落語びより
第13回
「大宇宙(おおぞら)の感受性」
7月6日放送
キーワードは「宇宙のロマン」・・・
ここから映像イメージを発想すると、ついついカールセーガン的な世界観や、ハリウッドSF映画的な「ロマン」となりがちだ。そのせいもあって、どうしてもスピッツの「ロビンソン」にのせる映像が浮かばない。詞もさることながら、言わずと知れて曲がイイ!この曲にのせる映像なんて何でもカッコイイはずである。かといってずっとNASAの資料映像流すわけにはいかないのであって、となれば、と歌詞を改めて読んでみると、あたりまえだが宇宙そのもののことなんてひとつも歌っていない。
じゃあ何だ?
歌詞にあるロマンスを映像にするんじゃ芸もなければスピッツにも失礼だ。
で、散々悩んだ挙句幼稚園に撮影に行くことにした。
そう、そもそも7月7日、「七夕」の前日だからこのテーマなんだって、肝心なことをすっかり忘れていたことに落ち込みながらささの葉を持って撮影に協力してくれる「昭和女子大付属昭和幼稚園」へ。

立派な音楽堂があることで知られる「昭和女子大」に幼稚園があったんだなんてことを感心しつつ、品のよさそうな女子大生を横目で見ながらキャンパスの一番奥にある幼稚園へ。
まだ6月だっていうのに番組のために「七夕」の飾り物や短冊を授業で子供たちに作らせてくれるという。本当に感謝感激である。

そんなこともあって、いい映像を作らねばという使命感に燃え、カメラを回し始めたのであるが、何にせよ回しすぎてしまう。ファインダーを覗くのが楽しいのだ。
子供たちの打算のない予測不可能な動きは、未だ子供を持たない自分にとっては本当に新鮮で飽きない。といって「動物」を撮る面白さとは違う。
自分の作品を見せたくてわざわざカメラ前まで来てジャンプする男の子、じーとカメラを見ているかと思えば、「どうしたの?おでこ」と僕の額のニキビ痕からちょっと血が 出ていることを心配してくれる女の子。そういうことを含め全てが「予測不能」なのだ。

そして授業は「短冊」書きに突入。
「スーパーマンになりたい」なんてとんでもないモノから「逆上がり10回」とか「自分のピアノが欲しい」みたいな変にリアルなものまで、これまた予測不能な夢が続出だ。そんな中意外に多かった夢が「幼稚園の先生になりたい」だった。
そういえば「先生に憧れる」なんていう感覚が今の世の中忘れ去られちゃあいないか??
そんな感覚があれば、いじめや校内暴力も少しは減るんじゃないか、などとえらそうなことを考えながら、ふと先生たちを改めてみてみると、コレがビックリ。

どの先生も若くて美人なわけだ。コリャ憧れるって。テレビドラマだよコレじゃ、ってくらい粒揃いだ。ということで撮影した映像も「先生入れ込み」が多いのは気のせいではあるまい。
最初の高尚な意気込みも何処へやら、結局、「ロビンソン」に乗せる映像は、
「宇宙のロマン」から発想して「昭和女子大付属昭和幼稚園の先生は美人である」
という「男のロマン」にいつのまにか変っていたのである。
ディレクター 

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