あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「悲しい時近くにいてほしい人」
 その日渡された給与明細を見て籐子(深津絵里)、貫井(堤真一)、壮吾(坂口憲二)はあまりの少ない額に愕然となった。今の状態ではこの程度しか出せないし、これがずっと続くようなら会社そのものの存続に関わると言う吉武(西村雅彦)の表情はいつにも増して険しい。そんな重いムードに包まれた『貫井企画』に、突然香里(久我陽子)がやってきた。壮吾とは同郷で、姉のような存在という香里に興味を持つ吉武、そして、仕事に集中するふりをしながら、無関心を装いつつも香里の話に耳を傾ける貫井。そして壮吾から香里のことを聞いていた籐子は、気をきかしてなんとか二人きりにしてやろうとするのだった。
 その様子を見た吉武と貫井は、ようやく二人のただならぬ関係に気付くのだった。だが、そうと知っても貫井には、「あの人は人妻なんだろ?だったら好きになっても仕方ないだろう」と壮吾の行動をどうしても理解することができなかった。
 数日後、吉武が大手リゾート会社との年間契約話を持ってきた。うまく話がまとまれば、会社も少しは安定する。ぜひともまとめたい契約なのだ。さっそく吉武は貫井と、そして籐子を同行して新社長との食事の席に臨んだ。新社長は、貫井の名前は知っていたし、社のPRのためならばと、貫井企画と契約する方向で話を進めていってくれた。だが、そこに孫娘を起用することや、既成のポスターを持ち出し、これに似たものをなどの注文を出してきたのだ。「会社のためにクライアントの注文を黙ってきいて欲しい」という吉武の言い分を渋々受け入れ、不本意な妥協作を作る貫井。だが、その作品を見た籐子は、「貫井さんらしくない」と一蹴。「私は本当は、貫井さんにも木村くんにも、吉武さんにも、やりたい放題やってほしいんです」という言葉に吉武は心動かされていた。
 一方壮吾は、貫井から一任されていたデパートの屋上キャンペーンの企画に大張り切りで取り組んでいた。香里に自分への気持ちを確認し、一緒に暮らすことを決めたのだという。
 そして、ようやく仕事も完了したその日、事務所にいた籐子は壮吾からの電話を受けた。それは「これから戻るので待ってて欲しい」というもの。籐子は一人事務所で壮吾の帰りを待った。
 しかし、壮吾にはつらい出来事が待っていたのだった・・・。

<第8回> 「急展開!?元カレ突然の帰国!!」
 楠木文具から新たな仕事の依頼がきた。貫井(堤真一)は迷うことなく当初から付き合いをしていた籐子(深津絵里)のクライアントだとして、創立記念の会社案内制作という仕事を籐子に任せることを決める。小さな仕事とはいえ、仕事を一任されたことを喜ぶ籐子。
 だが、そんな籐子に春菜(矢田亜希子)が思いがけないことを告げた。なんと、兄・勇祐(谷原章介)が仕事で滞在していたミラノから帰国しているというのだ。
 籐子は動揺する気持ちを押さえながら、3年振りとなる勇祐との再会にときめき、その日に備えてのダイエットを開始するのだった。
 事務所でもあれほど食べていたおやつを一切口にしなくなった。貫井は春菜から事情を聞いて、籐子の急な絶食の意味を知った。だが、貫井の中には、「振られた人には2度と会いたくないものなのに・・・そこまで努力してるということはまだお兄ちゃんのこと好きなのかも知れないし、兄も籐子さんのこと気になってるみたい・・・」という春菜の言葉が妙に気に掛かってしまうのだった。
 数日後、籐子は勇祐と久し振りに食事をした。「昔とかわらないね」の言葉に思わずガッツポーズする籐子。そして、そんな籐子に勇祐は続けて言った。「もう一度始めないか?・・・結婚して欲しい」と・・・。
 勇祐は、付き合っていた彼女と別れ1人になってみてようやく籐子の大切さを気付いたという。「ほどなく東京を離れミラノに戻るが、一緒に行ってほしい!」。籐子は、その時までに答えを出すことになった。
 以来、仕事も満足に手がつかいような状態になってしまった籐子。だが、そんな籐子を見て貫井は思わず言った。「明日にでもミラノに行ったらどうだ・・・どうせ日本にいたって寂しく酒飲んでるだけなんだから」「でも、まだこの仕事が・・・」「そんな仕事、おれがチョイチョイとやっとくから」。
 2人のやりとりを聞いていて「そりゃない」という思いの壮吾。そして壮吾が思う以上に、籐子の気持ちは傷つき揺れ始めるのだった。

<第9回> 「二人きりの夜」
 その日事務所にいた籐子(深津絵里)と壮吾(坂口憲二)はある雑誌のある記事に目を止めた。そこにはユニバーサルで貫井(堤真一)の下で働いていた中沢(東根作寿英)が貫井を中傷する記事が掲載されていたのだ。“貫井の時代はもう終わった”との記事が・・・。もちろん貫井もその記事のことを知っていてしっかり目を通していた。だから二人は、貫井がショックを受けるのではないかと心配もした。が、貫井は「言いたい奴にはいわせておけ」と中沢の発言を一笑に伏したのだった。
 だが、この揺るぎがなく見えた貫井の自信は、吉武(西村雅彦)が取ってきた新たな仕事が壮吾に回されたことで少しずつ揺らぎはじめることになった。「この仕事をきっかけにさらに大手ビール会社と契約し、夏には貫井、壮吾とのビール対決だ」と吉武は近い将来の大きな展開を見越しての壮吾の登板だというのだが・・・。「暇な時間ができたら、この際、春菜ちゃん(矢田亜希子)と旅行でも行ってくれば?」そんな籐子の思いつきの提案にも複雑な表情を浮かべる貫井だった。それからの『貫井企画』は、寸暇を惜しんでパソコンに向かう壮吾と、対称的に暇を持て余し籐子と一緒に買い出しに出かける貫井といった妙な光景が展開することになった。籐子は、口には出さないもの貫井に焦りと苛立ちがあると感じ心配だった。そして一方では以前にも増して親密そうにしている貫井と籐子の様子を目撃し、心痛める春菜がいた。数日後、籐子の心配が的中してしまう一件が起こった。あるパーティーで貫井と中沢がバッタリと出会い、中沢はきっぱりと『貫井企画』対する思いと貫井自身への考えを突き付けたのだ。「僕はユニバーサルあっての自分だと自覚してます・・・『貫井企画』は十分怖い。でもそれはあなたを恐れてではなく、木村壮吾がいるからです・・・ビールの制作も貫井さんはNGで、木村の指名だと聞きましたよ・・・」。
 その瞬間、貫井が抱き続けてきたいろんなものに対する不安が爆発した。その後、貫井は正体を失うほど酒を飲み、籐子は酔いつぶれた貫井をやっとの思いでマンションまで送り届けた。「・・・ちゃんとお布団にはいって寝て下さい・・・鍵はポストに入れときます・・・」事情が分かってるとは言え貫井のそんな姿を見るのは辛い籐子はそう告げて部屋を後にしようとしたその時だった。「・・・ここにいろ・・・」。目を閉じたままの貫井が、籐子の手首を掴んできた。「え?」思わず動けなくなる籐子で・・・。


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-11回]