フジテレビジュツの仕事

    グッド・ドクター

    2018年7月〜9月 
    毎週木曜日 22:00〜22:54

    • 美術プロデュース:三竹 寛典
    • アートコーディネーター:野宮 昌志
    • 大道具:内海 靖之
    • 大道具操作:黒川 兼一
    • 建具:岸 久雄
    • 装飾:稲場 裕輔、小森 晴加
    • 持道具:長谷川 清夏
    • 衣裳:渋谷 清人
    • 小道具:國見 こずえ
    • メイク:田中 惟子
    • 視覚効果:大里 健太
    • アクリル装飾:鈴木 竜
    • 植木装飾:後藤 健
    • 電飾:寺田 豊
    • 小道具印刷:佐藤 好治
    • 生花装飾:小柳 幸絵
    • 特殊造形:松井 祐一

    ビジュツのヒミツ①

    病棟のイメージカラーで"飾り換え"

    今回のメインセットは2階建て。
    吹き抜けエリアを作って、外光が差し込む開放的な印象に。
    渡り廊下や階段でも演技するので、しっかり鉄骨で基礎を組みました。

    実際の建築と違って大変なのが、吹き抜け部分の大きな窓。
    建具スタッフが用意した窓は、かなりの重量なので、安全性も考えて、壁パネルの強度にも細心の注意を払っています。

    反対に軽めのセットは、昔ながらのロープで吊り下げて補強。
    トラックロープでおなじみの“ナンキン結び”でしっかり固定します。振動でも緩みにくく、長さの調節もしやすい伝統の技です。

    小児病棟のイメージカラーはこの色。
    病室や廊下、サインボードなど、随所に使われています。

    限られたスタジオ空間を有効利用するための“飾り換え”。
    産婦人科はピンク、オペフロアは濃いブルーなど
    担当科ごとにイメージカラーが違うので、同じつくりの廊下の壁や扉などは、カラーパネルを入れ替えます。

    安全にすばやく飾り換えるには、どうすればいいか。
    装飾スタッフの知恵の絞りどころです。

    そして、医療ドラマで必ず登場するのが自動ドアのシーン。
    演技に合わせた開閉タイミングが重要なので、手動が中心ですが、このセットでは、リモコン式の電動ドアが活躍しています。

    セリフのきっかけで、建具のスタッフがスイッチON。
    台本はしっかり読み込んでおりますので、お任せくださいませ。

    ビジュツのヒミツ②

    大活躍!"医療監修"のお仕事

    手術室の中心に据えられた「無影灯」。
    医療ドラマでは何よりもリアリティーが重要なので、
    登場する医療機器はほとんどが本物です。

    点滴薬やガーゼ、血圧計や聴診器など
    棚に並ぶ薬品や器具も、スタジオに持ち込み禁止の危険物以外は本物。小さなものもすべて台帳に記入し、厳重な管理下に置かれています。

    医療用手袋など、一度開封したら消耗品となってしまうものは「消え物」として買い取っています。

    医療ドラマに必須の存在が「医療監修」。
    小道具としての医薬品の選定や、手当の演技指導などはもちろん、その“監修対象”は、かなり広い範囲にわたります。

    デスクに置かれた書類や、ラックに並ぶ資料。
    ファイルの背表紙には、実際にありそうなラベルが...。
    装飾スタッフが実際の病院をロケハンして、細かくチェックした努力が生かされているのです。

    CD-Rのラベルや、近々開催されるらしい研修会のお知らせ。
    賞状や、スタッフステーションに置かれた注意書きも。

    「ありそうだけど実際にはない」ものでなければいけないので、細かい部分まできっちりと。
    テレビジュツの世界でも“医療監修”の先生との
    コミュニケーションが大事なのです。

    ビジュツのヒミツ③

    白衣は白衣でも…衣装スタッフの技

    小児外科スタッフのユニフォームは、番組オリジナル。
    出演者に合わせてサイズを詰めたり、裾を上げたり、
    衣裳スタッフが手を加えて、一着一着作ります。

    病院オリジナルのマークもオリジナルデザイン。
    白衣の袖のロゴは刺繍です。

    医師は白衣を羽織りますが、その下に何を着るかが問題。
    ネクタイはするのか、何色にするかなど、
    役柄やシーンによって、細かく決めていきます。

    ICUでの手術着やスクラブなど、
    フロアの色に合わせたものもあります。

    子ども患者のパジャマは、型紙を使って布から制作。
    ジャストフィットサイズなので、みんなの「おなまえ」を書いておきました。

    収録後、衣裳スタッフにはもうひと仕事が待っています。
    そう、次の収録に間に合わせるための「大洗濯大会」。
    登場するキャラクターの数だけ衣裳があるので、
    洗濯機もフル稼働。もちろん衣裳ですから、家での洗濯のようなわけにはいきません。

    仕上げのアイロンがけも慎重に。
    ドラマで映えるように、洗濯ノリの分量も気を使います。

    パリッとキャラや、よれよれキャラなど
    一見同じようなユニフォームでも、役柄によって素材を変えることも。よく映るアイテムだからこそ、衣装スタッフは気が抜けないのです。

    デザインのヒミツ

    ー医療ドラマが多くある中、「グッドドクター」ではセットの独自性をどのように出しましたか?

    宮川 卓也

    宮川

    舞台が小児外科ということで、実際の小児病院を数か所見て回りました。その際、ナースステーションから目の届く位置に、日中子ども達が過ごすプレイルームがあることなどを参考にしました。そのほか、小さい子のベッドの柵が、寝ていて落ちないように高くされていたので、セットにもそれを取り入れました。
    また、病院と言えば白いイメージですが、セットを白にすると照明で白飛びして映像全体が白っぽく見えてしまう恐れがあるので、テレビ美術では若干グレーに近づけた色に落とすのが普通です。が、今回は青年医師の成長と子ども達の命の希望の話なので、爽やかな色合いを出したくて、あえて色味を暗くせず、照明の方でタッチを入れて濃淡を出してもらいました。

    医局 パース

    ー病院取材を基に、小児外科のリアリティを追究したセットに近づけた?

    取材して参考にした部分はもちろん多々あるのですが、とは言え、セットとは「建築物」ではなく、あくまでも撮るための空間、言わば「装置」。撮影時の機能性と、いかに“それらしく”、“わかりやすく”見せるか、を常に追求しています。例えば、医局は白っぽい蛍光灯色で事務的な感じを出す、手術室は壁の色を落ち着いたダークグレーにして緊張感を際立たせる、廊下は高窓から日光が差し込む穏やかな空間にする、といった感じで「画(え)変わり」を意識しています。
    廊下セットも、限られたスペースで少しでも広く長く見せるために、奧よりも手前の方の横幅を広くしています。テレビ美術では遠近法をさりげなく活用しますね(笑)。

    ー“それらしく見せるため”以外で、実際の病院にはないデザイン演出はありますか?

    自閉症の主人公が、道路の白線の上を歩く癖があるということで、そのシーンを病院内でも見せるために、廊下の真ん中に白いラインを引きました。実際には小学校の廊下にはあっても、病院にはないものですが。

    ー今回のデザインで“遊んだ”部分は?

    今回は医療ドラマでも「子ども」をモチーフに色々と遊ばせてもらいました。例えば、小児外科フロアの壁に子どものキャラクターの絵がいくつか貼ってあるのですが、どれもこれから登場する子どものキャラ設定に合わせた絵にしています。歌っている子だったり、スポーツ少年だったり。ドラマの先の暗示を密かに楽しんでおります(笑)。

    スタジオ平面