あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「素直になれなくて」
 「君が正しかった。心よりお金だよ」。雨に濡れそぼる欧介(堤真一)の姿を思い出し桜子(松嶋菜々子)は、貧しかった子供時代が心に浮かぶ。スチュワーデス仲間の間でも、魚春の立ち退き問題が話題に。その立ち退きの原因が、桜子の婚約者・東十条(東幹久)が建てる新病院のせいだと知り、皆ショックを受けるが、桜子は意に介さない。
 それどころか、東十条とニューヨークで、ウエディングドレスを選ぶなど結婚へ向けて突き進む。桜子は、ニューヨークでも東十条の前でかいがいしい婚約者を演じ、大きな包みや鞄をたくさん抱え帰国する。
 欧介はなんとか借金を返そうと金融機関を駆け回るが、金を貸してくれる金融機関はない。
 お得意さんの壇六助(西村淳二)の馬が次レースでの勝率が高いと数論で解いた欧介。果たして欧介の計算通り、その馬が優勝した。六助は次のレースの馬主席に欧介を招待する。藁をも掴む思いの欧介は競馬で一攫千金を狙おうと必死に数式を解く。そんな欧介を心配する佐久間は桜子に新病院建設を中止してくれないかと頼むが、桜子は冷たい態度。
 佐久間から欧介が馬主席に招待されたと聞いた桜子は、レースの当日競馬場に現れる。魚春の運命をかけたレースが始まった。

<第8回> 「やさしいウソ」
 桜子(松嶋菜々子)は、東十条(東幹久)と結婚式場や旅行会社を回り、さらに結婚式やハネムーンをスケールアップ。幸せそうな桜子だが、東十条は、病院建設を白紙にしたのは、欧介(堤真一)のせいではないか、とモンモンとしていた。思い切って切り出すと「あの土地が嫌なだけ。あの人とは関係ない」と桜子はきっぱり。
 佐久間(西村雅彦)の家に集まった面々。粕屋(筧利夫)は、東十条の婚約者が建設を取りやめてくれと頼んだことから、建設が中止になったと話す。「いったいあの女は何を企んでいるのか?」と訝しがる面々。しかし、欧介はひとり考え込む。
 なみ(須藤理彩)が、花房(押尾学)に会いに病院に来ていた。そこへ、粕屋も富士子(市毛良枝)の見舞いに。佐久間から、なみも来ていると聞いた粕屋は大喜びで、なみを探すと、なみは木陰で花房とキスしていた。目撃した粕屋はショック!。思わず、花房につかみかかってしまうのだった。
 欧介は、立ち退きが中止になったのは、桜子のおかげと感じ、桜子に礼を言おうと、アパート前で待っていた。そこへ桜子。桜子は「もっと高級な住宅街の方がいいと思っただけ」と素っ気ない。しかし、桜子は、富士子の「欧介は貧乏でも幸せにしてくれる。一 緒にいれば分かるはず」の言葉が心に引っかかっていたため、「あなたの良く行くところに連れていって」と言い出す。
 欧介はまず河岸の寿司屋へ。客たちは美人の登場にやんやの騒ぎ。欧介はメニューにはない、賄い丼を桜子に提供する。次に入ったのはパチンコ店。「こんな所にも来るんですか」という桜子の台が大当たり。景品の大きな包みを抱え、二人は次にバッティングセンターに行き、久々に楽しい時間を過ごす。
 その余韻を引きずり桜子のアパートに戻ってくると、東十条が待っていた。東十条は桜子を訪ねてきたのだが、桜子は高級マンションでなく、質素なアパート暮らしだったことを突き止め、騙された気持ちでいた。「僕の目を盗み、まだこの男と」と迫る東十条に桜子は、言葉がでない。その桜子に替わり、欧介が進み出た。

<第9回> 「彼女が泣いた夜」
 桜子(松嶋菜々子)と東十条(東幹久)は結婚式に向け着々と準備を整えていた。桜子の悩みは「早くお父さんに会いたい」という東十条家からの申し出。桜子の父親・勝(小野武彦)は故郷で貧しい漁師をしていた。桜子は、父親は外国航路の船長で、日本になかなか帰ってこないと言い繕ろっていた。しかし、結婚式も間近。もうそんな言い逃れはできそうにない。
 フライトを終えた若葉(矢田亜希子)らが空港を歩いていると、汚い旅行鞄の男がうろうろしていた。「あの〜。神野桜子は…」と尋ねられた若葉は、桜子の父親とわかり、ちょうど迎えに来てくれていた欧介(堤真一)の車に乗せ、桜子のアパートへ。しかし桜子は不在。桜子が帰るまで魚春にやっかいになることになった勝は、さすが漁師。包丁さばきも鮮やかで、売り声も元気がいい。すっかり富士子(市毛良枝)とも打ち解け、夕食で酒が一杯はいると上機嫌。
 翌朝、勝は「みすぼらしい父親を人前に出したくない娘の気持ちは分かる」と弱気。そこへ、まばゆいばかりの光の中を歩いてくる桜子。父親ながらみとれてしまう。しかし桜子の父親に対する態度は冷たい。
 欧介は若菜に「もう一度数学をやらないか」と恩師に言われたことなど話す。2人の気持ちは序々に進展しつつあるようにみえるが、数学のこととなると他が見えなくなる欧介に、一抹の不安を感じる若葉。
 欧介は激しくやり会う桜子父娘を見つけた。桜子は勝を外国航路の船長に仕立てるため、マナー・教養マニュアルを作り、勝に覚えろと迫っていた。「何で俺がウソをつかなくっちゃならないんだ」と怒鳴る勝に、桜子は感情的に「父親もTPOで取り替えがきくと良い」と言ってしまう。それを聞いた欧介は、桜子の頬を打った。


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