あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「壊れゆく」
 ミヤビ(西田尚美)もミン(一戸奈未)もシズク(木村佳乃)側に回ってしまい、秘書の仲間が、やや情緒不安定のサダ(りょう)だけになってしまい、八方塞がりとなってしまったゴウ(唐沢寿明)は、シズク攻略に狙いを定めた。ゴウはアユム(反町隆史)を連れ、人気の出始めたパンチライン・ミノル(中川家礼二)のあとをつけ始めた。もちろん、向かうはシズクのマンションである。その窓からシズクが顔を出す。驚くアユム。「同棲相手はシズクだったのか・・・・・」
 二人は時を変え、ミノルだけがいるところに乗り込んで、新製品が売れないのはCMに出ている君のせいだ、と難癖をつけ、ミノルを問い詰めた。「荒瀬シズクのことが聞きたい」
 ミノルによると、2年前、酔っ払いに殴られ気絶しているところをシズクに助けられ、ボコボコになった醜いミノルの姿にシズクが惚れ込み、同棲していると言う。まるでペットでしかない、と自嘲するミノルだった。
 翌日、ゴウは、私生活を暴露すると脅しながら、シズクに横領犯捜しを手伝えと説得する。シズクは、秘書仲間のため断るが、ゴウは、壊れたコップから目を離せないシズクの異常な様子を見逃さなかった。
 一方、ゴウに対する思い込みがますます高じているサダは、アユムに「結婚するつもり。室長がしようって言ったの」と言う。もはや妄想状態である。もちろんゴウが言う訳はない。
 さて、ワンダーエレクトロニクス社主催のゴルフコンペが行われる前日の夜。松方専務(段田安則)からシズクへ連絡が入った。「雨らしいから、いつものイベントを用意してくれ」。シズクは、みんなに連絡します、と言いながら、ゴウ、アユム、サダには連絡を取らなかった。
 翌朝、ゴウとアユムはゴルフ場で松方専務からの「早く来い」という連絡を受ける。イベントは社内で開かれるギャンブル大会に変更になっていたのだ。「シズクだ・・・・・」。ゴウは怒りに燃えた。
 策を練ろうとバカラ室から外へ出たゴウは初老の招待客に丁寧に挨拶される。無視するゴウ。不思議に思ったアユムが調べると、その男は代議士であった。当のゴウは、秘書室から漏れてくる、シズクとその父親らしい相手との電話の会話を聞き、部屋に飛び込み、怒りを露わにする。しかし、あっさりとシズクにいなされてしまう。
 バカラの表彰式の司会を頼まれたパンチライン・ミノルがやって来た。表彰式が始まる。ゴウはアユムを介して松方専務にメモを渡した。「へー、そうなの。君、荒瀬君と結婚するの!?おめでとう」。ゴウの報復であった。固まるシズク。
 ゴウはもう一つ難題を抱えていた。サダである。ゴウは結局ここでもアユムを使う。件のスイートルームにアユムを連れていって、結婚なんかしないと言わせる魂胆だ。訳の分からない会話を続けるうち、サダが花瓶を振りかぶってゴウを襲おうとした。その時、パニックに陥ったのはアユムだった。子供のころ音子にバットで仕置きされた時のことがフラッシュバックしたのだった。
 ともかく、ゴウはシズクを落とすべく、愛する父親の調査を続けた。
 すると・・・

<第8回> 「愛シテル」
 ゴウ(唐沢寿明)は、出勤途中の私鉄駅でミン(一戸奈未)と一緒になった。と、そのしばらく後、シズク(木村佳乃)のことを考えながら朝食をとっているところを音子(江波杏子)の厳しい目に見抜かれていたアユム(反町隆史)は、駅事務所にいるゴウから呼び出しを食らった。行けば、何とゴウがミンに痴漢を働いたという。ゴウは自分じゃないと言い張るが、日ごろの行状から誰も信用しない。そこに目撃者が現われ、どうにか解放されたものの、ゴウは腹の虫が収まらない。ミンとアユムを連れ、真犯人を探したところ、その男は、今度は高校生の後を追っていた。アユムとゴウが男をねじ伏せ警察に突き出す。「表彰状ものだな」。単純に喜ぶゴウだった。
 その日、ワンダーエレクトロニクス社の松方社長(戸沢佑介)は、そわそわと社長室の中を歩きまわっていた。経済人として最も名誉な「日経協名誉顧問」に推薦される日なのだ。内定はしているのだが、心配でならない。ゴウは自分の祝電を社長に読み聞かせるなど、相変わらずのお調子者ぶりを発揮している。
 秘書たちは、自分たちだけが横領容疑者として探られることを業腹に思い、ゴウとアユムが何者であるか探ろうと計画する。サダ(りょう)とミヤビ(西田尚美)の証言からアユムが母親コンプレックスの持ち主であるとにらみ、まずアユムを的にすることにした。
 そんなことも知らず、アユムはキイコ(小雪)に、「シズクが父親の死を受け入れていない。友達として相談に乗ってやってくれ」と懇願するのだった。
 そんな折、警察から「社員を痴漢で逮捕した」と連絡が入った。なんと、ゴウたちが朝捕まえた男はワンダー社の社員だったのだ。もし、このことが日経協に漏れたら、社長の名誉顧問の推薦はない。ゴウとアユムは、早速ミンをはじめとする秘書たちに口止めを徹底することになった。
 ミンは、口止めに対し交換条件を持ち出してきた。アユムの母親のことを教えろ、と言うのだ。アユムは「おめーらに関係ない」と突っぱねたが、ミンはゴルフクラブを振りかぶってきた。アユムは突然怯え始める。ミンは「やっぱりね」と納得するのだった。
 また、キイコやシズクは、今度ばかりは会社のために働かない、と確認する。
 とうとう警察から痴漢逮捕に協力したことでゴウとアユムを表彰したいとワンダー社に連絡が来た。2人は、このままでは、社長の名誉顧問就任はないとして、ミンに、「痴漢はなかったことにしてくれ」と頼むことにした。
 ゴウたちと秘書たちは、ミンに対し互いに好条件を提示して、痴漢事件の揉み消しとその申し出の黙殺を要求する。が、ミンはその途中トイレに身を隠し「くっだらない」とタバコをふかすのだった。
 ミンはその夜、コンビニで万引きし、帰宅後は「株で損をした」と舌を出す。また、リリ(伊東美咲)は自分を裏切った恨みでミヤビをノックアウトする。淀んだ闇の空気が漂う秘書たちの生活が垣間見える。
 その頃、ゴウはシズクを屋上に呼び出し、痴漢事件の揉み消しの直談判をする。

<第9回> 「第二部」
 松方社長(戸沢佑介)が日経協の名誉顧問になったことをきっかけに、ワンダーエレクトロニクス社に不穏な動きが現れ始めた。和歌山副社長(石山雄大)ら役員たちが、謀反を企んでいるのだ。ゴウ(唐沢寿明)は、和歌山たちからそれを打ち明けられ、協力することを誓った、だが、すぐ、その足で、松方専務(段田安則)のもとへ向かい、造反計画の存在をご注進するのだった。
 しかし、ゴウは本気で松方親子側に付いたわけではなかった。まるで黒澤の「用心棒」のごとく、松方、役員両陣営に互いの情報を漏らして不安を煽り、その権力闘争の構図の中で、次第にイニシアチブを取り始めるのだった。その姿はまさにコウモリのように狡猾であった。
 そのころ、アユム(反町隆史)は、キイコ(小雪)とともに、シズク(木村佳乃)のマンションにいた。シズクは父が死んでいることを受け入れたものの、そのショックで寝込んでいた。アユムは心配げにシズクを慮る視線を送るが、キイコに「誰も他人の気持ちには入れないのよ」と一喝され、萎縮する。
 だが、秘書たちが全員、繊細で上品で潔癖か、というとそうではなかった。お歳暮のシーズンとあって、秘書室にはデパートの外商係員が訪れる。デパート選びの決定権は秘書たちにある。店員はもちろん手土産持参。「去年はもっといい物だったわね」「今から戻そうか」。公然と袖の下を要求するのであった。
 サダ(りょう)とミヤビ(西田尚美)は、コンピューターを使ってゴウの身辺調査を行っていた。どんなデータバンクにも載っていないゴウ。サダとミヤビは顔を見合わせるが・・・・。
 ゴウの楽しそうな「企業内遊泳」は、激しさを増していた。副社長たちの持ち株数を聞き出し、それを松方親子側に漏らす。また、相手側に知られていると、副社長側に漏らし、専務のスキャンダルで対抗しようと入れ知恵する。はたまた、「盗聴器が仕掛けられている」「命まで狙われている」・・・・その度に右往左往する権力者たち。「楽しいなぁ」とゴウ、一人で御満悦である。
 そのころ、サダは、ゴウの秘密を解く鍵を一つ手に入れていた。日本中の企業を検索し、ゴウが12の会社に勤めていたことを突き止めたのだ。それらの会社は、すべて潰れていた・・・・。


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