる「光の演出」です。

    バラエティー番組では、
    意図的に色とりどりの光源が目に入るように
    デザインするなど、電飾の存在感が際立つ演出もありますが、
    ニュース番組では、間接照明の技が光ります。

    ニュース共通のスタジオセット。
    カメラ位置を変えて、各番組の個性を表現します。

    夕方の「Live News it!」は、大型ビジョンを中心にやや上手寄り。
    カウンターテーブルも、
    メインニュースらしく安定感のあるものを。
    キャスター用モニターが埋め込まれた機能的なデザインです。

    昼の「Live News days」は、
    一番世の中が動く時間帯にふさわしく、上手のコーナーで
    コンパクトに。電飾も白色光を基本に紫をプラス。
    落ち着いた中にもシャープな印象をしのばせました。

    夜の「Live News α」はハイチェア。
    下手寄りの背景を使って、明かりは少し抑えめの暖色系に。
    温かみの中にもスタイリッシュな印象を演出しました。
    大道具を立て込んだだけではわからない、
    光の技も要チェックです。

    ビジュツのヒミツ②

    「スクエアリング」の森を包む
    布装飾のワザ

    セットの骨格は、
    角がアールの「スクエアリング」の組み合わせで構築。
    すべて木製で、電飾が仕込めるように
    一面だけ乳半アクリルのものもあります。

    支持する角材に「曲げベニヤ」を打ち付けて一つ一つ作ります。
    内径と外径が違うのはもちろん、
    リングの大きさによって、アールの角度を微妙に変えています。

    全部で200個以上のスクエアリングを製作。
    建ち物」は縦に積んで配列し、
    吊り物」は手前が高くなるように斜めに吊りました。

    中にはこんなものも。宙に浮かんだ状態でらせん状に続く、
    スクエアリングのオブジェ。どうやってこの状態のまま維持
    できるか。知恵の出しどころです。

    大道具スタッフが編み出した方法、それは・・・。
    透明のアクリル棒を熱してねじる技。
    どんな角度でも対応できる支持材のできあがりです。

    完成形はご覧の通り。
    スクエアリングが宙に浮いているように見えませんか?

    約150本のワイヤで吊った“スクエアリングの森”。
    そこに広がるのは、
    20種類のベージュの布が作り出す独創的な世界です。

    これは、「建ち物」と呼ばれる背景壁の発注図面。
    どの区画にどの種類の布を貼るか、または貼らないかが
    事細かに指定されています。
    あえて刺繍の裏地を見せて立体感を出すというこだわりも。

    ソファに使われる厚い布から、透過性のあるカーテン、
    カーペット生地まで。

    集められたありとあらゆる素材のサンプルは、
    布装飾スタッフの執念の証です。

    ビジュツのヒミツ③

    法廷画家も控える報道CG最前線

    画像と音声で情報を伝えるテレビメディアのニュース。
    映像を補足する文字情報は、テレビニュースには欠かせない存在です。ニュース番組のテロップを制作しているのがこちら。

    かつては“手描き”、そして“ワープロタイピング”の時代を経て、
    今ではWEBを通じて発注された“文字のデジタルデータ”を
    レイアウトするという業務内容へと進化しています。

    校閲チェックで“直し”の入ったデータを修正したり、
    フォントや文字の色を選択したり、エッジをつけて見やすく強調したり、テロップベースに文字を美しく配置したり・・・。
    文字の世界でもテレビジュツのセンスが重要なのです。

    他にCG制作やフリップ出力も行うなど、機能が凝縮された空間。
    速報に対応できるようスタッフは24時間態勢で詰めています。

    リアルタイムで情報をビジュアル化する局面も増えています。
    OAグラフィックシステムを駆使して、
    CGによる速報にも対応します。

    「即位パレード」の際には、車列の位置のグラフィックをリアルタイムで作成して即座に伝えました。

    そんな中で、一際存在感を放つこの人物。
    実は彼こそ、フジテレビが誇る法廷画家。この道27年の
    ベテランです。

    重要裁判のニュースには必ず登場する彼の法廷画は、
    冒頭以外は撮影禁止の法廷で、被告の表情を伝える唯一無二の「作品」。
    写真とは違ったニュアンスで、テレビニュースを支えています。

    法廷画家の七つ道具はいたってコンパクト。
    素早く現場で彩色できるよう、水彩絵の具は使いません。

    自ら削らないとしっくりこないという愛用の鉛筆は、6Bの硬さ。
    芯はこれくらいがベストなんだとか。

    緊急ニュースが発生すれば、まさに“戦場”と化す職場。
    時間との闘いはもちろん、正確でなければ放送できません。
    AIが進んだ今も最後のチェックは人間がやります。

    報道に関わるフジテレビジュツのスタッフは、
    記者に負けじとジャーナリスト精神を磨いているのです。

    デザインのヒミツ

    ーニュースのセットは3番組が1つのスタジオに入っているんですよね?

    アベ木 陽次

    アベ木 陽次

    はい。最新ニュースはまず報道センターに入って来ますから、記者が書いたニュース原稿をキャスターに即座に渡して読めるように、いずれのニュース番組も報道センターに隣接するスタジオで展開しています。
    その条件下で3つのセットをデザインするにあたってまず考えたことは、「スペースをいかに有効活用するか」。
    スタジオを最大限に広く使えるよう、ニュース番組にとって重要なアイテムである大きなLEDビジョンをレールで動かせるようにしました。幅5mのビジョンを約10m動かせるようにして、3番組で共有しつつもそれぞれが独自の使い方で活用できるようにしています。
    それと、それぞれの番組のベースとなるセットはもちろんあるのですが、どの番組でセット全体のどこが画面に映り込んでも違和感がないトータルデザインにしています。『Live News』(ライブ・ニュース)という統一ブランドがあるからこそできることですね。(ちなみに『日曜報道 THE PRIME』もこのセットを背景に使っています)

    Live News days

    ー機能性以外の部分で、デザインの統一コンセプトはありますか?

    3番組を立ち上げるにあたって、プロデューサーの要望は、「わかりやすさ、親しみやすさを追求した“柔らかい”ニュース番組にしたい」というものでした。
    その前は「未来を見る、本質的ニュース番組」というコンセプトの硬派路線でしたから、デザインをガラリと変える必要がありました。

    Live News it!

    ーその「柔らかさ」を具体的にはどう表現しましたか?

    「柔らかい」、けれどもニュースに求められる「鋭さ」も併せ持つ何かをモチーフにしてみようかと考えました。その結果ベースに設定したものが「スクエアリング」です。形に主張はあるが角がない。シャープでソフト。この「スクエアリング」のいろいろな大きさ・素材のピースを組み合わせて、さまざまな空間表現をしてみました。
    特に活躍した素材は布。リングの周囲や中に、ソファやカーテン、じゅうたん、洋服など家庭にあるものの生地20種類ぐらいを使っています。実際の使い方とは違う抽象化した感じですね。
    色味は床も含めて全体的に、抑えめのナチュラル色にしています。番組タイトルロゴは昼の『days』がピンク、夕方『it!』は黄色、夜の『α』で紫を使っていますが、セット内の大型LEDビジョンに映すロゴが映えるよう、あえて薄いベージュやアイボリーなどの控えたトーンの色でまとめました。

    Live News α

    ーニュース番組ということで、デザインで配慮したことはありますか?

    見た目の“うるささ”を排除するよう努めました。バラエティー番組ではセットをにぎやかにすることもよくありますが、ニュース番組では「伝えること」が最も大事なので、セットのコンセプトは表現しても、余計な情報はセットに入れない、ということに気を配りました。その意味でも特に色味はシンプルにしました。

    ー視聴者に見てほしいところは?

    柱がまとっている布、でしょうか。布素材をふんだんに使っている中で、スタジオに建てた10本の柱には、ドレス生地の裏面を使っているんです。装飾担当の女性スタッフ2人が入手してきてくれたのですが、これが実に不思議な素材で、柔らかいのに凹凸感、他の布にはない独特の奥行きがあって、立体感を出しながら上品な空気感も醸し出しています。国籍不明の柱に見える、と言うか……。生地の表側は普通のドレスのフリフリなのに、裏にした途端に想像していなかった魅力を発揮しています。これを見抜いた装飾スタッフのセンスには感心しました。是非目に留めてもらって、柱の神秘的な存在感を少しでも感じていただけたら嬉しいです。

    (2019年6月)

    スタジオ平面図 Live News days/Live News it!/Live News α